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japanese.china.org.cn |17. 01. 2024

今年の米大統領選のリスクは?

タグ: 米大統領選 リスク
中国網日本語版  |  2024-01-17

 米政治リスクコンサルティング会社のユーラシア・グループはこのほど発表した年間グローバルリスク報告書の中で、「誰が勝とうとも、2024年の米大統領選は世界に最大の政治リスクをもたらす」と指摘した。確かに、米大統領選を今年の世界最大の不確実要素とする見方が広がっている。「環球時報」が伝えた。

 (一)米大統領選はすでに、米国の既存の政治および政策の欠陥の「自己修正」メカニズムの構成部分とは言い難く、むしろ米国自身の分裂を曝露し激化させる加速装置になっている。米国は今年の大統領選で「道」と「ステータス」に関する戦略的な選択を迎える。トランプ氏は人種と宗教の「白人化」志向により米国のステータスと国の一体感を強め、狭隘な民族主義を指導とし「要塞国家」になると誓っている。バイデン氏は民族と宗教の融合の「多元化」を志向とし、エスタブリッシュメントのエリートが認める自由主義で国内外の政権運営を指導する。

 (二)米大統領選の「暴力化」の傾向により、米国の政治マシーンの運転の健全性が危ぶまれている。トランプ氏のSNSや公の場での発言には「復讐」の強い傾向がある。政治と法律のライバルに対する公然たる脅迫が、その大統領選の大きな特徴となっている。このような「乱暴」な候補者は以前であれば有権者から無視されやすかったが、近年はこのような選挙を武器とし、ライバルへの報復の意図を隠そうともしない政治家が人気を集めている。民衆は日増しに政治エリートへの不満を募らせているが、過激な人物が表舞台に立つことを支援することで、エリートの利益をより多く反映する現行の政治体制を弱めようとしている。今回の米大統領選はポピュリズムと個人化の傾向が強まっており、選挙そのものがより暴力的になる可能性が高い。

 (三)選挙のSNS化と情報のAI化により、今回の米大統領選はさらなる政治の暴力もしくは国内のテロ事件を引き起こしやすい。陰謀論が広まり、フェイクニュースもしくは間違った情報が溢れ、過激な勢力が氾濫するなど、有権者は選挙において重要な情報が真実であるかを見分けにくくなっている。さらに深刻なことに、ディープフェイクを始めとするAIフェイク技術がSNSで広まり、多くの有権者が情報の「ブレインストーミング」に支配され、政治的に利用されてもまったく気づかなくなっている。

 我々はその国際事業における影響力を鑑み、米国が国内の混乱によって世界により多くの動乱をもたらすのではなく、大統領選において自身の分裂を克服することを願う。人々は対抗や危機ではなく、世界の安定性と確実性を増すことを願っている。(筆者・李海東外交学院国際関係研究所教授)

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月17日