風さんは中国人の海外旅行愛好家で、人気の旅行ブログを書いている。今年9月、日本最大の旅行会社であるJTBは、中国の代理人を通して風さんに接触、ネットメディアの代表として日本の関東などの地域で観光資源などについて取材して欲しいと招待した。
風さんはその後、これが日本の観光庁が海外に対して日本観光を推進している活動の一環であることを知った。「3•11東日本大震災」、特に福島原発事故による放射能漏れで、日本が長い間培ってきた安心、安全というイメージが大きく損なわれ、観光業界も大きな痛手をこうむった。
日本政府はこの状況に強く危機感をもち、福島原発事故が日本国のイメージに与えた損害を軽減し、打ち消そうとさまざまな手を打った。日本は、今年5月「クールジャパン」プロジェクトを採択、この業務を専門に行うことにし、日本ブランドイメージ回復に種々の施策を打っている。主に農産物と食品、観光、工業製品、文化交流の4つの分野だ。
海外の福島原発に対する心配を解消するため、日本は特に「有名人効果」を重視している。今年6月、アメリカで流行文化の代表といえるLadyGagaが来日してライブを行い、少し前には東京国際映画祭が開催されたときも、日本は真剣に心を砕いて震災関係のユニットを設置し、多くの海外アーティストに日本が震災復興に尽力しているというイメージを伝えていた。
外交においても同様だ。外国からの指導者が訪日したり、日本で国際会議が開催されると、政府は外国要人を日本の東北被災地へ招待し、国際社会での日本被災地に対する危険な印象を打ち消そうとしている。
また、積極的に外に打って出ていくのも、日本政府のイメージ戦略の重要な手段だ。経済産業省は海外に対して全力で「クールジャパン」プロジェクトを推進している。シンガポールでは日本ファッションショー、日本東北食品展示会、アメリカでは日本食品、伝統工芸品展、日本被災地復興展示などを行っている。
全体的にはこれらの努力は一定の効果を得ている。データを見ると、今年9月、日本を訪れた外国人は昨年同期比で4分の1近くまで減少していたが、減少幅は明らかに縮小傾向にある。中でも、日本が中国大陸の観光客に対して行ったビザ緩和策と中日ビジネス交流が活発化するにつれ、9月の中国からの訪日人数の減少幅はさらに18%に収まっている。
しかし、風さんは取材を受け、日本側の中国大陸などの海外観光客に対するビザ政策はまだ慎重過ぎるくらい慎重で、ある程度日本観光庁の推進に影響を与えていると指摘する。また、日本の政府機関、地方行政、観光業界が必死で日本観光を推進していても、それぞれの連携や調整が十分でないためによい効果が得られていないという。
更に重要なのは、福島原発の放射能漏れ処理は長期化が避けられず、加えて日本政府と東京電力の事故処理や情報公開については問題が山積している。日本国内でも、海外でも、市民の放射能漏れに対する不信感を短い時間で完全に打ち消すことはむずかしい。日本が放射能漏れの影響から脱出し、再び安心安全のイメージを作り上げるのは長く困難な道のりになるといえよう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年11月23日