台湾の同胞が賢明な歴史的選択を行うものと信じる
朱鎔基

 朱鎔基国務院総理は第9期全国人民代表大会第3回会議の閉幕後に行われた内外記者会見で、「いま、台湾人民は差し迫った歴史的時刻に直面している。何を捨て何をとるか、絶対に一時的な衝動に駆られないようにしてほしい。さもなければ、後悔しても始まらない。だが、われわれは台湾人民の政治的知恵を信じ、台湾の同胞が賢明な歴史的選択を行うものと信じる」と言明した。

 シンガポール『聨合早報』記者の台湾の選挙についての質問に対して、朱鎔基総理は、「台湾の選挙は地方的な選挙で、台湾人民自身のことであり、われわれは干渉したくない。しかし、われわれは、誰が権力の座についても、絶対に『台湾独立』をやってはならず、いかなる形式の『台湾独立』も許されないということをどうしてもはっきり言っておく必要がある」と答え、次のように述べた。

 これはわれわれの最低限の要求であり、12億5000万の中国人民の心の声をも代表している。台湾問題の解決についてのわれわれの一貫した方針は「平和統一、一国二制度」ではあるが、われわれは決して武力行使の放棄を約束しない。

 一つの中国の原則に賛成する人がいれば、われわれはその人を支持し、彼と話し合い、どんな問題についても話すことができ、譲歩することができる。中国人に譲歩するのだから。「台湾独立」をやるなら、よい結末はない。なぜなら、人心が得られず、海峡両岸の中国人の人心に背き、全世界の中国系の人、華僑の人心にも背くからである。

 われわれ中国人はみんな、1840年のアヘン戦争以来、中国の近代史は外部の侵略勢力にいじめられはずかしめられる歴史であったことを覚えている。台湾も長年日本軍国主義者の統治と占領の下に置かれていた。当年を振り返ってみると、中国はとても貧しく弱かったが、われわれはそれでも「立て、奴隷になりたくない人々よ」を叫び、しかもそのために次々と勇敢な闘争を行った。救国の歌は今でもはっきり覚えている。これらの救国の歌を歌うたびに、私は熱い涙を流し、祖国のためなら慷概して生命を捧げる軒昂たる気概にみちあふれるのだった。

 今日、中国人民はすでに立ち上がった。われわれは昔から中国の領土である台湾を祖国から分裂させるのを許せるだろうか。絶対にできない。

 いま、中国には航空機がどれくらいあり、軍艦がどれくらいあり、ミサイルがどれくらいあると計算する者が一部いる。彼らの結論は、中国人は戦争する勇気がなく、戦争するようなこともないというものである。このように計算するなら、ヒトラーはとっくに全世界を支配していただろう。中国人民はかならず鮮血と生命で祖国の統一、民族の尊厳を守るに違いないだろう。

 ここ数日、台湾の選挙情勢がめまぐるしく変わり、急転直下し、権謀術数の限りを尽くしている。しかし、司馬昭の心、道行き人皆知ると言うように、「台湾独立」勢力を選挙に勝たせようとする人がいることだ。一昨日、台湾の株価が617ポイントも急落した。これは台湾人民が「台湾独立」勢力のすさまじい気炎を憂慮していることを集中的に表している。彼らは「台湾独立」勢力が登場したら、両岸の戦争を引き起こし、両岸の平和を破壊するのを心配している。

 われわれは、このような心配と憂慮は必然的なものであり、すべての台湾人の切実な運命にかかわっている、と考える。いま、台湾人民は差し迫った歴史的時刻に直面している。何を捨て何をとるか、絶対に一時的な衝動に駆られないようにしてほしい。さもなければ、後悔しても始まらない。だが、われわれは台湾人民の政治的知恵を信じ、台湾の同胞が賢明な歴史的選択を行うものと信じる。