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japanese.china.org.cn |11. 03. 2021

日本の専門家が見る「両会」(6) シグマ・キャピタルチーフエコノミスト 田代秀敏

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日中両国はハイテク分野で協力を



   科学技術イノベーションは、今年の中国の「政府活動報告」のキーワードとなっており、「科学技術の自立自強を実現する」という方針に、日本のメディアは大きな関心を払っている。朝日新聞には、「将来、大きな付加価値とハイテク産業を中核としたイノベーション型国家をいかにつくっていくかは、中国にとって早急に解決すべき課題だ」といった内容の記事が掲載され、一方読売新聞には、「米中競争を受け、国力を強める中国の姿勢を垣間見ることができる」とする見解が掲載されている。中国が科学技術のイノベーションをかつてない政治的高みに引き上げようとする今、ハイテク分野での中日協力が果たして可能なのだろうか。中国経済を長年追い続けてきた経済学者の田代秀敏さんに聞いた。


基礎研究を重要視


   第14次五カ年計画では、社会全体の研究開発(R&D)費を年平均7%以上増やし、研究開発費に占める基礎研究費の割合を8%以上に引き上げるなど、科学技術イノベーションに対する今後5年の具体的な発展の目標が定められている。そこから、科学研究、特に基礎科学研究の重要視が垣間見える。

 

 

3月8日、全国「両会」の第2次「部長通路」で記者の取材を受けた科学技術部の王志剛部長は、「第14次五カ年計画では、社会全体の研究開発費における基礎研究の割合を8%前後に引き上げる」と述べた


   基礎科学は長い時間をかけて注目し、資金を投入して支えることが非常に重要だと田代氏は考える。「日本は基礎科学研究への財政的支援に乏しく、短期で成果が得られる実用的な技術開発を優先してきた結果、科学研究の分野では米国に遅れをとってしまった。核心的技術では米国に依存しているのが現状だ」と、日本の科学研究の例を挙げる。


   そのため、中国の第14次五カ年計画で提唱される目標の一つ、「科学技術の自立自強」に大きな期待を寄せていると田代氏は言う。「中国は財政的に豊かなので、リターンを気にせず基礎研究に長期的に投資する力があるので、全人類や未来への恩恵をもたらすことができる科学技術を生み出す可能性が高い。今後は中国が科学技術分野において世界から人材を集め、全人類の進歩に貢献することを願う」


ハイテク分野での中日協力


   米国は半導体チップなどの先端技術分野で中国に対する技術制裁を行っており、日本のメディアは科学研究における中日間交流や協力をネガティブに捉える傾向が強い。「日本の技術を盗む中国を警戒しろ」というメディアの論説について田代氏は、「現在の科学技術の発展に対する無知」と反論、さらに「中国の科学技術における発展は驚くほど速く、ハイテク分野での日中協力の価値と意義は計り知れないほど大きい」と強調した。  


   最近話題の半導体チップを例に挙げ、田代氏は「中国の半導体チップ製造会社・SMICが製造するチップの性能は、ここ数年で大きく向上している。少し前までは20年くらい遅れていると言われていた中国の半導体チップだが、チップの分析や調査を行う日本の業者のレポートを読む限りでは、SMICの製品はすでに約5年前のTSMCのレベルにまで到達しているようだ。中国ではファーウェイの半導体チップ『麒麟』のようにハイレベルなものもすでに設計されている。技術革新の多い半導体のような分野は、常に勝者がいるわけではなく、世界一になったと思ったら、あっという間に後退することもあるし、あっという間に世界一になることもある。そんな分野での日中協力は、『すべき』ものだろう。協力することで、中国は設計の能力を、日本はチップを各種製品に適用させる技術を生かすことができる。お互いの強みを組み合わせていけば、世界の市場の中で比類なきレベルの高性能な半導体チップがつくれるのではないかと思う」と期待を寄せる。さらに「ハイテク産業であるほど、科学的研究成果をより多く上げるためにも、また、日中双方の基幹技術におけるアメリカ依存からの脱却という意味からも、日中協力には非常に意味がある」とその有意性を語った。


 

人民中国インターネット版 2021年3月11日