4年ぶり、ダボスでの2回目の演説。グローバル化の「存廃の争い」から多国間主義の「真偽の区別」へ。世界は変化しているが、変わらないのは中国の行い、大国としての責任感だ。初めて「21世紀の多国間主義」について論述した習近平国家主席は中国の知恵と先見性により、過去百年なかった大きな変局を迎えた世界の前途を照らした。
「多国間主義の松明で人類の前進の道を照らす」
習主席は25日、世界経済フォーラムの「ダボス・アジェンダ」対話会にオンライン出席し、特別演説を行った。
4年ぶりにダボスの舞台に姿を現した習主席は、フォーラムの主催国であるスイスを除き、対話会の初日に特別演説を行った唯一の国家元首となった。
前回は経済グローバル化の「存廃の争い」に焦点を絞ったが、今回は多国間主義の「真偽の区別」を指し示した。
(一)重要な年の重要な演説
「信頼回復に向かう重要な年」――これはダボス・アジェンダのテーマだ。
4年前と同様、世界は重要な節目を迎えている。
中国の国家元首は2017年1月17日に初めて世界経済フォーラム年次総会に出席し、基調演説を行った。経済グローバル化や保護主義など焦点となっている議題に直面し、世界から注目された。
世界経済フォーラム2017年度年次総会(ダボス会議)の開幕式に出席し、「共に時代の責任を担い、共に世界の発展を促す」と題する基調演説を行う習近平主席
習主席は前回、世界経済フォーラムの創設者でCEOのシュワブ氏に「何度もダボスにお招き頂いたが、最適な時期をずっと考えていた。早く訪れるよりは、適切な時期に訪れるほうがいい」と述べた。
17年は人類史上、重要な年だった。当時の最も差し迫った任務は、世界経済を苦境から脱却させ、人々の経済グローバル化に対する漠然たる認識を明確にさせることだった。その後、「17年は習主席のあの演説から始まった」と論評された。
4年後、またしてもダボス。
双方を比較すると、世界経済はいずれも深刻な問題に直面し、国際情勢が混乱を極めている。異なるのは、現在は一世紀に一度の感染症、百年に一度の変動が重なっていることだ。人類は史上稀に見るほど多くの危機を経験した。
この4年で、世界には多くのことが生じた。
人々が当時懸念していたのは、経済グローバル化を継続できるかだ。今日の議論の焦点は、我々がどのような多国間主義を必要としているかに変わっている。
「多国間主義は必要か」について、中国の立場は明確で一貫している。国際社会の大多数のメンバーも共通認識を持っている。大きな不確実性は少数の国にある。
今年に入り、ほぼ全世界が次のことを観察している。4年間に渡る「国際組織脱退」「条約破棄」「切り捨て」の後、一部の地域における「多国間主義」の衰退を覆すことはできるだろうか。
歴史は決して遠い過去のことではない。
人々が多国間主義に期待するのは、これが一国主義よりはるかに優れた正しい選択だからだ。第二次大戦の終戦から70数年に渡り、多国間主義の旗印のもと、国連を軸とする、国際法を基礎とする国際レジームが、世界平和を守り共同発展を促進する礎としての力を発揮した。
同時に無視できないのは、一部の国が長期的に「選択的多国間主義」を推進し、「多国間主義を掲げながら実際には一国主義を行う」という現象が珍しくもないことで、世界に多くのリスクをもたらした。
そのため「どのような多国間主義」は、現在の世界が直面する重要な問題となった。
(二)多国間主義の「偽を除き真を残す」
新年早々、識者は国際社会に対して、色と形を変えた「偽多国間主義」に警戒するよう警告を出した。
「偽多国間主義」とは何か?
「多国間主義」を旗印として、閉鎖的な集団政治を行う。「多国間主義」を口実として、少数の国が定めたルールを国際社会に押し付ける。「多国間主義」を一つの価値観として、特定の国に向けた価値観の同盟を作る。
このような「多国間主義」はいつも通りに捻じ曲げられたもので、人類が直面しているさまざまな問題の解決に資さず、新たな食い違いと紛争も生じうる。
真の多国間主義を明らかにすることは必要であり、差し迫っている。習主席は特別演説の中で、明確な答えを示した。
「多国間主義の要義は、人々が共に相談し国際事業に取り組み、世界の前途と運命を各国が共に握ることだ」
「人々が共に相談し取り組む」とは、多国間主義は一部の「小グループ」のものではなく、全人類のものでなければならないことを意味する。
開放と包摂を堅持し、閉鎖や排他を行わない。国際法を基礎として堅持し、唯我独尊にならない。協議と協力を堅持し、衝突と対抗を行わない。時代と共に進むを堅持し、現状に安んじない。このすべてが現実に焦点を絞っている。
特に注意すべきは、中国の指導者の演説に「21世紀の多国間主義」という表現が用いられたことだ。
「21世紀の多国間主義は、正しきを守り新しきを打ち出し、未来志向である必要がある。多国間主義の核心的価値と基本原則を堅持すると同時に、世界構造の変化に立脚し、グローバルな試練への対処の必要性に着眼する必要がある。広く協議し共通認識を形成した上で、グローバル・ガバナンス体制の改革・改善に取り組む」
一言でいえば、多国間主義は時代に追いつかなければならないということだ。
習主席が特別演説で「歴史は常に絶えず前進し、世界は過去に戻らない」と述べた通りだ。百年に一度の大変動を迎え、各国は歴史の大きな流れに順応し、正しい選択をしなければならない。
(三)「全人類に有益なこと」に取り組む
今回のオンライン対話会の会期は5日。習主席が招待に応じ、初日に初めて特別演説を行ったことについて、AFP通信は「この日程は世界経済のビジョンに呼応した」と伝えた。
世界で初めて感染症の影響を乗り越え、経済プラス成長を実現した主要経済体である中国の「成績表」が注目され、大きな期待がかかっている。各国は中国が多国間主義を支持するため何をするかに注目している。
そこで習主席は特別演説の中で、「中国がすること」の論述に多くの時間を割いた。
引き続き積極的に感染対策の国際協力に参加し、引き続き互恵・ウィンウィンの開放戦略を実施し、引き続き持続可能な発展を促進し、引き続き科学技術革新を推進し、引き続き新しい国際関係の構築を後押しする――5つの「引き続き」は、新たな発展段階に入り新たな発展構造を構築する中国が、引き続き実際の行動により多国間主義を実践し、人類運命共同体の構築を後押しすることを示している。
中国はすでに社会主義現代化国家の全面的な建設の新たな旅路についている。中国が今後どのように歩むかは、全人類の未来に影響を及ぼす。
習主席は「全人類に有益なことであれば、中国は道義的義務感をもって行い、かつしっかり取り組む」と述べた。
習主席は4年前にダボスで、「中国の発展は世界のチャンスだ」「中国国民は、各国の人々が中国の急行に相乗りすることを歓迎する」と世界に告げた。今日、時代が直面している重大な課題を解消するため、中国という役割が依然として不可欠だ。
ダボスは中国の責任感を見守った。人類史上重要な時に、習主席の2回の「年頭演説」は、雲に覆われた世界に日差しと希望をもたらした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年1月27日