中国社会科学院が15日に発表した「都市青書:中国都市発展報告(NO.2)」では、日増しに広がる都市と農村の格差に対する懸念が示され、さまざまな不調和をもたらす都市発展モデルは捨て去るべきだとの見方が打ち出された。「新京報」が伝えた。
中国の都市発展には「不調和」という特徴がある。その表れの一つが、都市と農村の発展の不均衡だ。中国社会科学院年発展環境研究センターの魏後凱・副主任は、昨年のデータに基づいて都市と農村との収入比を3.31と分析している。「ほかの要素も考慮すれば、都市と農村との収入格差はほぼ4倍から6倍と考えられる。2000年の時点では、この比は2.79に過ぎなかった」。パソコン保有量にも都市と農村との不調和は表れている。都市家庭100戸当たりの保有量59.3台は、農村家庭の保有量を10倍前後も上回った。
魏副主任は、「中国の都市発展は、都市と農村とを分割する従来のモデルから、都市と農村を一体化させるモデルへと転換されなければならない」と呼びかけている。政策・産業構造・インフラ建設などを絶え間なく農村にまで延長し、就業問題の解決も都市と農村を一体化させた政策を取る必要がある。
報告書ではまた、戸籍制度の改革が急務であることが指摘された。中国では、戸籍管理制度と建設用地管理政策が長年にわたって続けられてきた。この結果、工業の集中した地域で産業が成長し就業人口が増加する一方で、就業者家庭の居住環境は都市化から取り残され、工業化に比べて都市化の歩みがおくれることとなった。このような都市では発展に底力がなく、経済危機が起こって工業が縮小すれば、都市経済が破壊的な低迷に陥る恐れがある。そうなれば農民工(農村からの出稼ぎ労働者)を主体とする労働者の失業が激化し、大規模な帰郷の波を引き起こすこととなる。資源の浪費でもあり、社会不安定の要因ともなる。
経済調整による収入レベルの相対的低下は、潜在的な社会問題をもたらしている。報告書ではこれについて、「金融危機と経済調整の時期には、国民収入の分配を徐々に調整し、消費品への補助を適度に実施する必要がある」との指摘がなされた。
「人民網日本語版」2009年6月16日