主な都市
中国は現在、都市が668ある。そのうち人口200万以上の都市は13、人口100万〜200万の都市は24、人口50万〜100万の都市は48、人口20万〜50万の都市は205、人口20万以下の都市は378である。
●北京市 北京は中央の直轄市で、中華人民共和国の首都であり、都市部人口は734万人である。北京は全国の政治の中心であり、文化・科学・教育の中心、交通の中枢でもある。北京は華北平原の北部のはずれにあり、西部、北部、東部はえんえんと連なる山々、東南部は平原である。北京は温帯大陸性気候に属し、四季がはっきりしている。春は短く、夏は雨が多く空気が湿り、冬は長くて寒い。秋は最もよい季節である。
早くも西周の時代に、ここに町がつくられ、「薊」と呼ばれた。戦国時代には、燕の国の都となった。その後の千余年間、薊城はずっと中国北部における軍事上の要衝であり、貿易の中心地であった。10世紀初め、遼の副首都となり、燕京と称された。1115年から1911年にかけては、金、元、明、清の封建王朝がここに都を定めたため、中国の文化がここで積み重ねられ、多くの世界的によく知られている歴史的遺産が残っている。例えば、北京のシンボルであり中国のシンボルでもある天安門城楼、世界最大の広場である天安門広場、世界最大で最も完ぺきな古代建築物群からなる故宮(旧称は紫禁城)、世界七大奇跡の一つと見られている八達嶺長城、天を祭り五穀豊穣を祈る世界最大の神壇である天壇、世界で一番広い皇帝の行宮である頤和園、世界最大の皇帝陵墓である明の十三陵、世界最大の四合院住宅構造の恭王府などがそれである。そのうち故宮、万里の長城、周口店北京原人遺跡はユネスコによって世界文化遺産と指定されている。
北京城の輪郭は明の時代の形のまま保存されている。北京市の中心は長方形の宮殿群――「紫禁城」である。紫禁城は周りに高さ10メートル余の城壁と、堀をめぐらし、城壁の四隅には望楼がある。紫禁城の外の城郭は皇城と呼ばれ、周囲9キロ、左右対称の城門がある。皇城の外の周囲20キロは内城と呼ばれ、四方形を呈しており、内城の南部の長方形の区画は外城と呼ばれている。こうして、北京は凸の字の形になり、紫禁城を中心に大通りと胡同が縦横に走り、また店鋪、住居、曲がりくねった川、美しい庭園、壮大な祭壇、寺廟があり、壮大なスケールを誇り、濃厚な東方的色彩をもつ古城としての名に恥じない。
北京市の新しい姿は人々を魅了している。1949年、北京市は中華人民共和国の首都と定められた後、その姿を大きく変えた。天安門広場はもともと一般庶民の近寄ることのできない皇宮の広場で、東西両側に赤い壁があった。50年代に、赤い壁がとりこわされ、広場の面積は11ヘクタールから40ヘクタールに拡大され、市民の散策や集いの場所になっている。天安門広場の両側に人民大会堂、中国歴史博物館、中国革命博物館、真ん中に人民英雄記念碑、毛沢東記念堂などの建物がある。広場の北側にある長安街も拡幅、延長され、古城を南北に貫く中軸線と交差して東西を貫く新しい中軸線を形成しており、長安街の両側には多くの現代的建築物が立ち並んでいる。80年代以来、北京の都市建設はめざましい発展をとげた。200余軒のホテルと数十軒のデラックスなショッピングセンターが市内のあちこちに散在し、国家図書館、中央テレビセンター、国際貿易センター、国際展覧センター、中国劇院、北京西駅などの建物が次々と完成し、環状線道路、空港高速道路、八達嶺高速道路、立体交差橋200基、アジア競技大会選手村などはいっそう北京に輝きを添えるものである。
●上海市 上海は中央の直轄市で、中国最大の都市であり、都市部人口は954万人である。上海は中国大陸の南北海岸線の中心部に位置し、長江が東中国海へ注ぎ込む河口付近にあり、地理的優位性をもっている。中国の重要な総合的工業基地、港湾都市としての上海は全国の経済の発展に対して決定的な役割を果たしている。主要な工業としては冶金、機械製造、造船、化学工業、エレクトロニクス、計測器、軽工業、紡績などの業種があり、商業、金融業、遠洋輸送業も発達している。現在、上海の旧市街区と黄浦江を隔てて向かい合う浦東新区の開発が大々的に進められ、日々その姿を一新している。浦東新区の開発と開放の総目標は数十年間の努力によって、世界一流の水準を備えた対外志向型の、多機能を持つ、現代化された新区を築き上げ、上海に国際的な経済、金融、貿易の中心と現代化国際都市としての基礎を確立させることである。
●天津市 天津は中央の直轄市で、中国北部の主要な工業・商業都市であり、都市部人口は521万人である。天津は北京から120キロ離れたところにあり、中国の遠洋輸送、近海輸送と対外貿易の主要な港である。天津の伝統的工業には鉄鋼、機械製造、化学工業、電力、紡績、建材、製紙、食品などの業種があり、新興工業としては造船、自動車、石油採掘、石油精製、トラクター、化学肥料、農薬、腕時計、テレビ、カメラなどの業種がある。
●重慶市 重慶は中央の直轄市で、中国西南地区最大の工業、商業の中心と長江上流の水陸交通の中枢であり、都市部人口は614万人である。重慶は長江と嘉陵江が合流する所に位置し、三方は川であり、山の斜面に沿って建設されたため、「山の町」と称されてきた。重慶は総合的な工業都市であり、鉄鋼、化学工業、電力、自動車、機械、造船、建材、紡績、食品、医薬などの業種が発達している。1997年3月に新しく設置された中央の直轄市として、重慶は新しい発展のチャンスに恵まれている。例えば、中国の西部大開発という戦略の中での地位がより重要になり、長江沿岸の開発と開放の中でますます大きな役割を果たし、長江三峡ダム水利センターの建設と三峡ダム地区の住民移転のための開発で形成された大きな市場の需要などがそれである。
●広州市 広州は広東省の省都で、珠江の両岸に跨り、中国南部最大の都市と重要な門戸であり、都市部人口は417万人である。広州は中国で最も早く外国と貿易を始めた町で、200年前に中国の対外貿易の中枢となった。黄浦港では外洋汽船が停泊でき、世界各地と定期船が往来している。1957年から、毎年春と秋には中国輸出商品交易会がこの地で開催されている。広州は海外観光客が出入国する港の一つとなり、市内に多くの現代的施設を誇るホテルがある。
●西安市 西安は陜西省の省都で、中国西北地区最大の都市であり、都市部人口は272万人である。西安はもともと長安とよばれ、中国の有名な古都とシルクロードの起点であり、紀元前11世紀から、10の王朝がここを都とした。名所旧跡が多く、6000年前の母系氏族村落遺跡、2200年前の秦の始皇帝陵兵馬俑、唐の時代の大雁塔、小雁塔、宋の時代の碑林などは内外でよく知られている。西安は中国の観光都市と新興工業基地であり、機械製造を主とし、紡績工業も発達している。
●武漢市 武漢は湖北省の省都で、武昌、漢口、漢陽からなり、都市部人口は428万人である。武漢は中国中部地区最大の都市と長江中流の水陸交通の中枢であり、鉄鋼、機械製造、造船、紡績、化学工業、食品などの工業が非常に発達している。
●瀋陽市 瀋陽は遼寧省の省都で、中国東北地区最大の都市であり、都市部人口は424万人である。瀋陽市は重工業都市で、機械・電子、重型機械製造を主としている。
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