実際本田さんは新聞社の経済部記者と比べ独特な存在だ。しかし情報が平均化している日本、本田さんだけに特ダネが集まる可能性は考えにくい。本田さんの強みはその独自の視点・観点にある。本田さんは自身の見解、例えばメーカーに対する批判などでも忌憚なく文章に綴る。当事者にとっては耳の痛い話であろうが、事実は事実としてメーカーの戦略ミスをいずれは誰かが総括しなければならないのだ。本田さんがその役目を果たす=IT家電メーカーに対する新しい認識を人々に示すことになるのではないか。
「今後の記事はどこに重点を置かれますか?」
私の問いかけに対して
「日中協力の可能性についてもっと書きたいと思います。中国は人材も豊富で、その背後には大きな市場が広がっています。もし日中協同で国際市場を開拓できれば、日本企業の高コストという問題を解決できると思うのです。テレビはもはやハードとソフト、そしてサービスという三位一体での運営に変わってきています。これから皆さんにお伝えしたいことはたくさんあるでしょう」
北京に来た本田さんは答えた。
私はこの言葉から、本田さんが日本のIT家電の問題点を指摘するだけでなく、問題解決についても考えを持っているのだと思った。中国人消費者は日本製品に対して、作りが精巧で使いやすく壊れにくいという一定の理解を持つ。このことは日本の評論家、とりわけ本田さんのようなフリージャーナリストによる鋭い分析の賜物と言えるかもしれない。
日本のメディアにおけるフリージャーナリストの役割は非常に大きいと言える。しかし中国メディアにはこうしたフリージャーナリストがほとんどいない。
「Billion Beats 日本人が見つけた13億分の1の中国人ストーリー」より
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年11月28日