| japanese.china.org.cn |29. 12. 2025 |
歴史的レッドラインと現実の挑発:高市早苗氏の言動に潜む秩序の危機
中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)傘下のCGTNの公式サイトは、日本の高市早苗首相による最近の一連の不適切な発言について、中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長による評論「歴史的レッドラインと現実の挑戦:高市早苗氏の言動に潜む秩序の危機」を掲載しました。同評論は戦後東アジアにおける国際秩序の構築と崩壊、および現在直面する深刻な課題を深く分析しています。
論評は、「日本の高市早苗首相は2025年11月上旬、『台湾有事』が日本の集団的自衛権行使が可能な『存立危機事態』となる可能性を公然と宣言し、台湾海峡問題への武力介入の可能性を示唆した。これは中国の内政に対する粗暴な干渉と露骨な武力的脅しにとどまらず、一連の歴史修正主義的行為の延長線上にあり、第2次世界大戦の勝利の成果と戦後東アジアの国際秩序に対する公然たる挑発と裏切りである。この危険な発言は、われわれに第2次世界大戦後の国際法秩序の基礎に改めて目を向け、戦後秩序がいかに意図的に破壊されてきたかを明らかにする必要性を突きつけている」と指摘しました。
論評はまた、「反ファシズム戦争の勝利は現代の国際秩序の基盤を築いた。それは『国連憲章』を核心とし、『カイロ宣言』『ポツダム宣言』などを法的根拠とする戦後国際秩序を確立し、戦禍を永久に断つことを目的としていた。だが、米国が冷戦の必要性から迅速に地域政策を転換し、日本を支援して再武装を奨励したことで、日本が侵略の歴史を否定し、歴史修正主義を推し進める最大の外部要因となった。
その中で、1951年に締結された『サンフランシスコ平和条約』およびその不法な条約に基づいて1972年に琉球の施政権が密かに譲渡されたことの二つは、戦後秩序を破壊した重要なステップであり、いずれもその合法性に重大な欠陥を抱えている。この平和条約は、締約主体、手続き、内容などあらゆる面で、1942年1月に世界反ファシズム連盟が署名した『連合国共同宣言』の『各国政府は本宣言署名国政府と協力し、敵国と個別に停戦協定または平和条約を結ばないことを保証する』という規定から明らかに逸脱している。中国、ソ連、ポーランド、チェコスロバキア、朝鮮半島の南北両方、インドなどはいずれも参加も署名もしていない。この条約は『多国間の裁定』を『米日間の取引』によって置き換えたものである。
沖縄問題に関しては、国際法の文書に照らせば、沖縄は明らかに日本の本土四島(本州、北海道、九州、四国)には含まれず、『連合国が共同で処理を決定するその他の小島』に分類すべきものであった。だが、『サンフランシスコ平和条約』はこれを改ざんし、沖縄の扱いを信託統治の枠組みに変更した。さらに、日本は米国が国連に沖縄の『信託統治案』を提出することに『同意』し、米国を唯一の施行主体としたことは、日本の無条件降伏という強制的な法的前提に反するものであった。『サンフランシスコ平和条約』は日本の『同意』『信託』という表現を通じて、日本の沖縄に対するいわゆる『主権』を正当化し、『主権をめぐる係争問題』を『合法的』な信託統治に偽装することで、沖縄の主権問題を曖昧なものにする意図があった。
琉球問題に対する『サンフランシスコ条約』の取り決めとその後の実践は、本来国連が主導すべき多国間統治機能を米国単独の軍事支配に置き換えてしまった。『国連憲章』第79条に照らせば、米日間のいわゆる『信託合意』は主体資格の点からも信託統治の根拠とはなり得ない。日本は武力征服によって琉球を強制的に併合し、無条件降伏によって琉球に対する『権利』を失い、直接関与する国ではなくなっており、また1951年当時の日本は国連加盟国でもなかったため、琉球問題の処理に関与する資格を持たなかった」としています。
論評はさらに、「米国は1951年以降20年以上にわたって、国連の信託統治理事会に琉球(沖縄)の信託統治案を提出しておらず、いわゆる『信託統治』は実際には2国間の私的譲渡にとどまっていた。日本側から見れば、琉球(沖縄)の違法占拠を継続するという目的を達するため、国連の信託統治体系への組み入れを拒否し、日米安保体制を琉球(沖縄)まで及ぼすのを認めることで米国側の支持を得た。米日双方の行為は『カイロ宣言』『ポツダム宣言』などの規定を改ざんし、中国の主権と領土保全を深刻に侵害している。『カイロ宣言』では台湾・澎湖諸島などは中国に返還されなければならないと規定しているが、『サンフランシスコ平和条約』はこれらの領土を日本が放棄することのみを規定し、具体的な帰属を明らかにしなかった。『サンフランシスコ平和条約』第2条において中国領土に関して規定している部分は、『条約は第三国の同意なしに、その国に義務や権利を創設することはできない』と定めた『条約法に関するウィーン条約』第34条の『第三国に関する通則』に明らかに違反しており、中国は『サンフランシスコ平和条約』の締約国ではなく『第三国』に属するため、同条約の規定は中国に対して拘束力を持たない」と指摘しました。
論評は、「高市早苗政権の一連の行動は、こうした崩壊した秩序の上に成り立っていると同時に、戦後平和体制の残された基盤を瓦解させようとするものだ。高市氏が『台湾有事』を日本の『存立危機』と宣言することは、『中日共同声明』における『内政不干渉』の原則への背信であり、『脅威と武力の使用を禁ずる』という『国連憲章』の条項を踏みにじるものでもある。もし日本が安全保障戦略をさらに攻撃的方向へ転換し、高市氏が示唆したように『非核三原則』にまで踏み込むなら、それは『ポツダム宣言』の日本軍武装解除・軍需産業制限の規定に直接違反し、日本国憲法第9条の平和原則をも突破することになる」と強調しています。
第2次世界大戦の勝利の成果を改ざんすることは許されず、戦後の国際秩序は覆されてはなりません。日本が国際社会で真に尊重されるためには、歴史を直視し、約束を守り、地域の平和と安定を破壊するあらゆる危険な行為をやめなければなりません。(藍、坂下)
「中国国際放送局日本語版」2025年12月29日
