G20サミットから、グローバルガバナンスの今後を占う

G20サミットから、グローバルガバナンスの今後を占う。

タグ: G20 世界秩序 グローバルガバナンス

発信時間: 2017-07-21 12:59:25 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

グローバル化が、保護貿易主義やポピュリズムなどの乱流に妨げられているが、グローバルガバナンスは将来的にどのような問題に直面するのだろうか。今後の見通しはどうなっているのだろうか。中国国際経済交流センターで先ほど開かれたシンポジウムにおいて、専門家は異なる答えを導き出した。

【世界秩序に亀裂】

中国国際経済交流センター首席研究員の張燕生氏は「G20ハンブルク・サミットの協力と食い違いは、世界秩序に大きな亀裂が生じていることを反映した。2017年に世界経済が安定的に前進し、先進国の協力の意向が弱まっており、グローバルガバナンス改革における利益をめぐる駆け引きと競走が激化している」と指摘した。

中国商務部国際貿易経済協力研究院元院長の霍建国氏も「かつてグローバルガバナンスについては、先進国と発展途上国の食い違いが非常に際立っていたが、今や先進国間の食い違いが露呈している。先進国間の共通認識と相互信頼の変化は、国際事業推進を難しくしている」と述べた。

ハンブルク・サミットの食い違いの焦点となったのは、米国だ。ドナルド・トランプ大統領は、貿易・鉄鋼・気候変動・移民などの数多くの問題をめぐり、その他の加盟国と異なる態度を示した。気候変動問題について、ハンブルク・サミットのコミュニケは米国の立場を描写したが、その他の19カ国のパリ協定支持の立場についても記述した。過剰生産能力と化石エネルギーの問題をめぐり、米国と欧州の食い違いはより顕著になっている。

【3つの「特殊」現象】

張氏は現在のグローバルガバナンスの苦境について、特殊に見えるが実際には歴史的な周期の繰り返しにすぎないかもしれないという、3つの現象を挙げた。

まずはトランプ大統領の政策だ。米国は長期的に、グローバルガバナンスと国際的な責任について、2つの異なる主張を掲げてきた。まずは「不参加」で、米国の建国から第一次大戦勃発まで(1776−1914年)の間、このような主張を掲げてきた。次に「参加」で、第2次大戦終戦から現在まで、このような主張を掲げてきた。

次に英国のEU離脱だ。経済協力開発機構は、これが英国とEUにとって不利益になると予想した。それでは英国はなぜEU離脱を選択したのだろうか。歴史的に、英国はその指導的地位と影響力を確保するため、国益を重視した国際戦略を採用したことがある。経済力が変化する各時期において、英国は「栄えある独立」「限りある責任」「同盟政策」など、異なる対外戦略を実施した。張氏は、現在の英国は「遠くと交わり近くを攻める」を選択しており、歴史的な経験に回帰する選択かもしれないと判断した。

それから、現在の保護主義・孤立主義・ポピュリズムの台頭だ。世界の歴史において、脱グローバル化の時期が2回あった。まずは2度の世界大戦の時期だ。世界の覇権国であった英国は当時、すでに大国としての責任を担うことができず、世界一の大国である米国もこれを担おうとしなかったため、グローバル化とグローバルガバナンスのコントロールが失われた。次に1970−80年代で、当時のグローバル化とグローバルガバナンスのコントロール喪失により、世界経済の成長が滞り、2度のオイルショックが生じ、ブレトン・ウッズ体制が崩壊した。

中国人民大学国際関係学院副院長の金燦栄氏は、G20の前途は次の要素の影響を受けると判断した。まず米国や欧州など世界各国でポピュリズムが台頭し、保護貿易主義が勢いを強め、G20の立場と観点に影響を及ぼす。次に米国のグローバル化、気候変動など重大国際問題における立場に多くの不確定性があり、G20の未来に衝撃をもたらす。それから現在の地政学的リスクに警戒が必要だ。シリア、朝鮮半島などの情勢が悪化すれば、G20の未来に影響を及ぼす。地政学的リスクのグローバルガバナンスへの影響に要注目だ。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年7月21日

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