小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways.Inc ブランド保護顧問
中国の李克強国務院総理は11日、第13期全国人民代表大会第4回会議の記者会見で国内外の記者の質問に答えた際、
「中国の60歳以上の高齢者人口はすでに2億6千万人に達しており、高齢者関連産業もまた巨大な将来の成長が十分見込まれる産業と言え、多様化したニーズをもたらしている。中国市場には多層化と多様化したニーズがあるため、このような巨大な市場は当然ながら、外国企業の製品やサービスひいては投資により多くのチャンスを生み出している。なぜなら我々の市場は開放されているからだ」と述べた。
平均寿命が延び、社会の高齢化が進行する中、いかに高齢者が尊厳を保ち、最後まで有意義に生きぬくことができる社会システムを構築するかは、世界各国の抱える共通の課題である。中国では「第14次五ヵ年計画」期間(2021年から2025年)に高齢者人口が3億人を突破し、中度高齢化社会に入ると予測されている。近年、高齢者関連のサービス市場の拡大によって、特に介護・支援を要する高齢者に対応する若手専門人材の不足、関連サービス従事者の離職率の高さなどが問題となっている。
これに対し、中国政府関連部門では人材育成のための研修プログラム、高齢者関連サービス従事者への奨励金の支給による離職防止対策、介護施設の治療費への保険適用などの試験的取り組みを推進している。
それと同時に大切なのは、例えば介護をうける高齢者の床ずれを防ぐきめ細やかなケアなど、「他者のために尽くす」理念やサービス従事者一人一人の真心からの振る舞いである。この点、日本をはじめ各国での経験に裏打ちされた理念とそれを体現する確かな技術が中国の巨大な高齢者関連産業市場全体の質の向上に果たす役割は大きい。
その意味で、李克強総理の回答は、外国企業の参入や中国企業との協力によって、より高い次元での競争が展開され、高齢者の生活の質の向上につながることを心から歓迎する趣旨といえる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月12日