憲法制度

憲法は国家の根本法である。

中国の現行憲法は1982年12月4日に開かれた第5期全国人民代表大会第5回会議で採択され、実施されたものである。

一、憲法の中国の政治制度に対する主な規定

(一)中国の政治の主な原則

1、中国共産党は中国の唯一の政権党である

中華人民共和国は中国共産党が打ち建てたものである。
中国共産党は過去、現在においても、そして将来においても依然として中国人民の指導者である。

2、人民民主主義独裁

国の性格は労働者階級が指導し、労働者と農民の同盟を基礎とする人民民主主義独裁である。
人民民主主義独裁は実質的にはプロレタリア階級独裁である。
労働者階級は国の指導的階級であり、農民階級は労働者階級の同盟軍であり、国の指導的階級でもある。

3、社会主義制度

労働者階級が指導し、労働者と農民の同盟を基礎とする社会主義制度は中華人民共和国の根本的制度である。
社会主義制度を破壊するいかなる組織と個人は、すべて国と人民の敵である。

4、すべての権利は人民に属する

国のすべての権利は人民に属する。
人民が国の権利を行使する機関は全国人民代表大会と地方各級人民代表大会である。
人民はさまざまなやり方と形態によって、国家、経済、文化、社会事務を管理する。
統一戦線は中国共産党が指導し、各民主党派と各人民団体、すべての社会主義労働者、社会主義を擁護する愛国者、祖国統一を擁護する愛国者が参加するものである。
統一戦線は国の政治、社会、対外友好活動の中で、現代化建設、国の統一と団結を擁護する闘争の中で、引き続き強化され、発展することになる。
中国人民政治協商会議は広範な代表性をもつ統一戦線組織である。

5、国家の根本的任務と目的

中国の特色のある社会主義を建設する道に沿って、全力をあげて社会主義現代化建設を進めること。中国共産党は引き続き中国の各民族人民を指導し、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論の指導の下で、人民民主主義独裁を堅持し、社会主義の道を堅持し、改革・開放を堅持し、社会主義の諸制度を絶えず改善し、社会主義市場経済を発展させ、社会主義の民主を発展させ、社会主義の法秩序の健全化を図り、自力更生、刻苦奮闘を旨として、工業、農業、国防および科学技術の現代化を一歩一歩実現し、中国を富強、民主、文明の社会主義国に築き上げること。

6、民主集中制

国家機構の組織原則は民主集中制である。
各クラス人民代表大会は選挙によって選出される。
各クラス人民代表大会は国の大きな方針を決定し、国の行政、審判、検察機関を選出する。

7、武装力は人民に属する

中華人民共和国の武装力は人民に属する。
武装力の任務は国防を強固にし、侵略に抵抗し、祖国を守り、人民の平和な労働を守り、国の建設事業に参加し、人民への奉仕に努めることである。

8、法に依って国を治める

いかなる個人、政党、社会組織も憲法を根本的な活動の準則としなければならず、憲法と法律を超える特権を持ってはならない。
すべての憲法と法律に違反する行為は、追究されなければならない。
法に依って国の管理を実行し、社会主義の法治国家を築き上げる。

9、民族区域自治制度を実行する

各民族は一律に平等である。
いかなる民族に対する差別と抑圧は禁じられ、民族の団結を破壊し、民族の分裂をつくりだす行為は禁じられている。

(二)公民の国の政治生活の中での地位と権利

1、公民は法律の前で一律に平等である。

2、選挙権と被選挙権

満18歳の公民は、民族、人種、性別、職業、出身、宗教信仰、学歴、財産の状況、居住期限の区別なく、すべて選挙権と被選挙権を有する。
法によって政治的権利を剥奪されたものは除外する。

3、思想と言論の自由の権利

公民は言論、出版、集会、結社、デモ行進の自由がある。

4、宗教信仰の自由

公民には宗教信仰の自由がある。
いかなる国家機関、社会団体、個人も、公民に宗教を信仰するかあるいは信仰しないことを強要することを禁じられている。

5、人身の自由は侵害されない

いかなる公民も検察院、法院の認可、または公安機関の執行を経ない場合、逮捕されることはない。
不法拘禁とその他の手段で公民の人身の自由を剥奪するかあるいは制限することは禁じられている。          公民の身体を不法に捜査することは禁じられている。
公民の人格の尊厳、住宅は侵害されることはない。

6、文通の自由

公民の文通の自由と文通の秘密は法律の保護を受ける。
国の安全あるいは刑事犯罪を調査する必要から、公安機関と検察機関が法律の定めたプロセスにもとづいて文通について検査する以外、いかなる組織と個人がいかなる理由で公民の文通の自由と文通の秘密を侵害してはならない。

7、批判と提案の権利

公民はいかなる国家機構と政府職員に対し、批判と提案を行う権利を有する。いかなる国家機構と政府職員の違法、職責失当の行為に対し、国家機関に上訴、告発、摘発を行う権利を有する。

8、政府に賠償を求める権利

国家機関と政府職員が公民の権利を侵害したために損失を受けた公民は、法律の規定に基づいて賠償を求める権利を有する。

9、労働の権利

公民には労働の権利と義務がある。
政府はさまざまなルートを通じて、労働の条件をつくり、労働保護を強化し、労働条件を改善し、生産を発展させることを基礎に踏まえて、労働の報酬と福祉待遇を高めるべきである。

10、福祉権

公民は老後、疾病あるいは労働能力を失った場合、政府と社会から物質的援助を獲得する権利がある。
政府と社会は傷痍軍人の生活を保障し、革命および国のために命をささげた人たちの遺族を救済し、軍人家族を優遇する。
政府と社会は視覚障害者、聴覚障害者、言語障害者およびその他の障害のある公民を助けて就業、生活、教育を受けることを手配する。

11、教育を受ける権利

公民には教育を受ける権利と義務がある。

12、学術と創作の自由の権利

公民には科学研究、文学芸術の創作およびその他の文化活動を行う自由がある。

13、男女は平等である

女性は政治、経済、文化、社会、家庭生活などの面で男性と同じように平等な権利を享有する。

14、夫婦双方には計画出産を実行する義務がある。

15、公民は法律にもとづいて納税する義務がある。

16、公民には兵役に服し、民兵組織に参加する義務がある。

二、憲法の解釈、改正、実施の監督の制度

(一)憲法の解釈の制度

憲法の解釈権は全国人民代表大会常務委員会に属する。
全人代常務委は法律の制定、決定と決議の公布の形で憲法を解釈する。

(二)憲法改正の制度

全国人民代表大会は憲法の改正権を有する。
憲法の改正は、全人代常務委あるいは5分の1以上の全人代代表が提案し、全人代の3分の2以上の代表の多数による可決を経なければならない。

(三)憲法の実施の監督の制度

全人代は憲法の実施を監督する職権を履行する、全人代常務委委員は憲法の解釈、実施を監督する職権を行使する。
全人代は全人代常務委の憲法についての解釈を改めるかあるいは撤廃する権利がある。