第13期全国政協外事委員会副主任、中国国際交流協会副会長・劉洪才=文
昨年は特別な一年だった。新型コロナウイルス感染症のまん延により、世界経済は大きな打撃を受け、一国主義、保護主義が大きく台頭し、世界のガバナンスシステムが厳しい試練にさらされている。複雑で激しく変化する国際情勢の下、中日関係は改善、発展し続け、両国の指導者は良好な意思疎通を保ち、社会各界は新型コロナとの闘いで助け合い、二国間・多国間の実務協力は絶えず深まっている。こうした成果は容易ではなく、大切にしていくべきだ。今年を展望すると、中国は社会主義現代化国家の全面的な建設に向けて新たな途に就き、日本も引き続き令和時代の新たな一歩を踏み出し、両国関係の発展は新たなチャンスを迎えている。双方は両国指導者の戦略的指導に従い、中日間の四つの政治文書を踏まえ、交流・協力に焦点を当て、連携して試練に立ち向かい、新しい時代の要求に合致する中日関係の構築に努め、両国からアジア、さらに世界のために恵みをもたらすべきだ。それについて、以下のことを提案したい。
昨年11月15日・ベトナムの首都ハノイで行われた地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の調印式(新華社)
第一に、連携して感染症に立ち向かい、共に人類衛生健康共同体を構築する。現在、新型コロナはまだ世界でまん延し、変異したウイルスは猛威を振るい、感染症の防止・抑制は依然として厳しい状況だ。ウイルスに国境はなく、感染拡大は人種を問わない。過去1年の痛ましい教訓は、互いに支え合い、誠意を持って協力することこそ感染症に打ち勝つ正しい道だ――と人々に戒めている。
中日両国は今年も両国民の根本的利益に立脚し、人類運命共同体の理念を貫き、感染症対策に関する情報交換や医療分野の協力を強化し、「山川異域 風月同天」(山河は異なるが、風や月は同じ天の下)という時代の美談を続けるべきだ。また、感染症の政治化・レッテル張りに共に反対し、世界的な感染症の撲滅戦に打ち勝ち、人類衛生健康共同体を構築するために積極的に貢献すべきだ。
第二に、実務協力を深め、アジアと世界の経済の安定的な発展を共に促す。新型コロナは世界経済に大きな打撃を与えている。主要な経済大国はほとんどマイナス成長となり、世界貿易は深刻な影響を受けている。このような厳しい情勢下でも、昨年の中日経済・貿易協力は喜ぶべき成果を上げ、両国間の貿易額は2019年とほぼ同じレベルを維持した。これは中日協力の高い強靭性と大きな潜在力を十分に証明している。
この一年は、両国は時代のチャンスを捉え、デジタル経済やグリーン経済、医療・ヘルスケアなどより多くの協力の注目点を作り、両国民により大きな幸福をもたらすべきだ。同時に、双方は、歴史の流れに順応し、共に保護主義と一国主義に反対し、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効を推し進め、中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉および地域協力プロセスを推進し、世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制をサポートすべきだ。また、グローバル産業チェーンとサプライチェーンの安定的な運営を維持し、アジア諸国ひいては世界各国の共同発展のために尽きない原動力を注ぐべきだ。
第三に、国民感情を改善し、共に中日関係の長期的な発展の土台を打ち固める。国の交わりは民の親しみにある。最新の世論調査によると、両国の国民感情の改善があまり進んでいない。双方はこれをしっかり反省し重視し、より多くの具体的な措置を講じる必要がある。両国は今年と来年、相次ぎオリンピックを開催し、また国交正常化50周年を迎える。双方はこれを機に、新型コロナ対策が常態化する中、新たな交流方法を模索し、相互理解と相互信頼を増進し、民心の通じ合いを促し、中日友好事業の「大飛躍」を後押しすべきだ。
両国間に不一致があるのは客観的事実だ。肝心なのは、制度違いとイデオロギーの境を超え、冷戦思考とゼロサムゲームの意識を捨て、意見の食い違いを効果的に管理・コントロールし、適切に処理し、「互いは協力パートナーであり、脅威とならない」という政治的コンセンサスを実際の行動に移し、両国民の真の友好と両国関係の長期的で安定的な発展のために強固な土台を築くことだ。
新しいこの一年には、新しい息吹が吹き込まれるだろう。双方が共に「和をもって貴しとなす」の身の処し方や「小異を残し大同を求める」という東方の知恵、「同舟共済」(同じ境遇の者同士が助け合う)というパートナーシップの精神を発揮し、両国関係の新たな美しい未来を創り、平和・安定・発展・繁栄のアジアと世界を築き上げるよう希望している。東京オリンピックと北京冬季オリンピックが順調に開催され、大きな成功を収めることを祈る。
人民中国インターネット版 2021年2月23日