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民族区域自治

 各民族の平等、団結、相互援助、共同繁栄をめざすことは、中国政府が民族関係を処理するうえでの基本的原則である。中国の憲法は、@各民族はすべて平等である、A国は各少数民族の合法的な権利と利益を保障する、Bいずれの民族に対する差別と抑圧をも禁止し、民族の団結を破壊するか、または民族の分裂をつくり出す行為を禁止する、C大民族主義、主として大漢族主義に反対し、また地方民族主義にも反対する、D各民族は自民族の言語・文字を使用し発展させる自由を有し、自民族の風俗、習慣を保持または改革する自由を有するなどと規定している。

 上述の基本的民族政策に基づいて、中国は民族区域自治制度を実施し、つまり国の統一指導のもとで、少数民族の集中居住地域を基礎として、それ相応の自治機関を設立し、自治権を行使し、少数民族自らが国の主人公としてそれぞれ自民族内部の地方事務を管理することである。1984年の第6期全国人民代表大会第2回会議で採択された「民族区域自治法」は、民族区域自治制度の実施を具体的に保障するための基本的法律である。現在、全国には内蒙古自治区(1947年5月1日成立)、新彊ウイグル自治区(1955年10月1日成立)、広西チワン族自治区(1958年3月5日成立)、寧夏回族自治区(1958年10月25日成立)、チベット自治区(1965年9月9日成立)の5つの自治区があるほか、30の自治州、120の自治県(旗)、1300余の民族郷がある。民族自治地方の自治機関は自治区、自治州、自治県(旗)の人民代表大会と人民政府である。各自治区、自治州、自治県(旗)の人民代表大会常務委員会主任または副主任、自治区主席、自治州州長、自治県県長は、区域自治を実施している民族の公民が担当する。

 民族自治区域の自治機関は、同級地方国家機関の職権を行使するほか、下記の広範な自治権を有している。@当該区域の民族の政治、経済、文化の特徴に基づいて、自治条例と単独施行条例を制定する、A民族自治区域の財政収入を自主的に処分、使用する、B当該区域の建設事業および教育、科学、文化、医療・衛生事業を自主的に按配、管理する。そのほか、国は大学、民族大学(学院)、民族幹部学校によって少数民族幹部と専門技術者の養成に力を入れている。中央政府は資金、物資の面で積極的に民族自治区域を支援し、その経済・文化の発展を促している。