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japanese.china.org.cn |26. 05. 2025

「リスボン丸」は沈んだが、人間性の光は永遠に沈まない

タグ: リスボン丸
中国網日本語版  |  2025-05-26

今年は中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年にあたり、英国も8月に対日戦勝記念日行事を開催予定だ。このような背景を踏まえ、これまでほとんど知られていなかった歴史が、一つの記念碑とドキュメンタリー作品を通じ、平和を愛し中英友好を重視する人々の記憶に刻まれようとしている。

1942年10月、日本軍は徴用した貨客船「リスボン丸」で1800人以上の英軍捕虜を香港から日本へ移送中、浙江省舟山沖で米軍から攻撃を受けた。日本軍は直ちに救助を行うどころか逃走者を銃撃し、800人以上が犠牲となった。生死の境で、舟山東極の漁師たちは小型船を操り銃弾の雨の中に何度も突入し、計384人の捕虜を救助した。この勇敢な行為は中英両国民が共有する歴史の記憶における感動的な一幕となった。

「東極漁師英国兵捕虜救助記念碑」の除幕式が5月20日、浙江省舟山市東極青浜島で執り行われた。英国から遠路はるばる訪れた「リスボン丸」生存英国兵捕虜の子孫18人が参列した。参列者の一部は、祖先を救ったこの地に初めて足を踏み入れた。

「この記念碑は橋のような存在だ。過去と現在を繋ぎ、中国と英国を結び、悲しみと結束をつなぐ」と語ったのは、英国「リスボン丸」記念協会会長で同船生存者トーマス・セオドア・ジョーンズの孫アンソニー・ジョーンズ氏だ。

3日後の5月23日、中国国家映画局と在英国中国大使館の共催による2025年「中国映画祭」がロンドンで開幕した。開幕式には「リスボン丸」捕虜家族ら約200人の賓客が招かれ、ドキュメンタリー「リスボン丸沈没」を共に鑑賞した。

この8年がかりで製作されたドキュメンタリーは、事件の生存者とその子孫及び歴史学者への緊急取材を実施し、大量の貴重な歴史文書や映像資料を発掘。83年前の歴史の細部がスクリーンに再現されると、観客は中国の漁師の飾らぬ善行に深く心を打たれた。

当時の救助活動は組織的な軍事連携ではなく、一般市民の道義的選択だった。夜を徹して小船で海に出た東極の漁師たちは、言葉が通じず身振り手振りで捕虜を救出。自身の食料不足の中、かすかな米の汁、塩漬け魚、薬草を捕虜に分け与えた。英国兵は日記に、「漁師がくれた焼き芋は、捕虜生活3年間で最も温かい食事だった」と記している。

英紙「タイムズ」紙は、「勇気と共感の物語を記録した非凡で唯一無二の作品」と評価。英紙「ガーディアン」は、「英国の戦時悲劇を深い共感で描くドキュメンタリー」と評した。

「リスボン丸」は沈没したが、人間性の光は永遠に消えず、善意と友好への共感は海と山を越えて五大陸に通じる。最後の救助に参加した漁師の林阿根氏が5年前に死去した際、英国人生存者の子孫は弔電で、「彼が遺した勇気・英雄主義、そして人類最悪の残虐行為に直面しても示した人間の善意は、世界への遺産だ」と述べた。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年5月26日