日印「接近」の危険

张燕
japanese.china.org.cn, November 3, 2011

米国の「アジア復帰」に歩みにともない、日本とインドは公然と往来を始めるようになった。10月29日に日本の防衛相がインドを訪問後、インドの国防相も日本を訪問。野田佳彦首相もまもなくインドを訪問する予定だ。

昨年、両国はすでに原子力協力で合意したが、福島原発事故を受けて一時協議が中断していた。この1週間で、原子力協力の回復だけでなく、レアアース(希土類)共同開発の推進も確認、初の合同軍事演習に向け話し合いを行う方針だ。両国のあまりの効率の高さに驚くほかない。

日印両国関係の急接近とその戦略的意図は明らかだ。それは共同で隣国を牽制すること。

米国の後押しを得ながら、日印は米国の「アジア復帰」政策に追従してきた。

一方、日印両国は相手の力を借りて隣国に対抗する切り札を増やそうとしている。

また、両国はいずれも政治大国をめざしており、インドは太平洋に、日本はインド洋にまで影響力を拡大し、安保常任理事国入りを狙っている。

両国は隣国を仮想敵国とし、国内の世論は「隣国脅威論」に対する懸念を強めている。野田政権発足後、タカ派のスタイルを固持してか、隣国に友好的などころか、隣国の問題に足を踏み入れ、面倒を起こしている。

インドの国境では境界線問題でいつ隣国と衝突するかわからない。インドのシンクタンクは先月30日、「インドに教訓を与える」ため、隣国がインドに戦争をしかける可能性があるとの文章を発表した。

日印海軍による合同軍事演習は、両国の軍事史上初めてのこととなる。双方はこれに強い期待を寄せているが、真の戦略的意図はどちらも内心ではわかっている。両国が公開した軍事演習の目的は明らかにメディアに対応するための言い訳で、本心は他にある。

こうして考えると、両国の協力は当然のことのようであるが、日印は、両国にとって何が真の国家利益かを考える必要がある。

世界は今、グローバル化の加速にともない、大国間での協力が強化され、経済的な相互依存だけでなく、政治的にも複雑な関係になっている。大国間で相互信頼に欠ければ、「敵意」でもって他国との関係をはかり、冷戦時代に逆戻りするほかない。それは誰にとっても不利益だ。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年11月3日