葉剣英委員長が新華社の記者に発表した談話
(1981年9月30日)

きょうは中華人民共和国成立32周年の国慶節の前夜にあたり、また辛亥革命70周年記念日をまもなく喜び迎えるときでもあるが、わたしはまず、台湾同胞、香港・澳門同胞および海外の華僑同胞をふくむ全国の各民族人民に、祝賀の意と心からのあいさつをおくる。

1979年の元旦、全国人民代表大会常務委員会は『台湾同胞に告げる書』を発表し、祖国の平和統一をめざす大方針を明らかにして、台湾同胞、香港・澳門同胞および海外の華僑同胞をふくむ全中国の各民族人民の熱烈な支持と積極的な反響を受けた。台湾海峡には緩和の空気が現われた。ここでわたしは、この機会を借りて、台湾の祖国復帰、平和統一実現の方針、政策をいっそう明らかにしたいと思う。

(1)中華民族が分裂状態にある不幸な局面を一日も早く終わらせるために、われわれは、中国共産党と中国国民党両党が対等な立場で交渉をおこない、第三次合作を実行し、ともに祖国統一の大事業をなしとげることを提案する。双方はまず、人を派遣して接触し、十分に意見を交換する。

(2)海峡両岸の各民族人民は、互いに通信しあい、身内のものが団らんし、貿易をおこない、理解を深めることを切実に望んでいる。われわれは、郵便物交換、通商、航路開設、肉親・友人訪問、観光および学術・文化・スポーツ交流のために、双方が便宜を提供し、関係とりきめを結ぶことを提案する。

(3)国家の統一が実現してのち、台湾は特別行政区として、高度の自治権を享有することができ、また軍隊を保有することができる。中央政府は、台湾の地方の事柄に干渉しない。

(4)台湾の現行社会・経済制度を変えず、生活様式を変えず、外国との経済・文化関係を変えない。個人の財産、家屋、土地、企業の所有権と合法的な相続権および外国の投資は、侵犯されない。

(5)台湾当局と各界代表は、全国的な政治機構の指導ポストにつき、国政に参与することができる。

(6)台湾の地方財政が困難におちいったとき、中央政府は状況をみて補助をあたえる。

(7)台湾の各民族人民、各界の人たちで祖国大陸に帰って定住したいものにたいしては、適切にこれを受け入れ、差別あつかいをせず、自由に行き来できるよう保証する。

(8)台湾の工商業界の人たちが祖国大陸に投資し、各種の経済事業をおこすことを歓迎し、その合法的な権益と利潤を保証する。

(9)祖国の統一については、すべての人に責任がある。われわれは、台湾の各民族人民、各界の人たち、大衆団体がさまざまなルートを通じ、いろいろの方式で提案をおこない、ともに国是を協議することを心から歓迎する。

台湾を祖国に復帰させ、統一の大事業をなしとげるということは、われわれの世代に課せられた光栄かつ偉大な歴史的使命である。中国の統一と富強は、祖国大陸の各民族人民の根本的利益であり、同様に台湾の各民族同胞の根本的利益であるばかりでなく、また極東と世界の平和にとっても有利である。

われわれは、広範な台湾同胞が愛国主義の精神を発揚し、全民族の大団結の早期実現を積極的に促進し、民族の栄誉を分かちあうよう希望する。また、香港・澳門同胞、海外の華僑同胞がひきつづき努力し、かけ橋としての役割をはたして、祖国統一に寄与するよう希望する。

われわれは、国民党当局が一つの中国を堅持し、「二つの中国」に反対する立場をつらぬき、民族の大義を重んじ、過去の行きがかりにこだわらず、われわれと手を携え、ともに祖国統一の大事業をなしとげ、中華振興という雄大な理想を実現して、祖先の名に輝きを添え、後世の子孫に幸せをもたらし、中華民族の歴史に輝かしい一章を書きしるすよう希望する。