八、公証制度
公証は国の認可した公証人が民事法律関係によって確認された権威性をもつことに対する証明作業を指す。
わが国の公証はもともと国が特に設けた公証処が国を代表して民事法律関係に対して法に基いて行った証明作業を指し、つまり国の公証機構は当事者の申請に基づいて、法に基いて法的行為、法的意義をもつ書類と事実の真実性、合法性を証明し、公共財産を保護し、公民の身分上、財産上の権利と合法的な利益を保護するためである。2000年10月1日から、司法部は『公証活動改革の深化に関する方案』を施行し、それによって公証機構の事業体への転換を推進することになる。改革後の公証機構はもはや行政機構ではなく、国の公証機能を実行し、自主的に業務を展開し、独立して責任を負い、市場のルールと自律メカニズムに基づいて運営する公益性、非営利性の事業法人となり、今後国はもう行政体制の公証機構を認可、設立しない。全国の公証員試験もシステム内部の試験から全社会へ開放したものに改め、司法部が実施を統一的に組織する。
(一)公証処の設置
直轄市、県(自治県)、市は公証処を設立する。省、自治区、直轄市の司法行政機関の認可を経て、市の管轄する区に公証処を設立することができる。公証処の間には従属関係はない。
公証処は主任、副主任を置き、公証人が担当する。公証人の条件は司法官、検察官の条件と同じである。
(二)公証業務の範囲
公証処の業務には主に次のことが含まれる。
1、民事の法的行為を証明する。
例えば契約、委託、遺言状、贈与、財産の分割、子女を引き取って扶養するなどを証明する。
2、民事の法的意義をもつ事実を証明する。
例えば誕生、死亡、結婚、離婚、親族関係、身分、学歴、経歴などを証明する。
3、民事の法的意義をもつ書類を証明する。
例えば書類上の署名、印鑑は事実のとおりであること、証明書類の副本、ダイジェスト版、翻訳文、写真版が原本と一致するなどを証明する。
4、債権書類の実行力を証明する。
例えば各種の返済(返品)の合意、借金返済の催促の貸借契約書などの実行力を証明する。
5、補助的な業務
例えば証拠を保全し、遺言状あるいはその他の書類を保管し、当事者に代わって公証を申請する書類などを起草する。
実践の中での公証業務はさらに預金の引出し、預け入れを取り扱い、抽選、当選番号の公証をも含む。
(三)公証の効力
公証書は一般には次の4つの効力がある。
1、証拠の効力
証拠の能力ともいわれ、法律上のその証明資格を指す。民事訴訟法第67条は、「法定の手続きを経て公証で証明された法的行為、法的事実と書類は、相反する証拠があって公証で証明されたことを十分に覆すに足るものを除けば、人民法院は事実を認定する根拠とするべきである」と規定している。
2、実行の効力
公証書の実行の効力は、その強制実行力を指し、当面疑義のないと見られる借金返済の催促、物品の債権書類のみに限り、決してすべての書類についてではない。公証処が証明した強制実行の効力をもつ債権書類は、一方の当事者が書類の規定に基づいて履行しない場合、相手側当事者は管轄権のある末端の人民法院に実行を申請することができる。
3、法律の効力
公証書の法的効力はいくつかの法的行為が公証によって証明されたのちにこそはじめて効力を発し、法的拘束力があり、国の保護を受けることができる。例えば子女を引き取って扶養し、中国の公民と外国人との婚姻登録を取り扱うなどの行為がそれである。
4、域外の効力
つまり公証書は域外で使う場合法律上の効力を発する。これは公証書そのものの固有の法律上の役割と効力と域外における発展である。国際慣例に基づいて、わが国の公民あるいは法人が域外へ発送して使う書類は、公証機関の証明を経た後、また外交部、各省、直轄市、自治区の外事弁公室あるいは外国の中国駐在大使館、領事館の認証を経てこそはじめて、国外で法律上の効力を発し、使用国の承認を得ることができる。
(四)公証の手続き
公証機関と公証当事者が公証の行為を実施する際には、厳格に下記の手続きに基づいて行うべきである。
1、申請と受理
遺言状、引き取って扶養するなど公証の事項は自ら申請する以外、公民あるいは法人は代理人に委託して公証事項を申請することができる。申請は管轄権のある公証処にそれを提出するとともに、公証申請書に書き込み、申請書に署名するか印章を押すべきである。公証の申請は例えば身分証明書、授権委托書、公証を必要とする書類、公証事項と関係のある財産権証明書あるいはその他の資料などの関係資料を提出すべきである。公証処は当事者の申請に対し一応取り扱う決定を行い、条件に合ったものは、受理しなければならない。
2、審査
公証作業の重要な一環である。公証処は当事者の人数、身分、資格、民事行為能力、当事者の意思表示と相応の権利、公証を必要とする行為、事実あるいは書類の内容は真実で、合法的であるかどうか、公証を必要とする書類の内容が完備しているかどうか、文字が正しいかどうか、署名、印鑑はそろっているかどうかなどの内容を重点的に審査する。
3、証明を提出する
つまり審査を経て条件に合った公証に対し公証人が公証の証明書を提出する。
4、特別の手続き
ある特殊な公証事項を取り扱うときに従うべきである手続きのことを指し、例えば公証処は入札を募集し、入札し、公開抽選を行い、当選番号を発表し、競売するなど公証事項を取り扱い、公証人はその場に自ら臨み、真実で、合法的なものに対しその場で公証の証言を読み上げ、7日間以内に公証書を当事者に交付しなければならない。
5、再審
当事者が公証処の行った公証を受理しないか拒絶し、あるいは公証書を取り消した決定に対して不服であることを指し、法律の定めた期限以内に司法行政機関に再審を申請することができる。再審の決定に対して不服の場合、法律に定められた期限以内に人民法院に起訴することができる。
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