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japanese.china.org.cn |09. 03. 2026

不安定な世界で中国が示す「確実性」 外資企業が見る全国両会と「第15次五カ年計画」

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中国網日本語版  |  2026-03-09

「第15次五カ年計画」(2026〜2030年)の初年度という節目を迎え、北京で全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会)が開幕した。今年の会議では、中国政府が年間経済目標を発表し、一連の重点任務を手配するほか、全国人民代表大会で「第15次五カ年計画」綱要(草案)を審議し、2026年~30年の政策目標を概説することから、日本企業関係者からは例年以上の関心が寄せられている。

経済政策に注目 精緻化と着実な実施を期待

株式会社日中産業研究院の松野豊代表取締役は、「『第15次五カ年計画』綱要の内容や重要業績評価指標(KPI)、そして今後の産業政策の精緻化に注目したい」と強調する。とりわけ綱要草案の冒頭に掲げられた「現代化産業体系の構築」は中国にとって極めて重要であり、国際競争力を備えた産業育成へ全力を注ぐべきだと指摘する。

一方、AGC株式会社執行役員でAGCグループ中国総代表の湯山空樹氏は、①内需の着実な拡大と消費回復、②ハイエンド化・デジタル化を軸とした産業構造の転換、③カーボンニュートラルに向けた政策推進、④各種の経営主体の活力を十分に引き出す制度――という4点を特に重視する方針を示す。その上で湯山氏は、「世界経済が不安定さを増す今、将来を見据えた具体的かつ確実性のある計画が示されることは歓迎すべきだ。中国政府の高い遂行力により、今回の計画もこれまでと同じく着実に実現されることを期待している」と述べた。

また、アビームコンサルティングの中国法人、徳碩管理諮詢(上海)有限公司の中野洋輔董事長兼総経理は、政府活動報告に掲げられた「内巻式競争(閉鎖的な環境下での過度な消耗戦的競争)の徹底的な是正」に大きな期待を寄せ、「外資系企業としてもこの政策が着実に実行され、すべての市場主体にとって公平かつ持続可能な競争環境が創出されることを強く望んでいる」と述べた。

「量」から「質」へと転換させる現実的な選択

今年の政府活動報告で示された2026年のGDP成長率目標「4.5%~5%」について、経営者たちは揃って「質的転換を象徴する現実的な数値」として評価した。

中野氏は、この目標を単なる数値の下方修正ではなく、中国が発展の「含金量(中身)」と持続可能性をより重視し、経済を「量的拡大」から「質的向上」へと転換させる決意の表れだと分析する。これは理性的かつ必要な選択であると評価した。

松野氏も「妥当なものだ」と評価しつつ、今後の持続性確保にはGDPという数値そのものよりも、労働生産性の向上や高付加価値産業の拡大、海外投資による所得収支の改善が重視されるべきだと強調した。

湯山氏も同様に、中国経済の成長の鍵がイノベーション促進や労働力の高度化、環境負荷低減といった構造的課題への対応に移ったと指摘し、提示された目標は中国の経済・社会・技術ポテンシャルから見て十分達成可能だと評価した。

今後5年の事業展開

中国政府が掲げる「既存産業の高度化、新興産業の育成、未来産業の布石」という「三業並進」の方針を受け、100年以上にわたりイノベーションをけん引してきたグローバル素材企業のAGCグループは今後5年間、鉄鋼・石油化学といった既存産業から、新エネルギー・ロボットなどの新興産業、さらにはバイオ・水素・6Gといった未来産業に至るまで、あらゆる分野で不可欠な新素材を提供しつつ、中国企業と連携しながら中国市場での持続的成長を実現し、中国から世界への価値提供の拡大にも寄与していきたいと考えている。

一方、中野氏は中国経済の発展に対して楽観的な見通しを示し、質の高い発展の促進に向け重点分野への投資が拡大する中で、コンサルティングサービス業界にも新たな機会が訪れると見る。徳碩諮詢は今後、①在中国日本企業への包括的コンサルティング、②中国ローカル企業のグローバル進出支援、③AIをはじめとした新技術ソリューションの提供――という「3本柱」を中心に布石を打つ方針だ。   

中野氏は「中国は日本にとって不可欠な隣国だ。我々はこの中国において、まだまだ多くの成長の機会があると考えている」と語る。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年3月9日