米ミネソタ州の白人警察の暴力により、アフリカ系男性のジョージ・フロイドさんが死亡した。これによる抗議デモは連日、全米で持続的に拡大している。各地で混乱や暴力の衝突が発生している。
人種問題、警察の暴力の問題、貧富の格差及び社会の不公平の問題、党の対立の問題ー本件が導火線になり、米国人の長く抑圧されていた不満と怒りに火をつけ、米国社会の多くの痼疾が露呈したと分析されている。
根深い人種問題
米NYマンハッタン5番街で31日、人々が両手を挙げて警察の暴力に抗議した(新華社記者・王迎撮影)。
人種差別問題は米国の歴史と現実の中に深く根ざし続けている。少数の人種は各分野で全面的な差別を受けている。米国の人種問題は近年深刻化し、人種差別に反対する怒りが度々爆発している。
先ほど発表された最新の世論調査によると、フロイドさんの死が反映した大きな問題は「人種差別」が61%にのぼった。「米国の人種状況は全体的に見て悪い」は57%、「過去10年間で人種状況が悪くなった」は45%。
後を絶たない警察の暴力
本件により米国の警察による暴力濫用という深刻な問題が明るみに出た。ワシントン・ポストの統計によると、2015年から現在まで5000人以上の一般人が警察から銃撃され死亡している。昨年だけでも1011人が警察の行動で殺害された。
米国メディアは、今回の全米の抗議デモのエスカレートに伴い、各都市の警察が暴力使用を拡大していると伝えた。米国人は警察のさまざまな暴力的な現場を撮影した。デモ隊に警棒やゴム弾を使い、傍観者や記者も巻き込まれた。女性や老人を押し倒し、パトカーが人々に突っ込んだ。
米NYタイムズスクエアで31日、人々が警察の暴力に抗議した(新華社記者・王迎撮影)。
米首都ワシントンで31日、警察が隊を組み警戒した(新華社記者・劉傑撮影)。
社会の不公平が深刻化
米国各地でエスカレートする混乱は、人種差別に反対し警察の暴力に抗議するほか、貧富の格差の拡大、社会に長期的に存在する不平等などへの人々の深刻な不満を反映した。これは今回の抗議を激化させている。
米首都ワシントンで31日、人々がプラカードを掲げてホワイトハウス前で抗議デモに参加した(新華社記者・劉傑撮影)。
米国の貧富の格差は極めて深刻だ。過去30年に渡り、米国の50%の最下層世帯の資産がほぼゼロ成長となっており、2018年には貧富の格差が50年ぶりの数値を記録した。最も豊かな10%の世帯が、米国の全世帯の総資産の75%弱を占めた。米国の貧困者は3970万人で、ホームレスは毎日50万人以上。高額の医療費を負担できず6500万人が治療を諦めている。
政治的な対立、火に油を注ぐ
人種問題は常に米大統領選挙の議題の一つだ。大統領選の年に発生した本件は自ずと、民主党と共和党が駆け引きを展開する戦場になった。
ホワイトハウスは連日、混乱の責任を民主党関係者と極左に押し付けている。トランプ大統領はツイッターで、抗議デモの収拾に力を入れていないと民主党所属の州知事及び市長を公然と批判した。その一方で米国メディアは、一部の混乱の現場では白人至上主義者が意図的に事態を悪化させている疑いがあると報じた。
米首都ワシントンで31日、デモ参加者が警察のスタングレネードから逃げた。(新華社記者・劉傑撮影)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月2日