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民族の伝統スポーツ

 中華民族の伝統スポーツは中国スポーツ事業の重要な構成部分であり、中国人民の貴い文化遺産である。多くのすぐれた民族の伝統スポーツ種目は、健康増進に大きな価値があるばかりでなく、高い芸術的価値と豊かなレジャー・教育の機能がある。新中国建国後、政府は少数民族の伝統スポーツの展開をとくに重視し、1000余りのスポーツ種目を発掘し、整理している。例えば、蒙古族のすもう、競馬、弓術、回族の羽根蹴り、綱引き、チベット族のヤク競技、ミャオ族のぶらんこ乗り、竜舟競漕、チワン族のまり投げ(チワン族の青年男女が愛情を表すことから対抗的試合種目になる)、朝鮮族のシーソーゲーム、満州族のアイススケート、トン族の木馬乗り(竹馬対抗戦)、ヤオ族のこま回し、高山族の凧揚げ、キルギス族の「姑娘(おとめ)を追う」競技、プーラン族の藤球などがある。そして竜舟競漕、凧揚げ、ヤンコ踊り、囲碁、気功、太極拳などは、漢民族と少数民族が共に好む伝統スポーツ種目である。

 竜は中華民族のシンボルである。竜の造形をまねてつくった、竜の名のついた竜舟(ペーロン)は、中国の各民族人民が長期にわたる生産の実践と社会活動の中でつくり上げたエスニックスタイルを持つものである。竜舟競漕は濃厚なレジャー性と激しい競争性を持ち、南方の水郷地域では、さらに広い大衆的基盤がある。
 凧揚げは中国古代の重要な発明の一つであり、世界最古の人工飛行器である。凧造りは中国でかなり普及されており、北京、天津、山東省い坊、江蘇省南通の4つの地域の凧揚げはそれぞれが一派をなし、特色があり、世界的にも有名である。4月1日は年1回のい坊凧祭りであり、世界各地から来た凧マニアが技術を交流し、友情をあたためている。

 ヤンコ踊りは鮮明なリズムの音楽に伴奏されながら踊る民間の踊りであり、主に中国の北方地方で流行っている。踊りの動作の幅が大きいので、芸術的実演から健康増進のためのスポーツ活動となり、とくに中・老年の女性の間で人気がある。
 囲碁は中国を発祥の地とし、春秋・戦国時代にすでに囲碁についての記録がある。その後、日本、韓国、さらに欧米諸国に伝えられた。新中国建国後、正式なスポーツ競技種目に指定され、現在、世界じゅうに広く伝わり、発展をとげている。
 武術は拳法、器械、定まった技法、実戦形式を主とし、健康・護身のためにもなれば、養生・保健のためにもなるスポーツ種目であり、数千年来ずっと大衆の間で広く伝わっている。

 太極拳は中国武術の数多くの拳法の中の一つであり、300〜400年の歴史がある。太極拳は古代の道家の養生・修養鍛練と融合し、陰陽と経絡学を結びつけて生まれたものである。太極拳は河南省温県の陳家溝を発祥の地とし、陳式、楊式、武式、孫式、呉式など多くの流派があり、動作は連続してゆるやかで、意を体に導き、意、気、体の三者が呼応し合い、静を以って動を制し、柔を以って剛に克つということが求められている。

 気功は中華民族の優れた遺産であり、数千年の長い歴史がある。それは病気を治し、体を丈夫にし、精神を鍛えるうえで積極的な役割を果たしている。そのため、武術と気功は中国で風靡するばかりでなく、世界各地にも広く伝わっている。

 中国はまた定期的に全国少数民族伝統スポーツ大会を開催し、各民族のスポーツ選手が一堂に集まり、技芸を競い合っている。