ティラーソン氏のアジア歴訪、大胆発言に込められた狙い

ティラーソン氏のアジア歴訪、大胆発言に込められた狙い。

タグ: ティラーソン 朝鮮 アジア太平洋 オバマ

発信時間: 2017-03-21 13:23:13 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

米国のティラーソン国務長官は15日夜に東京に到着すると、就任後初となるアジア歴訪を開始した。4日間忙殺されたティラーソン長官は、ついに最後の目的地である中国を訪問し、王毅外交部長と会談した。ティラーソン長官は今回のアジア歴訪で、多くの大胆発言を行った。例えば日本では、米国の対朝政策は「すでに完全に失敗した」と述べ、韓国では朝鮮を軍事攻撃する計画は「議論のテーブルに上げることができる」とほのめかし、一時的に国際メディアを騒がせた。新たな「朝鮮戦争」が間もなく勃発するのではと、多くの人が懸念している。

それでは実際に、想像されるほど深刻な状況になっているのだろうか。戦争の雲が、すでに東アジアの上空を覆っているのだろうか。米国のトランプ大統領は就任後、一連の注目を集める行動に出ている。その外交活動には個人的なカラーを反映した独断的な動きが混ざり、把握し難くなっている。今回のアジア歴訪も、その分かりやすい例だ。しかし大統領選の前後から今日までの傾向を見ると、ある程度の法則を見いだすことができる。

大環境を見ると、トランプ大統領は就任後、オバマ時代の外交政策、さらには戦後の全体的な外交路線を見直した。「米国ファースト」を原則とし、アジア太平洋を米国の世界戦略内で見直している。リバランスにより、欧州や中東をないがしろにしていない。トランプ大統領は、これまでの米国の外交が常に間違った分野で、意味もなく大量の資源を浪費していたと再三強調し、一方だけに気を取られるのではなく世界の戦略バランスへの重視を強めるべきだとした。トランプ大統領は就任後、イスラム国などの過激派組織への攻撃を再三強調し、イスラム教国からの入国禁止令により中東諸国を脅かし、イスラエルとの同盟関係を整理・強化している。また英国のEU離脱や、難民問題により激変する欧州情勢についても大きな関心を持っている。伝統的な友好関係を持ち、また米国にとって重要な地域である欧州との関係を調整しなければ、西側世界全体がより深いレベルの危機に直面することになる。この意義から論じると、米国は局部的なアジア太平洋リバランスではなく、世界戦略の構造の「大規模リバランス」に回帰する。アジア太平洋はトランプ大統領の世界戦略の重点であるが、すべての重心ではなくなっている。米国は今回、朝鮮に大胆な発言を繰り返したが、全力でイラクを攻撃した当時の程度に達するまでには、長い道を歩まなければならないだろう。

ティラーソン長官は今回の東アジア歴訪で、米国の過去の対朝政策は完全に失敗したと明言した。これは朝鮮への戦略的な抑止力だけでなく、オバマ前大統領のアジア戦略を清算するという宣言だ。こうして見るとティラーソン長官のアジア歴訪は外交的行為というよりも、米国の内政における両党のあつれきの延長戦といえる。

そのためトランプ政権は対中問題でこれまでの方針を改め、オバマ時代の温和な「スマートパワー」によるけん制を、より強硬かつ実質的な行動に変える可能性が高い。特に注目すべきは、米軍のトランプ大統領への影響力が、前任者の頃よりも拡大していることだ。トランプ大統領は大統領選の演説で、米軍の100人以上の関係者の支持に感謝を表明した。そのため米国の今後の実質的な行動は、主に軍事力、特にシーパワーに集中することになる。これには軍事費の増額、艦艇の建造の拡大、重要エリアにおける米軍の存在感の強化などが含まれる。空母「カール・ヴィンソン」が南中国海に入ったのが、これも分かりやすい例だ。ティラーソン長官の朝鮮に対する戦争の脅迫も、米国の軍事力をめぐる最新の動きと見ることができる。

それでは、米国はすでに中国と真っ向からぶつかり、完全に対立する準備を整えているのだろうか。これについて論じるのは、まだ時期尚早だろう。冷戦終結後、米国の歴代大統領の対外戦略において、「価値観が異なる者」「世界経済システムにおける競争者」という中国の2つの姿が、常に目まぐるしく変わっていた。トランプ政権は異なり、純粋に経済的に中国を見ている。トランプ大統領にとって、中国はまず経済問題のために存在している。中国は外交や安全ではなく、貿易もしくは雇用で、「米国を再び偉大にする」「米国ファースト」という主張を妨げる。トランプ大統領本人には、手段を選ばず利益を手にする経営者としての特徴がある。これまで交渉のテーブルでは、虚勢を張る目くらましの手段を用い、有利な立場を占めていた。これはトランプ大統領が、ティラーソン長官のアジアにおける大胆な発言を通じ中国周辺の情勢を乱すことで、中国と全面的(特に経済分野の)な駆け引きを展開する時に、より多くのカードを手にしようとした可能性が高い。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月21日

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