二、 検察制度

憲法と人民検察院組織法の規定によると、人民検察院は国の法律監督機関であり、国の検察権を行使する。各クラス人民検察院は憲法と法律によって与えられた職責を忠実に果たし、法律監督という職能的役割を果たす。

(一)人民検察院の組織の特徴
人民検察院組織法第2条の規定によると、中華人民共和国は最高人民検察院、地方の各クラス人民検察院、軍事検察院など専門検察院を設置している。上下級検察院の関係は指導と被指導の関係にあり、それは人民法院の上下級の監督と被監督の関係とまったく異なっている。
最高人民検察院は、国の最高検察機関で、地方の各クラス人民検察院と専門検察院の活動を指導している。地方の各級人民検察院は、省、自治区、直轄市人民検察院、省、自治区、直轄市人民検察院分院、自治州、省の管轄する検察院、県、市、自治県、市の管轄区人民検察院がある。専門検察院は、主に軍事検察院、鉄道輸送検察院がある。各クラス人民検察院は刑事訴訟法の定めた手続きに基づいて、事件を審理するため、いずれも各クラス人民法院と対応して設置されている。

(二)人民検察院の職権
人民検察院組織法と関係法律の規定によると、人民検察院は次の職権を行使する。
1、国を裏切り、分裂させる事件および国の政策、法律、法令、政令の統一実施をひどく破壊する重大な犯罪事件に対し、検察権を行使する。
2、直接受理した刑事事件に対し、取り調べを行う。
3、公安機関、国家安全機関の捜査する事件に対し、審査を行い、逮捕、起訴するかどうかを決定し、また、捜査活動が合法的であるかどうかを監督する。
4、刑事事件に対する公訴を提出、支持する。人民法院の審判の仕事が法にもとづいて行われているかどうかを監視する。
5、刑事事件の判決、裁定の執行および刑務所、拘留所、労働矯正機関の仕事が法にもとづいて、行われているかどうかを監視する。
6、人民法院の民事、行政上の審判に対して監視を行う。

(三)人民検察院の組織機構
人民検察院内の組織機構は主として検察委員会とその他の仕事の機構がある。
1、検察委員会
人民検察院の検察長は検察院の仕事を指導する。人民検察院組織法第3条の規定によると、各クラス人民検察院は検察委員会を設置し、民主集中制を実行し、検察長の指導のもとに、重大な事件およびその他の重大な問題を討論し、決定をおこなう。検察長は重大な問題で多数のものの意見に同意しないなら、同クラス人民代表大会常務委員会に報告し、決定してもらう。
2、検察機構
検察院には、刑事検察、経済検察、規律検察、監視検察、民事検察、行政検察などの専門業務機構が設けられている。そのほか、汚職対策局、告発センターを設置し、汚職、贈収賄、職務怠慢、権利侵害などの犯罪を取り調べる。

(四)検察官制度
検察機関のなかで法にしたがって設置された検察官は国の検察権を行使する。検察官の職責、権利と義務、資格、任免、考課、研修、賞罰、給与、福祉待遇、辞職、定年退職などが明確に規定されている。検察官制度は徐々に整備され、1995年2月28日に開かれた第8期全国人民代表大会第12回会議で検察官法が採択され、同年7月1日から発効、施行された。
1、検察官の資格
検察官には、各クラス人民検察院の検察長、副検察長、検察委員会委員、検察員、検察員補佐が含まれる。検察官になる資格は次の通り。
(1)中華人民共和国国籍を有するもの。
(2)年齢が満23歳。
(3)中華人民共和国憲法を擁護する。
(4)良好な政治、業務の資質、品性がある。
(5)体が健康である。
(6)大学法学部卒あるいは大学で法律を専攻してはいないが、勤務満2年のもの、あるいは法律学科の学士の学位を取得し、勤務満1年もの。法律専攻の修士の学位、法律専攻の博士の学位を取得したものは勤務年限の制限を受けない。
次のものは検察官になってはならない。
(1)犯罪で刑事懲罰を受けたもの。
(2)公職を除名されたもの。
検察官資格取得の方法は次の通り。
(1)資格試験。初任検察官、検察官補佐の採用は、最高人民検察院が定期的に行う試験によって、公募する。高等専門学校卒以上の学歴のある中国公民はすべて検察官受験を申し込むことができる。試験をパスしたものは政治資質、思想品性などの必要な考課を受け、 そのなかから優れたものが採用され、「検察官資格証書」を発給される。
(2)研修、考課を通じて、検察官資格を取得する。
検察官または検察官資格を有する検察要員は次の行為のなかの一つにあたるなら、検察官資格は取り消される。
(1)個人による辞職の申し込みが認可されたもの。
(2)検察機関から辞退されたもの。
(3)除名されたもの。
(4)公職除名処分を受けたもの。
(5)解職処分を受け、検察官担当に適しないもの。
(6)各種刑罰が科されたもの。
(7)その他の原因で検察官を担当することに適しないもの。
2、検察官の任免制度
検察長は同じクラスの人民代表大会で選出、任免されるが、地方の各クラス人民検察院検察長の任免は一級上の人民検察院検察長に報告し、同クラスの人民代表大会常務委員会の認可を受ける。
副検察長は、検察委員会委員、検察員は同院検察長が指名し、同級の人民代表大会常務委員会が任免し、検察員補佐は同院検察長が任免する。
3、検察官の昇進と賞罰制度
検察官は、等級として12級があり、一般には、定期的に昇進するが、不定期に優れたものが選ばれて、昇進することもある。最高人民検察院検察長は首席大検察官、2級から12級まではそれぞれ大検察官、高級検察官、検察官と称されている。検察官の昇進は、その担当する職務、才徳品性、業務レベル、実績、勤務年限をよりどころとして行われている。
検察官の奨励については、精神的奨励と物質的奨励を結び付ける原則にのっとって、褒賞、功績三等記録、功績二等記録、功績一等記録、栄誉称号などを授与する。
検察官の処分については、警告、過失記録、重過失記録、職の格下げ、免職、除名などがある。免職処分を受けたものは、同時に賃金の等級も引き下げられる。犯罪を構成するものは、法にもとづいて、刑事責任を追及される。
4、検察官保障制度
検察官は次の面で法的保護を受ける。
(1)職業の保障。検察官が法にもとづいて職責を履行することは、行政機関、社会団体または個人の干渉を受けず、法律に定められた事由、法律に定められた手続きによることではない免職、格下げ、辞退、処分などの処罰を受けることはない。
(2)人身の保障。検察官の人身、財産、住所などの安全は法的保護を受ける。
(3)給与の保障。勤労報酬を獲得し、保険などの福祉待遇を享受する。
(4)その他の保障。職権があり、仕事の条件が備わっていること。辞職、訴え、告発などの権利がある。

(五)検察の仕事
検察の仕事の制度は、検察業務の範囲と仕事に応じて、形成された規則的制度であり、主として次のようなものがある。
1、捜査監督制度
それは、人民検察院が公安機関(国家安全機関を含む)の刑事偵察活動に対し、監督を行う制度である。
@逮捕の審査、許可
憲法の規定によると、いかなる公民も人民検察院の批准あるいは決定、または人民法院の決定により、公安機関が執行するものでなければ、逮捕してはならない。
A起訴の審査
人民検察院は、公安機関が偵察を終え、起訴に移送しようとする刑事事件を審査し、訴訟を提起するかどうかを決定する。
B捜査活動に対する監督
人民検察院は、刑具による自白強要、あるいは形を変えた自白強要、捜査関係者の回避などに対し、公安機関の捜査の仕事が法にしたがって行われているかどうかを監督する。
2、捜査制度
これは、人民検察院が直接受理し、事件として捜査を行う制度である。最高人民検察院が1998年に制定した「人民検察院の事件直接受理、捜査範囲に関する規定」によると、計4類53種の事件に対し、検察院は直接事件として捜査を行い、主として次のようなものがある。
@ 刑法分則第8章に明記されている汚職・贈収賄犯罪およびその他の章に明確に規定されている、第8章の関連条文に基づいて罪が決まった犯罪活動(汚職事件、公金流用事件、賄賂事件などを含む)。
A 刑法分則第8章に定められている職務怠慢事件(職権乱用、違法事件、裁判事件などを含む)。
B 公務員による公民の人身権利と民主権利の侵害事件(不法拘留事件、不法捜査事件、自白強要事件などを含む)。
C 公務員が職権を利用して犯した重大な犯罪事件に対し、人民検察院は直接受理する必要がある場合、省クラス以上の人民検察院の決定を経て、人民検察院はそれを事件として取り調べることができる。
3、公訴制度
刑法と刑事訴訟法の規定によると、少数の親告罪と自訴を除き、大多数の犯罪に対し、公訴制度を実行する。公訴する必要がある事件に対し、すべては人民検察院が管轄権のある人民法院に公訴を提起する。公安機関から移送された起訴事件に対し、人民検察院は審査を行い、一カ月以内に起訴を提起するかどうかを決定しなければならない。重大かつ複雑な事件に対し、半月の期間を延長してもいい。審査を経て、犯罪容疑者の犯罪事実がはっきりし、証拠も確認された上、充分であり、法にしたがって、刑事責任を追及する必要があるなら、管轄権のある人民法院に公訴を提起するべきである。
4、審判監督制度
これは、人民検察院が人民法院の民事、刑事、行政などの審判の仕事を監督する制度である。例えば、刑事審判の仕事の中で検察官の出廷は、公訴を支持するばかりでなく、国家法律の監督者として法律に定められた審判の仕事を監督するものといえる。また、検察院は誤った刑事判決と裁定に対し、控訴を提起する権利がある。
5、刑事判決の執行と監獄に対する監督制度
主として次のような監督内容が挙げられる。
@ 死刑判決に対する監督
死刑の執行に際して、人民検察院は現場に検察官を派遣し、検視を行わせる。
A 監獄に対する監督
減刑、仮釈放、仮釈放されて外の病院に通う、監獄外での執行、執行猶予などが適法であるかどうかを監督する。
B 拘置所と労働矯正は違法かどうかを監督する。