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大メコンに生きる(4)人々の保護神 熱帯雨林
発信時間: 2009-06-29 | チャイナネット

ゴムの木がもたらした変化

雲南のゴム林
41歳のボーグアンジアオ(波光叫)さんは、雲南省シーサンパンナのモンラー(勐臘)県マンタン(曼旦)村の人である。このダイ(傣)族の村では84世帯436人が、雨林の庇護のもとに暮らしていた。

シーサンパンナの熱帯雨林は、アジア熱帯雨林の最北端にあり、中国でもっとも面積が広く、生物資源がもっとも豊富な熱帯モンスーン雨林であり、瀾滄江―メコン川流域に残されたもっとも古い原始林の一つでもある。同地域では、すでに多くの熱帯雨林が開発によって破壊されてしまったが、中国では早くも1950年代からシーサンパンナの熱帯雨林保護を意識し始めたため、現在ここの熱帯雨林は、メコン川流域においてもっとも保存状態のよい雨林の一つとなっている。これは、中国だけではなく、世界的にも大変貴重なもので、ほかの土地で絶滅に瀕している多くの生物が、ここでは依然として生存している。

マンタン村はかつて、シーサンパンナの熱帯雨林の中心部に位置していた。しかし、10年前、政府の熱帯雨林保護企画の実施に際し、村人たちは中心部から周辺地区へと引越した。やがて新しい生存環境に適応するため、新しいライフスタイルを創り出した。

切り口から流れ出したゴムの樹液は、木の下の碗に流れ落ちる

つまり、それまでの自然に順応してきた生活スタイルを一変して、村人たちはゴム栽培を始めたのである。現在、ボーグアンジアオさんは、農場の労働者のように毎日同じ仕事を繰り返す生活である。朝5時オートバイでゴム林に行く。ゴムの木の皮を切って樹液を採取する。集めた液体を沈殿させて塊にし、最終的にゴム工場へ運んで売る。これらのゴムは、タイヤや工具、衣類、住宅に使われる。

ゴムの木はもともと南アメリカのアマゾン川流域原産だが、熱帯雨林気候に属するメコン川流域も、ゴムの木の栽培には絶好の条件が揃っている。ゴムの木の栽培によって、マンタン村はたちまち豊かになった。かつて、雨林の中で暮らしていたときには想像もつかないことであった。ゴムは現代生活に欠かせない資源であるため、ゴムの木を栽培することで彼らの生活は徹底的に改善され、雨林に頼って暮らす必要はなくなった。

マンタン村はかつて、ナパガー村と同じくらい貧しかった。電気もなく、道路もなく、雨林の外に出ようと思ったら、歩いて行くほかはなかった。村からもっとも近い町まで40キロ以上もあり、村人は普通1年に1回出かけるのがやっとで、山の幸を売ったり、懐中電球やライターといった生活用品を買ったりするのがせいぜいであった。ナパガー村のカンムスオエンさんは相変わらず木の摩擦熱を利用する古くからの方法で火を起こしている。より節約できる方法であるからだ。

ゴムの木に切り口をつけている老婦人
しかし、ボーグアンジアオさん一家は、今は2階建ての家に住み、プロパンガスで料理をし、近代的な家電製品を使っている。マイカーも買うつもりであるという。車があればゴムの樹液をすぐに直接工場へ運ぶことができ、いい値がつく。外からやって来る人たちに、彼はこう話している。  「ゴムの木を10ムー(1ムーは6.667アール)ほど栽培し、年収は3、4万元ほどになりました。村全体で1000ムーあまりのゴムの木が栽培され、村のすべての家にはオートバイや冷蔵庫、テレビがあります。われわれの生活はどんどん豊かになっていますよ」

ゴムの木の栽培は、ボーグアンジアオさんたちの生活に思いがけぬ変化をもたらした。メコン川流域の各国で、ゴムの木の栽培が迅速に発展している。現在、世界の70%以上の天然ゴムが、この地域から産出される。そのため、タイではいくつかの熱帯雨林の模範保護地域(国立公園)以外、熱帯雨林はほとんど失われてしまった。

 

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