経済衰退で潜水艦の意義突出

李明艳
japanese.china.org.cn, October 19, 2011

世界的な不景気の中、各国はいずれも軍事費を削減し、次世代戦闘機、艦艇、地上の主力装備などの開発計画が延期か、中止になっている。しかし潜水艦だけは、経済悪化の影響をほとんど受けていない。

英BAEシステムズ傘下の造船所は13日、潜水艦「アンソン」の竜骨設置セレモニーを行い、英海軍のために5隻目の アスチュート級潜水艦の建造を開始した。ロシア海軍2隻目のボレイ級原子力潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー 」は数日以内に試験航行を行う。さらに先週、韓国の大宇造船はインドネシア海軍向けにディーゼル潜水艦3隻を建造する契約を結んだ。

もちろんこれらの出来事が重なったことはある意味偶然といえるが、ここで改めて潜水艦という兵器の価値を確認してみる。市場調査機関ICD Researchによると、今後10年以内に世界で154隻の潜水艦が建造、その総価値は1800億ドルにのぼる。うちディーゼル潜水艦が100隻。

中国の軍事掲示板では常に潜水艦派と航空母艦派の論争があったが、空母「ワリヤーグ」の出現でこうした論争は声をひそめた。一国の海軍はどのような兵器を配備するか、それにかける経費は戦略目標に大きく関係する。潜水艦自体が空母など大型艦艇に取って代わるわけではないが、海軍の限られた経費で小国の海軍が選択するのはやはり潜水艦だろう。

現在の状況をみても、主な軍事大国は軍事費を削減しても潜水艦を軽視するどころか支援を拡大している。米国は原子力空母を削っても、バージニア級潜水艦の建造は依然として段取りよく進めている。英国の新空母は途中で失敗しかけたが、新型攻撃原子力潜水艦はすでに5隻目を完成した。ロシア海軍は大型水上艦艇はフランスから輸入しているが、新型戦略ミサイル原子力潜水艦はすでに2隻完成、もう2隻建造する計画だ。こうしたことから建造費のかかる水上艦艇に比べ、原子力潜水艦の隠蔽性、排水量は戦略攻撃や作戦攻撃で突出した優位性を発揮するといえる。特に大型空母の開発・使用コストが高まる中、原子力潜水艦の優位性が高まっている。

潜水艦は独立した作戦を実行できるため、体系的な作戦能力が弱い小国に適している。大国との戦いで、水面下に隠れる潜水艦は敵により大きなダメージを与えることができる。1隻で原子力空母戦闘群にどれだけダメージを与えられるか大きな疑問だが、一ついえるのは、潜水艦は手出しのできない戦闘機や戦車よりは戦果があげられる。

そのため潜水艦は航空母艦やステルス戦闘機ほど目立たないが、各国の軍事界では潜水艦の価値が日増しに高まっている。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月19日