南中国海の孤独な「戦略の海賊」、米国は回避を

南中国海の孤独な「戦略の海賊」、米国は回避を。

タグ:南中国海

発信時間:2018-01-23 13:50:12 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米国のマティス国防長官が1週間のアジア歴訪を開始したが、今回の目的地はインドネシアとベトナムのみだ。このASEANの2大国はいずれも南中国海諸国だ。米国の「国家安全保障戦略」が中国をロシアと同じ「競争相手」とし、国防戦略で大国の競争時代への回帰を強調するなか、マティス国防長官は今回の歴訪で中国を念頭に置くことになる。またホスト国が望むと望まざるとに関わらず、できる限り中国に話を持っていこうとするだろう。

 

 米国のミサイル駆逐艦「ホッパー」が先週、南中国海で中国の黄岩島から12カイリ内に入った。ASEANの南中国海諸国は中国との協力強化に力を入れているが、米国はこれらの国が平和に慣れ係争を忘れることを恐れてか、自ら姿を現し「係争」をこしらえた。さらには本件は、マティス国防長官の数日後の歴訪に向けた「ウォーミングアップ」だったと推測できる。

 

 米国が中国との大国の競争を強化しようとするならば、南中国海は最も適切な切り口の一つだ。南中国海には広大な水域があり、米海軍の実力を発揮できる。ここでは多くの国が中国との間に領土係争を抱えており、米国が「バランス」を整え、中国に圧力をかけるための足がかりにできる。そのため国際メディアはマティス国防長官の今回の歴訪を重視し、南中国海の話題をいかにこしらえるかに注目している。

 

 しかし米国は熱くなりすぎるべきではない。米国の南中国海における役割と発揮できる力を過信するべきではなく、ASEAN諸国が米国の政策を歓迎すると理想主義的な憶測をするべきでもない。

 

 多くのASEAN諸国が、高度成長中の中国との経済協力を強化し、正常な友好関係を発展させながら、米国が同地域での存在を維持し、中国の拡大を続ける影響力を相殺することを願っていることは間違いない。ASEAN諸国は中米2大国の影響力の間に挟まれながら、自国の戦略的な自主性を維持しようとしている。彼らは中米どちらか側からの衝突、それからどちらか側の属国になることを回避しなければならない。

 

 ASEAN諸国が中米のどちらか側に一辺倒となれば、属国になりもう一方と衝突するという二つの結果を受け入れることになるだろう。最も典型的なのは、アキノ前大統領時代のフィリピンで、中国と衝突しながら米国から見下された。シンガポールも同じような道を歩むところだった。しかしどちらかへの肩入れがASEAN諸国の利益に合致しないことが再び証明され、フィリピンとシンガポールは適度に政策を調整した。

 

 ASEANと中国の「南中国海行為準則(COC)」をめぐる交渉が始まり、島礁をめぐる係争が抑制されており、これらの係争の地域諸国の団結と協力への悪影響の回避が広い共通認識になっている。この時期に米国のそそのかしに乗り中国と対抗し、中国と戦略的な駆け引きを展開する米国の道具になろうとするほど愚かなASEAN諸国は存在しない。

 

 米国とASEANの間にどのような紙の協定があろうとも、米国に忠誠を誓い中国と真っ向から対立しようとする同盟国はない。米国が南中国海で中国に難癖をつける決意を固めたならば、この海域で孤独な「戦略の海賊」になるだろう。自らを鼓舞するため、域外の数人の船員を抱き込み、自らが「普遍的な正義」を代表していると称するしかない。

 

 中国は米国が南中国海で挑発する際に自制を維持しているが、この自制は無制限ではない。米国側が刺激を繰り返せば、中国は遅かれ早かれ南中国海の島礁を軍事化させる。そうなれば米国には効果的な対策がなく、面目丸つぶれになる。 


 マティス国防長官が現実主義的な態度でインドネシアとベトナムを訪問し、地域の平和と繁栄の願いに理性的に応えることを願う。流れに逆らうべきではない。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月23日


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