日本の「毎日新聞」は6日、自衛隊が11月10日から九州の大分県で中国を仮想敵とした演習を行うことを報じた。報道によると、自衛隊は今回の演習に1500台の車両を派遣し、民間の高速フェリーを初めて導入するほか、北海道から陸上自衛隊第7師団を動員する。このような東北地方から西南地方への部隊の大動員は非常に珍しい。ある中国の軍事専門家は6日、「環球時報」の取材に対し、「今回の演習およびこのような異常な動員は、日本が昨年の『防衛計画の大綱』改正後に行う中国に向けたものであることを公に示す演習だ。実戦の意味がどれほどあるか現時点で述べることはできないが、危険なサインであることは間違いない」と語った。
◇優秀な師団を東北地方から西南地方に動員
「毎日新聞」の報道によると、10日から実施される大規模演習には5400人の自衛隊員、1500台の車両、30機の航空機が参加するほか、北海道から初めて部隊と戦車を召集する。北海道から大分県は3000キロ以上離れており、民間の高速フェリーで送り込むことになる。北海道・青森間の津軽海峡で運航していた高速フェリー「ナッチャンWorld」は総トン数1万トン級、時速36海里、最大搭載車両350台、最大搭乗人員1746人で、日本最高速の大型客貨両用船である。
また報道は、今回の演習が昨年『防衛計画の大綱』を改正し、中国を日本最大の仮想敵であることを明確にしてから行う大規模な演習だとしている。さらに自衛隊は、北海道千歳市に本部を置く優秀な部隊、第7師団を動員する。客貨両用船は90式戦車4両と89式戦闘装甲車10両、隊員約230人を乗せて7日午後に苫小牧港を出発し、9日午前に大分港に入る予定。
◇象徴的意味が実戦的意味を上回る
今回の演習について、ある中国の軍事専門家は、1500台の車両が参加するという規模は、数個の装甲師団に値し、日本の西南地方がこれほど大規模な演習を行うのは非常に珍しいと話す。しかし、「中国への対抗」を目的とした今回の演習の実際の意味は限られている。まず1つ目に、参加する兵力(車両1500台と航空機30機)から、演習は地上戦が中心となり、さらには戦車戦が中心になると考えられる。しかし中日両国は陸で繋がっていないため、中国が日本に水陸両方の上陸作戦を行い、大規模な武装で進入する可能性はゼロに等しい。今回の演習で得る経験を実戦に生かすことは難しいだろう。日本の中国対抗という考えは、旧ソ連の陸上部隊の侵入に備えた当時のままだ。もう一つは、第7師団が救援に駆けつける意味は限られている。わずか十数両の戦車と装甲車が、車両1500台が参加する演習でどんな役目を果たせるか疑問だ。
第7師団について、消防隊というより、演習への関心を高めるためだと言うべきとの見方もある。第7師団の陸上自衛隊における立場は他に替わるもののないもので、日本唯一の機甲師団である。1962年に発足し、3個戦車連隊、1個機甲歩兵連隊、1個砲兵連隊、1個高射特科連隊、1個飛行隊を持つ。また、90式戦車170両を含む約300両の戦車を装備。90式戦車は世界で最も高価なだけでなく、かつて世界で最も先進的だった戦車である。自衛隊が調達した90式戦車の半数以上が第7師団に配備されている。そのほか、日本で最も先進的な89式歩兵戦闘車を含むキャタピラー式の戦車や、自衛隊の最先端レベルの装備を保有する。かつて旧ソ連の防備に当たった優秀な師団が西南地方に救援に駆けつけるというのは、中国を敵とすることを外部に示したい意味があるに違いない。演習全体を見ても、昨年の『防衛計画の大綱』改正後、日本は防衛の重点をロシアから中国に移していることがわかる。
◇中日関係が緊迫化するおそれも
専門家は、日本が防衛の中心を東北地方から西南地方に移したことに伴い、この地域での演習は頻繁化し、強化されると見ている。今回の演習は地上部隊が中心となる見通しだが、海上・航空自衛隊が行う演習は頻繁化し、規模も大幅に拡大すると見られる。実際、昨年の『防衛計画の大綱』で中国を最大の仮想敵としてから、自衛隊は中国に対する偵察などの軍事行動を活発化させている。今年1月から9月、中国近海を偵察する自衛隊機は前年同期より44%増加した。日本の軍事行動の活発化はかえって中国の警戒を強め、中日関係を緊迫化させ、それによって双方の間で摩擦が生じる可能性も高まるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年11月8日