輸送機Y-20の高い航続能力は、中国の戦略物資輸送能力に質的な飛躍をもたらした。中国人民解放軍はY-20の持つ高い性能により、より多くの軍事任務をこなすことができる。「中国の国益のある所に、中国の軍隊が赴く」はすでに単なるスローガンではなくなった。中国はY-20により、自国の戦略的利益・海洋資源を保護する能力を高めた。中国がY-20を100機実戦配備すれば、中国の空運能力はアジア太平洋地域で1位になる。仮にY-20を200機配備すれば、アジア太平洋地域全体、環インド洋地域、欧州・アフリカの戦略的利益を持つ地域に対するスムーズな空運を実現できる。中国は1週間で、ギリシャもしくはスーダンに5つの機械化師団を投入できる。また3日間で、日本の主要6都市に対して15の空挺師団を投入できる。仮に300機のY-20および改造版を配備したならば、中国の戦略的空運能力は米軍の水準に近づく。
Y-20は中国初の大型輸送機となったが、我々は自らの技術的進歩を冷静かつ客観的に見る必要がある。Y-20の写真を見る限り、ニューマチックシステムは古いもので、揚力装置も非常に遅れており、吹き出しフラップ等の先進的な技術はほぼゼロだ。航空機の信頼度、メンテナンス性、稼働率の面で、さらに長い道のりを歩む必要がある。エンジンの性能不足により、Y-20の総合性能は米空軍C-17A輸送機の60%のみだ。C-17のPW2040エンジンもまた、現在の中国では及びもつかない高水準に達している。C-17は1992年に生産開始され、米国の90年代初期の軍用輸送機の技術水準を示すものに過ぎない。しかしながら、中国はこの水準にも達していないのだ。