四季折々の美しさ
米倉山は色彩豊かな山脈で、春にはツツジが咲き誇り、秋には木々が色づく。冬の雪化粧を施した景色もまた格別である。しかしやはり人気が高いのは、紅葉の風景だろう。
標高600~1000メートルの地帯は農耕区域となっていて、ナンキンハゼが多い。9月初めには葉が赤く色づき始め、軽く霜が降りたりすると、一夜にして辺り一面が真っ赤に染まる。柿の木や梨の木、栗の木、桐の木もみな色づき、美しいグラデーションを呈して、米倉山の第一の紅葉ラインとなる。
米倉山の第二の紅葉ラインは標高1000メートル以上の落葉広葉樹林帯。
米倉山の森林も過度に伐採された時期があったが、いまなお10万ヘクタール近くの原始林が残る。現在は保護区の95%以上が原始林によって覆われており、標高1000メートル以上の地帯には常緑広葉樹林や常緑・落葉広葉混交樹林、落葉広葉樹林、針葉・落葉広葉混交樹林、針葉樹林、竹林、低木林などが広がる。
原始林の主体はブナの木であるが、まっすぐにそびえ立つブナ林の下の空間は、ツツジ、モクレン、ライラック、クチナシ、オウバイ、ツバキ、キウイ、モクセイ、オウトウなどが占拠し、毎年春の終わりになると、林間の雪がまだ完全に消えない中、争うように咲き乱れる。どこもかしこも花、花、花の花の世界で、花の海のようでもあり、その香りは風に運ばれて遠く離れた山里にも届く。
米倉山の紅葉樹の中でもっとも美しいのはパサンブナだろう。この稀少植物は、最も古くは7000万年前の白亜紀に生息していたとされ、「植物の生きた化石」と呼ばれる。北極のデブリカバー氷河からもパサンブナの葉の化石が発見されたことがあり、このことから、古くは広い範囲に分布していたと考えられるが、現在は米倉山の原始林に残るのみである。
米倉山にはブナのほかにも、たくさんの珍しい動物や植物が生息する。周辺の植生回復が徐々に進み、東は湖北省の神農架から西は岷山山脈までの森林植生が完全につながると、野生動物の移動ルートが形成される。そうなると、米倉山は再びパンダやキンシコウなど多くの野生動物が生息する楽園になるかもしれない。
「チャイナネット」 2009年3月16日