カリフォルニア州サンフランシスコで1月31日、あるタイ人の高齢者(84)が道で急に突き飛ばされ、治療の甲斐なく死亡した。
ニューヨークのパン屋で2月16日、アジア系女性(52)が襲撃され、頭に10針縫う怪我を負った。同日、ニューヨークの地下鉄でもアジア系が殴られ負傷する事件が発生した。
ニューヨークのチャイナタウンで26日夜、アジア系男性(36)が暴徒に刃物で刺された。現在も重篤となっている。
中国系米国人の有名バスケ選手のジェレミー・リンは先ほどSNSで、「NBAに9年出場していても、コート上で新型コロナと罵られた」と投稿した。
東部のニューヨークから西海岸のカリフォルニア州サンフランシスコにかけての米国各地で2月27日、アジア系を対象とした人種差別とヘイトクライムへの抗議活動が実施された。
社会の分断という大きな背景と政治の毒の刺激を受け、米国のアジア系住民は「無視できない危機」を迎えている。今年の年初より、多くのアジア系住民が春節(旧暦の新年)を祝うなか、全米各地でアジア系を対象とした暴力事件が発生した。一部は極めて悪質で、米司法省の当局者から「前代未聞」とされたほどだ。
新型コロナウイルスが米国で大流行してから、アジア系住民に対する差別行為とヘイトクライムの増加が続いている。米国の非営利組織「Stop AAPI Hate」が2月9日に発表した報告書によると、同組織は昨年の3月中旬から年末にかけて「アジア系ヘイト」事件に関する2808件の報告を受けた。これらの事件は首都ワシントンと47州で発生した。
多元的な文化を標榜し崇めてきたニューヨークだが、ニューヨーク市警察のデータによると、人種差別によるアジア系を対象とした犯罪は昨年29件(うち24件が新型コロナウイルス関連)にのぼった。2019年は3件のみだった。
本部をサンフランシスコに置く華人権益促進会は先ほど、アジア系への暴力事件は米国及び全世界のアジア系に対して大きな影響を生むと表明した。「我々のコミュニティの年長者や家族は、1人で公共の場を歩いたり外で散歩をする際、あるいはその他の日常生活で不安におののいている」
米カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアのサンマテオ郡で2月27日、人々がアジア系への差別行為とヘイトクライムへの抗議集会を開いた。新華社記者・呉暁凌撮影
アナリストは、米国でアジア系ヘイトが多発していることには多くの原因があると指摘した。
まず、米国には最初から人種主義の土壌があり、人種差別が近年発生している。
「Stop AAPI Hate」の発起人、サンフランシスコ州立大学教授の張華耀氏は昨年「Asia Society」で演説した際に、「米国でアジア系への言語による侮辱、肉体的な攻撃、いじめが激増している根本的な原因は、米国の歴史的なアジア系に対する根深い人種差別とヘイト、長期的に形成されたステレオタイプなイメージと謂れなき憶測による陰謀論だ」と指摘した。
その一方で、米国の良からぬ政治家が感染症を利用し歪曲・中傷に力を入れ、アジア系に汚名を着せている。アジア・太平洋諸島系米国人コーカス議長、民主党下院議員の趙美心氏は「米国のアジア系への差別行為はウイルス流行初期の睨みや言葉による攻撃から、最近多発している肉体的な攻撃や暴力にエスカレートしている。春節期間中に関連する暴力事件が激増し、アジア系は無視できない危機に陥った」と述べた。
趙氏は「トランプ政権と一部の共和党関係者はコロナ禍で何度も武漢ウイルス、中国ウイルス、カンフルーなどの言葉を使った。アジア系への中傷をさらに助長した」と批判した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月3日