4月16日、アメリカ・ワシントンのホワイトハウスで共同記者会見を行うバイデン大統領と菅首相(写真=新華社提供)
現地時間4月16日、アメリカのジョー・バイデン大統領と日本の菅義偉首相がホワイトハウスで会談を行った。これはバイデン氏が大統領に就任後、初となる外国首脳との対面だ。会談を終えたのち、双方は「新たな時代における米日グローバル・パートナーシップ」と題する共同声明を発表し、台湾地区、釣魚島、香港地区、新疆維吾爾(ウイグル)自治区、南中国海など一連の中国に関する件で一方的な主張をまくしたてた。
それに対し、中国外交部は4月17日、米日による共同声明は中国の内政への粗暴な干渉であり、国際関係の基本準則に対する重大な違反であるとし、中国はあらゆる必要な措置をとり、国家の主権と安全、発展上の利益を断固として守ると表明した。
米日首脳会談で中国のボトムラインを試そうとする予兆は早くから見られた。3月16日に行われた米日外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の際、双方は中国に焦点を当て、さらに共同声明ではこれまでなかった名指しでの言及をし、中国の行動を「国際秩序と合致しない」とした。これは米韓2プラス2開催後の韓国の姿勢と比べると違いが明らかだ。3月末、日本のメディアは菅首相の訪米中、両国が「台湾海峡の安定の重要性を確認する」と報道していた。
早くから予兆はあったとはいえ、菅首相がこの度中国に関する議題で見せた姿勢は充分に冒険的なものだ。まず、米日共同声明で台湾地区に言及したのは、1969年に行われた当時のリチャード・ニクソン大統領と佐藤栄作首相の会談以来52年ぶりだ。そのほか、米日はいわゆる「人権問題」についてまたも騒ぎ立て、香港地区や新疆ウイグル自治区など中国の内政への粗暴な干渉をし、アメリカは釣魚島に「米日安保条約」が適用されると再び表明して、核兵器の使用を含むあらゆる手段による日本の共同防衛を約束した。
菅首相はなぜアメリカと共に危険な外交を行っているのか?
まず、日本国内で菅首相は外交の才能がないと広く認識されている。訪米前、菅首相は安倍晋三元首相にアメリカの首脳との付き合い方について教えを請い、また日本のメディアを通じてバイデン大統領との共通点をアピールし、個人的関係を構築しようと試みた。外交面で新人の菅首相がアメリカの術中から逃れるのは難しかったのだ。
また一方で、菅首相は現在、各派の力を結集し、支持率を回復させる必要に迫られている。首相に就任した当初、世論調査で支持率は一時70%近かったが、新型コロナウイルス感染症対策が不充分だったことから、3カ月も経たずに33%にまで落ち込み、またもや短命内閣になるかもしれないと予測するメディアもあった。菅首相は自民党外交部会の人権外交プロジェクトチームや台湾政策検討プロジェクトチームなどの力を借りて政権を維持する必要があった。
米日による共同声明の発表は、菅首相が就任当初に交わした「安定的な日中関係」という約束に反する。菅首相がこのように振舞うのは、確実にバイデン政権の「同盟国と連携して中国との全面的対峙を展開する」という調子に合わせたもので、アメリカの安全保障上の約束をさらに強固なものにもする。ただし、日本はそのほかの実際上の利益を得られなくなり、菅首相も政治的危機をかわすことができるとは限らない。
実のところ、これはバイデン政権による「価値観外交」の菅内閣の稚拙な模倣でもあり、バイデン政権の同盟国との連携による勢力に乗じて日本の存在感を拡大しようとしているが、実力の伴わない願いだ。
このほど『ニューヨークタイムズ』が報じたところによれば、緊張の度合いが絶えず高まっているが、日本は中日関係を乱したいとは考えていないという。アメリカの歓心を買うと同時に中日関係も混乱させたくないとしても、日和見的態度と小細工に頼っていてはそのようなバランスは保てず、菅内閣の近視眼的な姿勢を映し出すに過ぎない。
「北京週報日本語版」2021年4月19日