第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議は11日午後4時に総理記者会見を行い、李克強総理が出席し、国内外の記者の質問に答えた。
今年の大卒者は史上最多の909万人
李総理は、「今年、中国の雇用圧力は依然として大きい。都市部の新規増加労働力は約1400万人、うち大学卒業生は909万人で、史上最多となった。ほかにも退役軍人の雇用を保障し、2億7000-8000万人の農民工(農村からの出稼ぎ労働者)への労働機会提供も保障する必要がある。従って今年もマクロ政策を策定する際、依然として雇用優先の政策を堅持する。経済の安定的な成長回復を通じて、より多くの雇用が牽引され、より多くの雇用が経済が安定の中で好転することを促すと信じる」と述べた。
経済成長の所期目標はGDP 成長率6%以上、「安定こそ力」
日本経済新聞社の記者からの質問に対し、李総理は、「経済成長の所期目標としてGDP 成長率6%以上を掲げており、それが多方面からの注目を集めている。6%という値は低くない。現在、中国のGDPは100兆元(1元は約16.7円)に達しているため、成長率6%とは、つまり6兆元を意味する。これは第13次5カ年計画(2016~20年)当初であれば、8%以上の成長率でようやく達成できる値。しかも、この6%以上という目標に上限を設けていない。実際進めていく中で、より高い成長率となる可能性もある。しかし、我々は計画を立てているわけではなく、見通しを導き出すことで、その見通しが経済回復と成長の基礎を固めるよう導き、質の高い発展を推し進め、持続性を維持し続け、特に来年、再来年の目標へとつながってほしいと考えている。大きな起伏を生じさせてはならない。さもなくば市場の見通しを乱してしまうことになるだろう。急速な成長は、決して安定しているとは限らない。安定した成長こそ、力ある成長と言えるだろう」とした。
中央政府は香港地区の長期的繁栄・安定維持を全力で支持
李総理は、「我々は、『一国二制度』、香港人による香港統治、高度の自治を引き続き全面的かつ正確に貫徹し、憲法と基本法に厳格に従って事務を処理し、特区政府が国家の安全を守るための法制度と執行メカニズムをしっかりと実行し、特区政府と行政長官の法に基づく執政を全力で支援することを明確に打ち出している」と述べた。
全人代が香港地区選挙制度について行った決定について、李総理は、「決定は非常に明確だ。『一国二制度』の制度体系を堅持・整備し、常に愛国主義を堅持するためのものであり、『一国二制度』が安定的かつ長期的に行われることを確実に保証するためのものでもある」と指摘。
さらに、「昨年、香港地区は度重なる打撃を被った。我々は香港地区の各界が手を携え、早急に新型コロナウイルス感染症に打ち勝ち、経済の回復的成長を実現し、民生を改善し、香港地区が長期的な繁栄と安定を保つことを望んでいる。中央政府は全力でこれを支持する」とした。
中米貿易額は昨年8.8%増、中米関係は前進すべき
李総理は、「中米両国が互いの核心的利益と重大な懸念を尊重し合い、相手国の内政や国内問題には互いに干渉しないことを希望している。衝突と対立無き相互の協力・ウィンウィンを原則に掲げ、両国関係を健全に安定した方向へと発展させることは、両国国民の利益に合致しているだけでなく、国際社会の期待するところだ」とした。
そして、「我々は中米両国が多くの分野とレベルで対話することを希望している。たとえ一時的にコンセンサスに達しなかったとしても、意見を交換し、信頼を高め、疑念を晴らせば、溝を解消する役に立つ」とした。
さらに、「中米両国は幅広い共通利益を有しており、数多くの分野で協力することができる。昨年の度重なる衝突の中でも、中米両国の貿易規模は依然として4兆1000億元に達し、8.8%増となった。我々はより多くの精力を共通点に注ぎ、共通利益を拡大していくべきだ。そして中米関係は障害を乗り越え、全体的に安定した方向に向かい前進していくべきだ」とした。
今後も台湾同胞に大陸での発展機会
李総理は、「我々の台湾地区に対する政策方針は一貫しており、非常に明確でもある。つまり、『一つの中国』と『92年コンセンサス』の堅持だ。この点を前提に、台湾地区各党派団体の人々が両岸関係と民族の未来について我々と対話することを歓迎する。我々は平和的発展と祖国統一を堅持し、いかなる形式の『台湾独立』分離活動にも反対し、外部勢力の台湾地区の事への干渉に反対する」と述べた。
また李総理は、「我々は一貫して『両岸は家族のように親しい』という理念を守ってきた。ここ数年は、台湾地区の企業や同胞に対する多くの優遇政策を打ち出し、多くの台湾地区の企業と同胞が利益を受けたと言えるだろう。我々は台湾同胞が大陸での発展機会を享受できるようにし、今後も両岸の融合的発展を促していく」とした。
シニア産業は巨大な成長産業
李総理は、「中国の60歳以上のシニア人口はすでに2億6千万人に達しており、シニア産業もまた巨大な将来の成長が十分見込まれる産業と言え、多様化したニーズをもたらしている。中国市場には多層化と多様化したニーズがあるため、このような巨大な市場は当然ながら、外国企業の製品やサービスひいては投資により多くのチャンスを生み出している。なぜなら我々の市場は開放されているからだ」とした。
中国を外国企業の重要投資先と世界の大市場に
李総理は、「8年間の努力の結果、昨年ASEAN10ヶ国と中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15メンバー国による地域的な包括的経済連携協定(RCEP)交渉が妥結した。これは世界最大の自由貿易圏であり、異なる社会制度と文化・習慣を持ち、異なる発展段階にある国々が共同で設置する自由貿易圏となる。RCEP交渉妥結は、互いに尊重し合い、平等に接し、共通認識に達しさえすれば、共通利益を見い出し、各国の人々の幸福を拡大するだけでなく、地域の産業チェーンとサプライチェーンの安定にとってもプラスとなり、世界経済成長の原動力を後押しできることを示した」と指摘。
さらに、「中国は世界の産業チェーンとサプライチェーンの重要な構成部分だ。互恵・ウィンウィンに資するものでありさえすれば、多国間であれ2国間であれ、どんなメカニズムに対しても我々は積極的で開放的な態度を取る。中国はさらに自発的に対外開放し、今後も外資企業が中国に進出する際のネガティブリスト項目を減らし、サービス業を含む対外開放を引き続き推進する」と述べた。
また李総理は、「我々は今後も市場化、法治化、国際化されたビジネス環境を整えていく。内需拡大を進めながら絶えず開放を拡大し、中国を外国企業の重要な投資先と世界の大市場にしていく」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年3月12日