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japanese.china.org.cn |18. 03. 2026

中東の戦乱、世界の家計負担増を招く

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中国網日本語版  |  2026-03-18

エジプト・カイロに住む清掃員のサミーラさん(61)は最近、目が覚めるたびに家計の見直しを強いられている。10日には、通勤に使うミニバスの運賃が18エジプトポンドから20ポンドに値上がりしたことに気づいた。1日4回乗れば8ポンド余分にかかり、夕食のトマトを2つ減らさなければならない。さらに悪いことに、トマトも1キロ18ポンドから25ポンドに高騰していた。

この海外メディアの記事は、中東の戦乱が世界中に「戦争税」の請求書を送りつけているという否定できない事実を示した。

・1枚目の請求書 石油・ガス料金

ホルムズ海峡が事実上、封鎖された。世界のエネルギー大動脈であるこの海峡は、世界の石油貿易の4分の1を担っている。海峡が封鎖されれば原油価格が上がる。米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、ブレント原油先物相場は累計で約40%上昇し、3月16日には再び一時1バレル100ドルの大台に乗った。国際エネルギー機関(IEA)はこれを、「世界がこれまで経験したことのない規模のエネルギー供給断絶」と評した。

米国のガソリン平均価格は1ガロン当たり3.59ドルまで上昇し、2024年5月以来の高値を更新。過去1カ月で22%も跳ね上がった。原油価格が1バレル10ドル上がると、米国の一般家庭は年間約450ドルの支出増を強いられるとされる。

欧州はさらに苦しい。イランによるカタール天然ガス施設への攻撃後、世界の液化天然ガス(LNG)の5分の1超が事実上の供給停止に陥った。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長によると、紛争発生後、欧州はエネルギー輸入に追加で30億ユーロを支払った。

アジア太平洋地域も圧力にさらされている。石油・ガス価格高騰の影響を和らげるため、日本は4年ぶりに国家石油備蓄を放出。韓国は30年ぶりにガソリン価格の上限を見直した。フィリピンはエアコン温度の調整と週4日の出社勤務を要請。ミャンマーは節油を呼びかけ、バングラデシュの大学は休校に踏み切った。

・2枚目の請求書 食費

北半球では春の播種の時期を迎え、肥料の需要が高まっている。中東は世界の肥料供給の中心地であり、世界の肥料輸送の約3分の1がホルムズ海峡を通過する。海峡が封鎖されれば肥料船が通行できず、畑の作物は施肥の問題に直面する。

ドゥジャリク国連事務総長報道官は、エネルギー・肥料・輸送コストの上昇が世界の食料価格を押し上げ、家計負担増を深刻化させるという懸念を表明した。

中東諸国が真っ先に打撃を受け、米国も圧力にさらされている。調査会社ウルフ・リサーチの試算では、肥料供給のひっ迫により、トウモロコシ、大豆、小麦、稲などの減産が生じ、米国の家庭における食料インフレ率が約2ポイント上昇する可能性がある。

・3枚目の請求書 交通費

原油価格の高騰に伴い、移動コストがさらに上がる見通しだ。ロイターなどによると、湾岸地域の燃料供給が事実上断絶し、燃料コストが80%超上昇。世界の航空会社の潜在的な損失は最大1千億ドルに達する恐れがある。

コストは最終的に消費者に転嫁される。米誌「タイム」によると、複数の航空会社が燃油サーチャージを引き上げ、キャセイパシフィックの航空券価格は倍増した。紛争により路線運賃も大幅に上昇し、シンガポール航空の一部路線では運賃が900%も上昇した。

長距離移動だけでなく、都市内の移動も影響を免れない。米経済メディア「ビジネスインサイダー」によると、配車アプリのUberとLyftのドライバーは原油価格高騰に苦しんでいる。

プラットフォームの料金ルール上、頻繁な停車による燃費を減らすため、短距離の受注を減らさざるを得ない。ドライバー減により、地域住民の短距離移動がますます困難になっている。

・4枚目の請求書 衣料費

化学繊維、染料、衣料を運ぶトラックも石油を使う。原油価格が上がれば、サプライチェーン全体で値上がりする可能性がある。

その他の請求書も続々と届こうとしている。

中東6カ国の電解アルミニウム生産能力は世界の約9%を占める。アルミニウム・バーレーンが不可抗力により段階的な生産停止を開始し、カタールの製錬所が操業停止した。ロンドン市場のアルミ価格は4年ぶりの高値をつけた。その影響は、新築住宅の窓、台所のアルミホイル、缶飲料などのコスト上昇に現れている。

ヘリウムも例外ではない。スマートフォンのチップやAIサーバーはヘリウムが不可欠だ。世界のヘリウム生産の30%がカタールに集中する。カタールが攻撃を受けたことで、世界の4分の1超のヘリウム供給が断絶。価格高騰の波はサプライチェーンに影響を与え、スマートフォンにまで波及する。

商務部研究院の白明研究員は取材で、地政学的リスクによる今回のコストショックは多くの企業に経営負担の増大をもたらすとともに、各家庭の日常的な支出と基本的な生活に深刻な影響を及ぼすと述べた。

白氏は、中東情勢が産業チェーンを通じて波及し、供給側ではサプライチェーンの寸断、需要側では企業の経営と家庭の消費を抑制し、需給両面から世界経済を下押ししていると分析した。

中東の砲火は、世界全体が支払わなければならない請求書へと変わりつつある。その受取人は、ガソリンを入れ、ガスを使い、食事をし、服を着て、移動し、スマートフォンを使うすべての人々なのだ。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年3月18日