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五、仲裁制度
仲裁制度は、民(商)事紛争双方の当事者が合意に達し、みずから進んで紛争を選定された第三者に引渡し、一定のプロセス・規則と公正の原則に照らして裁決を行わせるとともに、裁決履行の義務を果たすという制度を指す。
仲裁は一般に業種的民間活動であり、国の裁判行為ではなく個人の行為、つまり個人の裁判行為であり、民(商)事紛争を解決する方式として和解、調停、訴訟と並存するものである。しかし、仲裁は法によって国の監督を受け、国は法院(裁判所)を通じて仲裁合意の拘束力、仲裁のプロセスの作成および仲裁裁決の執行と、当事者がみずから進んで執行しようとしないことに対し、裁判地の法律の規定範囲に基づいて介入することができる。したがって、仲裁の活動は司法の性格を持ち、中国の司法制度の重要な構成部分の一つである。
1994年8月31日に公布された「中華人民共和国仲裁法」は全国の仲裁制度を統一し、国際的に通用する基本原則、基本制度、習慣的やり方を採用し、中国の仲裁制度を世界の仲裁制度とリンケージさせた。
(一)仲裁制度の基本原則
1.自由意志の原則
当事者が仲裁の方式を採用して紛争を解決するからには、双方がみずから進んで仲裁の合意に達すべきであ
り、仲裁の合意書がなく、片方が仲裁を申請する場合は、仲裁委員会はそれを受理しない。
2.独立の原則
仲裁は法によって独立して行い、行政機関、社会団体と個人の干渉を受けない。具体的なあり方としては次の4点が挙げられる。
@ 仲裁機構は行政機関に属さない。
A 仲裁機構の設置は地域別に設置することを原則とし、互いに独立し、上級と下級の違いはなく、従属の関係はない。
B 仲裁委員会、仲裁協会と仲裁廷の三者の間は互いに独立したものであり、仲裁廷は法によって案件に対し審理を行い、仲裁協会、仲裁委員会の干渉を受けない。
C 法院は必ず法によって仲裁活動に対し監督権を行使しなければならず、仲裁は裁判に付属せず、仲裁機構も法院に付属しない。
3.合法、公正の原則
仲裁法には、仲裁は事実を根拠とし、法律の規定に符合し、公正で合理的に紛争を解決すべきであると規定されている。
(二)仲裁機構
1. 仲裁協会
中国仲裁協会は仲裁要員の自律的組織であり、規約に基づいて仲裁委員会とその構成メンバー、仲裁員の規律違反行為に対し監督を行う組織である。仲裁委員会は中国仲裁協会の会員であり、中国仲裁協会の規約は全国会員大会で制定される。中国仲裁協会は仲裁法と民事訴訟法の関係規定に照らして仲裁規則を制定す
る。
2. 仲裁委員会
仲裁委員会は常設仲裁機構であり、一般に直轄市、省、自治区人民政府所在地の都市に設けられ、必要に基づいてその他の区が設置した都市に設けてもよいが、行政区画に基づいて段階ごとに設置されることはない。
仲裁委員会は当該都市の人民政府が関係部門と商会を組織して共同で設立するとともに、省、自治区、直轄市の司法行政部門に登録すべきである。
仲裁委員会は主任1人、副主任2〜4人、委員7〜11人からなる。仲裁委員会の主任、副主任と委員は法律、経済貿易専門家と実際の仕事の経験を持つものが務める。仲裁委員会の構成メンバーの中で、法律、経済貿易専門家は三分の一を下回ってはならない。
仲裁員は次の条件に符合すべきである。
@ 仲裁の仕事に従事して満8年の者。
A 弁護士の仕事に従事して満8年の者。
B かつて裁判官を満8年務めた者。
C 法律研究、法学教学の仕事に従事するとともに、高級職の資格を持つ者。
D 法律知識を身に付け、経済貿易などの専門の仕事に従事するとともに、高級職の資格あるいは同等の専門業務の水準を持つ者。
仲裁委員会は当事者の仲裁員選別の便をはかるため、異なった専門業務に基づいて仲裁員の名簿を設ける。
2.仲裁廷
仲裁委員会は仲裁案件を受理した後、案件を直接仲裁せず、仲裁廷を組織して仲裁権を行使する。
仲裁廷の組織形態は合議制と独立担当制という二種類に分けられる。合議制は仲裁員3人で仲裁廷を構成し、そのうちの1人は首席仲裁員とし、案件の仲裁に責任を負う。独立担当制は1人で仲裁廷を構成する。
当事者が3人の仲裁員で仲裁廷を構成することについて約定した場合、当事者双方はそれぞれ1人の仲裁員を選定し、またはそれぞれ仲裁委員会主任に付託して仲裁員1人を指定させるべきであり、3人目の仲裁員は首席仲裁員であるため、当事者が共同で選定するかまたは仲裁委員会主任に付託して指定させるべきである。当事者が一人の仲裁員で仲裁廷を構成することについて約定した場合、当事者が共同で選定するかまたは仲裁委員会主任に付託して指定させるべきである。
(三)仲裁の基本制度
1. 仲裁かあるいは裁判の制度
この制度は当事者の紛争解決ルートを選ぶ権利の尊重を具現している。それに含まれる意味は次の通り。
@当事者が仲裁の合意に達した場合、法院の紛争に対する管轄権が排除され、仲裁機構に仲裁を申請するしかなく、法院に起訴することはできない。
A当事者が結んだ仲裁合意書は法院の紛争に対する管轄権を排除したとはいえ、いくつかの特定の状況のもとでは、法院は受理した仲裁合意のある紛争に対し管轄権をもつ。これらの状況は次の通り。
A、 仲裁の合意が無効であるかあるいは失効した場合。
B、 一方の当事者が起訴してから、ほかの一方の当事者が応訴し、実質的答弁を行ったが、管轄権について異議を申し出なかった場合は、元の仲裁合意を放棄したと見なすことができ、法院は案件に対し引き続き審理を行うことができる。
2. 一審終了の制度
その基本的な意味は、裁決が行われた後、すぐ法的効力が発効し、たとえ当事者が裁決に対し不服を申し立てても同紛争についてもう一度法院に起訴することができず、同時に仲裁機構に仲裁または再議をもう一度申し立てることもできず、当事者はみずから進んで裁決を履行しなければならず、さもなければ相手方の当事者は人民法院に強制執行を申請する権利があるというものである。
しかしながら、当事者が仲裁に確かに誤りがあると認め、つまり法律で規定される撤廃条件にかなった場合、法によって法院に申し出、審査、照合と撤廃裁定を要求することができる。
これは一審終了制度に対する救済措置の一つである。
(四)中国国際経済貿易仲裁委員会
中国国際経済貿易仲裁委員会は中国の渉外経済貿易仲裁機構であり、中国の国際経済貿易紛争を受理する唯一の仲裁機構である。同機構は北京に設けられており、深セン経済特別区に深セン分会が設けられており、上海にはまだ分会はない。
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