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工芸美術品

 中国の工芸美術品は種類が多く、技術的に優れ、多くの作品は神技と言えるほどで、鑑賞家と収蔵家に好まれている。工芸美術品は特種工芸品と民間工芸品の2種類に大別される。

 特種工芸品は貴重な、または特殊な材料を使って、入念なデザインと加工を経て作り上げられたもので、高雅な品格があり、値段も高い。例えば象牙彫り、玉石彫り、寿山石彫りなどがそれである。

 次に、いくつかの有名な特種工芸品を紹介する。

 ●象牙彫り 主産地は北京、広州と上海である。北京の象牙彫りは主に美人と花鳥を題材としたものである。広州は精緻なボール型象牙彫りで名を馳せている。上海の象牙彫りの多くは人物を題材としたものである。作品は精巧かつ見事で、生き生きとしている。原材料の欠乏のため、技術はだんだん衰退している。

 ●玉石彫り 玉石を原材料に彫った作品である。職人は玉石の天然模様、光沢、色を生かして加工し、玉石の色と作品の形態を巧みに結びつけ、大自然の魅力を十分に引き出している。

 ●石彫り さまざまな貴重な石、例えば寿山石、田黄石などを原材料とし、その色、形に基づいて彫刻を施し、作品は極めて情趣に富むものである。

 ●漆彫り(堆朱) まず純粋の漆で器物を作り、それから器物の上に彫刻を施すのである。作品の色の多くは朱色であり、古めかしくて美しい。作品としてさまざまな瓶、かめ、大型屏風などがある。

 ●景泰藍(七宝焼) 内外に名を馳せた工芸品であり、明代の景泰年間(1450〜1457)に生産された藍色上薬のものが最もすぐれていたので、景泰藍と言われている。作品は銅の下地に銅線を嵌め込んだり、金銀をメッキしたり、上薬を塗ったりして焼成したもので、金ぺきに輝くように見える。主な品種には瓶、碗、優勝カップなどがある。

 中国の民間工芸は悠久な歴史と幅広い大衆的基盤があり、深い文化・歴史の味わいを持ち、その作品は人々の美意識と鑑賞の情趣を呼び覚ますものである。古代から現在まで、中国の民間工芸品は濃厚な郷土色と民族的風格を持ち、品種は豊富多彩で、立派なものがたくさんある。

 芸術形態から見て、中国の民間工芸は剪(切り)、扎、編、織、刺繍、彫刻、彫塑、絵画に分けられる。

 剪(切り)は剪紙(はさみで切りぬく切り紙)、刻紙(彫刻刀で彫り刻む切り紙)、剪影(シルエット)、折り紙、紙塑(堆紙)、皮影(ロバの皮で切りぬいた影絵)などを含み、これらはみな切り紙から発展してきたものである。

 扎は紙、絹、竹、糸で縛ったり編んだりして作ったタコや灯ろうなどを含む。

 編はさまざまな草編み、糸編みを含み、大衆的な民間工芸である。そのうち布製のトラ、枕、針刺し、香包(香料が入っている小さな袋)、彩球(色とりどりの絹織物や糸で編んだ球)、靴のうち底に敷く布製のもの、ビロードでできた花鳥などはみな深い味わいと濃厚な郷土色を持っている。

 織は民族の特色を持つろう染め、くくり染め、カラー刷り、ドロンワーク、クロスステッチなどを含み、編む、織る、補うなどの技法によって、おのおの特色を持っている。
 刺しゅうは錦織り、刷り、捺染、刺しゅうなどを含み、そのうち蘇繍(蘇州の刺しゅう)、湘繍(長沙の刺しゅう)、粤繍(広州の刺しゅう)と蜀繍(成都の刺しゅう)は中国の四大刺しゅうとして有名である。

 彫刻は竹、木、果実の核、玉石、石、動物の角と骨などを材料とし、作品は仮面、人形の首、人物、動物などがあり、花、草、魚、虫なんでもござれである。
 彫塑は面塑(しんこ細工)、泥塑(粘土細工)、酥油花塑(バターフラワー細工)、陶器(焼き物)などを含み、作品は鑑賞性があるばかりでなく、児童の玩具としても使える。

 絵画は手描き、木版刷り、繋ぎ合わせ、焼き付けなどの技法を含み、作品は絵みたいであるが、絵ではなく、独自の風格を持ったものである。

 中国は磁器の故郷であり、磁器の生産地は南北各地に分布している。南方の磁都(磁器の町)としては江西省景徳鎮、湖南省醴陵があり、北方の磁都としては河北省の唐山と邯鄲、山東省し博がある。これらの磁都で生産されている磁器はそれぞれ鮮明な特色を持っている。古代の有名な窯、例えば竜泉窯、鈞窯、汝窯、官窯、磁州窯、耀州窯などが所在したところでは、失われていた技術の復活によって、古い窯を蘇らせている。このほか、中国の有名な陶都(陶器の町)――江蘇省宜興で生産されている紫砂陶器は古めかしい優雅な造型および重厚な色と艶を持つことで人々に喜ばれている。