四、監獄制度

1994年12月20日に「中華人民共和国監獄法」が公布、施行された。中国の監獄制度は一層規範化されるようになった。

(一)監獄の主管機関
監獄法の規定によると、国務院の司法部門は全国の監獄の仕事を主管する。国家司法部に監獄管理局が設置され、全国の監獄を管理する職能部門となっている。各省、自治区、直轄市の司法局(庁)は当該行政区管轄内の監獄の仕事を管理する。省、自治区、直轄市の監獄管理局は現地の司法庁(局)の指導のもとに、管轄区内の監獄の仕事を管理する。
中国における監獄の設置は主として次の二種類がある。
a、監獄は、人民法院から有期懲役、無期懲役、死刑2年執行猶予を言い渡された受刑者を収監する場所である。監獄は、男性監房と女性監房に分かれ、男性警官と女性警官がそれぞれ直接男性と女性監房を管理する。
b、未成年犯罪者管理・教育所は、未成年(いずれも18歳未満)監獄とも称され、人民法院から有期懲役、無期懲役、死刑2年執行猶予を言い渡された未成年受刑者を収監する場所である。管理の原則と方法は一般の監獄と同じであるが、ここの未成年受刑者は一般未成年者と同様、特殊な保護を受ける。

(二)監獄の設置と管理要員の構成
監獄法の規定によると、監獄の設置、閉鎖、引越しは国務院司法行政部門の認可を受ける必要がある。こうすることは、監獄の合理的配置、刑法の統一的、効果的かつ正確な執行に役立つ。
監獄には、監獄長1人、副監獄長数人、管理警官がおり、また、庶務、生活衛生、教育などの機構が設置される。
監獄法の規定によると、監獄の管理者は警官でなければならず、その法的地位は公安、交通整理の警官と同じである。

(三)監獄の財政体制
監獄の警官の経費、受刑者の生活費、監獄施設の修繕費などすべての費用は、国の財政予算に組み入れられ、政府が支出する。監獄が法にもとづいて所有する土地、鉱産資源などの自然資源および監獄の財産は法的保護を受け、いかなる部門と個人もそれを使用し、破壊してはならない。

(四)監獄の仕事の基本原則
監獄法第3条の規定によると、監獄は受刑者に対し、懲罰と矯正を結び付け、教育と労働を結び付ける原則をとり、受刑者を法律遵守の公民に生まれ変わらせる。
1、懲罰と改造を結び付けること
監獄では、受刑者に対する懲罰を行うことが目的でなく、矯正は目的である。懲罰を行うことは受刑者を法律遵守の公民に生まれ変わらせるためである。
2、教育と労働を結び付けること
受刑者を効果的に矯正するため、刑罰執行のなかで教育と労働を結び付ける原則を堅持する。教育とは、受刑者に対する思想教育、知識の教育、職業技術の教育を行うことである。労働とは、一定の生産活動に従事することである。両者はよく結び付けて行わなければならない。

(五)刑罰の執行
刑罰の執行は、刑罰執行機関が法律の規定した執行範囲にもとづいて、法律の効力が発生した審判機関の刑事判決と裁定を実行に移すことを指す。中国の監獄での刑法執行内容は主として次の通り。
1、収監――死刑2年執行猶予、無期懲役、有期懲役の判決を受けた受刑者を収監する。収監は刑罰の開始を意味する。
受刑者を拘禁した公安局は、人民法院から送られた死刑の2年執行猶予、無期懲役、有期懲役の受刑者の受刑執行通知書を受けてから、判決日から数えて1カ月以内に受刑者を監獄に引き渡すべきである。それと同時に、人民検察院の起訴副本、人民法院の判決書、執行通知書、審判終結記録表などの法律文書が送付される。監獄側は受刑者が引き渡されたとき、上記の法律文書がない、あるいはそろっていない、内容の記録に誤りがあるなどの問題があるなら、収監してはならない。
収監された受刑者に対し、健康検査、手持ちの品物を調べる必要がある。また、無期懲役、有期懲役の受刑者には、病気を患らい、監獄の外の病院に通う必要がある受刑者、妊娠中の受刑者、哺乳期乳幼児のいる受刑者がいれば、しばらく収監しなくてもよい。但し、その中には、死刑2年執行猶予の受刑者は含まれていない。監獄は受刑者に対する検査結果を人民法院に通報し、人民法院はしばらく収監しないかどうか、あるいは監獄外で執行するかどうかを決定する。
2、受刑者の訴え、告発などについて
刑罰の執行の過程で、監獄側は、受刑者が申し出た問題をいちはやく人民検察院あるいは人民法院に通報するべきで、押えてはならない。人民検察院あるいは人民法院は、監獄から処理意見書が寄せられた日から6カ月以内にその処理結果を監獄側に通報する。
受刑者は、監獄の警官とその他の関係要員の違法犯罪行為に対し、訴え、告発する権利がある。監獄側は、法律が許される範囲内で受刑者の申し出た問題を遅滞なく処理するか、あるいはただちに公安機関または人民検察院に処理させるべきである。
3、監獄外執行
刑務所の外で刑罰を執行することは法律の定めた条件にかなった犯罪者に対し一時的に刑罰執行の場所を変更する刑罰執行制度の一種である。これには二種類の状況がある。一つは、判決を言い渡す時、刑事訴訟法の規定に基づいて犯罪者がひどい疾患をわずらい、保釈によって刑務所の外で医者にかかる必要がある場合、あるいは犯罪者が妊娠しているかまたは自分の幼児の哺乳をしている女性である場合に、人民法院(裁判所)が決定した刑務所の外での刑罰執行である。二つは、刑罰執行の過程において、関係法規の規定に基づき以下の状況――犯罪者が重症を患って短期間に死亡の危険がある、ひどい慢性病を患って長期にわたって治療を行ってきたが効果がない、60歳以上で、病気にかかり、社会に危害を与える可能性をすでに失うか、身障者になって働く能力を失ったために、刑罰執行機関が決定した刑務所の外での刑罰執行である。刑罰執行機関が決定した刑務所の外での刑罰執行は、刑務所が書面の意見を提出し、省、自治区、直轄市の刑務所管理機関に報告して認可を求めなければならない。
一時的に刑務所の外で刑罰を執行するようにさせる状況がなくなったあと、刑務所の外での刑罰執行が人民法院によって決定された場合、元の判決の刑期がまだ満了していないなら、公安機関が犯罪者を刑務所に送致し、刑務所収容手続きをしてから刑罰を引き続き執行すべきである。刑務所の外での刑罰執行が刑務所によって決定された場合、刑期が満了していないなら、刑罰執行に責任を負う公安機関はただちに刑務所に知らせて収容させるべきである。刑期が満了した場合、元の拘禁刑務所によって釈放手続きをする。犯罪者が刑務所の外における刑罰執行期間に死亡した場合、公安機関はすぐに元の拘禁刑務所に知らせるべきである。
4.減刑と仮釈放
減刑は刑罰執行期間にある犯罪者に対し法律の定めた条件とプロセスに基づいて元言い渡された刑期を軽減する制度である。法律の定めた減刑の条件に符合するものに対し、刑務所が人民法院に減刑提案を出し、人民法院は減刑提案書を受け取った日から1カ月以内に審査、裁定を行うべきであり、案件の事情が複雑であるか、あるいは特殊な事情がある場合、1カ月延長することができる。
仮釈放は、刑罰執行期間の法律に定められた条件にかなった犯罪者に対し、条件付きで繰り上げて釈放する制度である。仮釈放の条件にかなった犯罪者に対し、刑務所が考課の結果に基づいて人民法院に仮釈放の提案を行い、人民法院は仮釈放提案書を受け取った日から1カ月以内に審査、裁定を行うべきである。案件の事情が複雑であるかまたは特殊な場合、1カ月延長することができる。
5.釈放と就業
有期懲役を言い渡された犯罪者の刑期が満了した際、刑務所は期限どおりにそれを釈放するとともに、釈放証明書を発給しなければならない。刑務所はその服役期間の改悛の情況に対し書面での鑑定を行い、判決書のコピーとともに釈放者の就業・定住所在地の公安機関に送達しなければならない。
刑期満了の被釈放者は釈放証明書を持参して所在地の公安機関に定住を申請する。刑期満了の被釈放者は法によってその他の公民と平等な権利を享有する。

(六)刑務所の行政管理
刑務所の行政管理は刑罰執行機関が刑務所で服役する犯罪者に対し刑罰を執行する過程において実施するさまざまな具体的な行政管理の仕事を指す。かいつまんで言えば、刑務所の行政管理の仕事は主に次の五つの面を含む。
1. 分類制度
分類制度は刑罰執行機関が刑務所で服役する犯罪者に対し、犯罪の類型、刑罰の種類、刑期の長短、改悛の情況および年齢、性別とその他の状況の違いに基づいて、分類拘禁、分類管理、分類教育を実行する刑務所の行政管理制度である。
2. 警戒、刑具と武器の使用
警戒は武装警戒(つまり、人民武装警察部隊が刑務所の正常な秩序と安全を守るために実施する警戒活動)および内部における警戒(つまり、内部における監視であり、刑罰執行機関が刑務所の警戒線以内で犯罪者に対し実施する警戒と管理の仕事)を含む。このほか、刑罰執行機関と武装警察部隊はまた、刑務所周辺の民兵組織、治安・防衛組織および人民大衆を動員して刑務所周辺の連帯防衛活動を上手に行い、一旦、犯罪者の脱獄、暴動、騒ぎたてまたは外部の犯罪分子による刑務所破り、襲撃などの状況が起きた場合、共同でそれを食い止めるか、あるいは鎮圧しなければならない。
刑具は危険な行為をした犯罪者の人身に使う防犯器具である。病気を患った高齢者、身障者である犯罪者および未成年の犯罪者に対して、普通の状況のもとでは刑具の使用を禁止する。女性犯罪者に対して、ごく特殊な状況を除いて、刑具を使ってはならない。およそ刑具をつけた犯罪者は刑務所内の労働に参加すべきではない。
犯罪者に対し刑具を使うことは、あらかじめ刑務所の主管指導者に報告して認可を求めなければならず、特別に緊急な状況に際会すれば、とりあえず刑具をつけることができるが、直ちに報告・認可請求の手続きを追加しなければならない。犯罪者に手錠、足かせをかける期間は、人民法院に死刑を言い渡され刑の執行を待つものを除いて、一般は7日間とし、長くとも15日間を超えてはならない。
警戒の任務を担う人民武装警察部隊の任務を執行する要員と刑務所の人民警察は緊急な状況に際会した時、国の関係規定に基づいて武器を使うことができる。
3. 通信、面会
 犯罪者は服役、矯正の期間において、他のものと手紙を交換することができる。受取り、差し出す手紙は必ず刑務所の関係部門の検閲を経なければならず、しかし犯罪者が刑務所の上級機関と司法機関に出した手紙は検閲を受けない。
 犯罪者は服役期間において、親族または監護人と面会することができる。原則的には親族関係のない人と面会することはできないが、しかし、特殊な事情で刑務所の認可を得た場合は除外できる。
 刑務所の刑罰執行の実践によれば、正常な犯罪者面会制度を除いて、特殊な状況のもとで犯罪者に刑務所を離れ、実家に帰って親族を訪ねさせるかまたは家庭における突発の出来事の処理にあたらせることもできる。犯罪者が刑務所を離れて里帰りをする期間は、一般は3日間ないし5日間であり、特殊な状況のものでも7日間を超えない。
4. 生活、衛生
 成年の犯罪者の労働時間は一般は毎日8時間であり、生産の必要で労働時間を延長するほかない場合は、必ず刑務所の指導者に報告して認可を得なければならない。
 犯罪者の学習時間は一般は毎日2時間であり、睡眠時間は毎日8時間を下回らないことを保証しなければならない。未成年の犯罪者に対し、半日労働・半日の教養知識学習制を実行し、毎日の睡眠時間は9時間を下回らないようにする。未成年の犯罪者にきつい肉体労働、体力を超える労働およびその他の未成年犯罪者の体の健康を妨げる生産労働にたずさわらせてはならない。犯罪者は毎日、一定の文化・スポーツ活動を行う時間が保証されている。
 犯罪者は法律に定められた祝日と休日は休みとするべきである。
 犯罪者の食事の基準は現地の同じ種類の国営企業の同じ職種の基準に従って提供すべきであり、上前をはねてはならない。刑務所の犯罪者の食堂には常勤従業員を配置し、その管理にあたらせ、犯罪者の食事をできるだけ調整、改善しなければならない。
 犯罪者が住む監禁用の建物とその周辺の施設の建設は犯罪者を監視、管理する特殊な要求にかなうものでなければならず、同時に国の規定、例えば衛生、防火、耐震の基準にも符合するものでなければならない。監禁室の中には必要な暖房設備がなければならない。
 各刑務所はまた、それぞれの刑務所の規模と拘禁中の犯罪者の人数に照らして診療所または病院などの医療機構を設置するとともに、必要な医療設備と薬品を配備すべきである。
5. 賞罰
賞罰は刑罰執行機関が犯罪者の教育による矯正と労働による矯正を受ける状況に対し考課と評定を行うとともに、考課と評定の結果に基づいて、法律に規定されている条件とプロセスに則って、犯罪者に与える異なった報奨と懲罰である。
犯罪者に対する考課は思想改造、政治、文化、技術教育を受ける状況、刑務所の規定・規律を順守する状況、労働による矯正を受ける状況などに対する考課を含むものである。
犯罪者に対する報奨は表彰、物質的報奨と功績の記録という三種のやり方に分けられ、処罰は警告、過失の記録、監禁に分けられる。犯罪者に対する報奨または処罰の状況は犯罪者の服役資料に如実に記入しなければならない。