米国のアジア復帰戦略を分析 「二者択一」できないアジア国家

japanese.china.org.cn, December 24, 2011
 

中国雲南省・昆明とタイ・バンコクをラオス経由で結ぶ「昆曼道路」は、全長約1750キロ、中国-ASEANインフラ整備重点プロジェクトの一つであり、中国-ASEANの協力発展の縮図でもある。近年、ASEANと中日韓(10+3)の協力体制はますます深いものになっており、この地域は、世界経済の重要な原動力となっている。

これが、米国がアジアに復帰した大きな理由の一つである。ASEAN側のデータによれば、2009年と2010年において、中国はASEAN最大の貿易パートナーの地位を保持している。2010年中国-ASEANの貿易額はASEAN貿易総額の11.6%を占め、続く日本は10.6%を占めた。EUと米国はそれぞれ10%と8.9%。2010年ASEANとの貿易成長率を伸ばした国家ベスト5のうちの4カ国がアジアの国であり、中、印、韓、日ともに対ASEAN貿易成長率が30%を超えた。ここから米国「アジア復帰」戦略における焦りを垣間見ることができる。

また、現在の状況はアジア諸国がどのような米国復帰を望んでいるかを示してもいる。アジア諸国の態度において、最も視界に入りやすいのが安全面の要素である。アジアの一部の国には、中国との間に歴史的な領土領海問題が残っており、そこへきて、今回の米国復帰は軍事先行の様相を見せている。しかし、軍事とは手段であり、目的ではない。米国復帰の目的は、アジア発展の中から最大限の利益を得ることである。そして、アジアの一部の国が米国の復帰に一定の関心を寄せるのには、安全面において米国の力を借り対中バランスを保つことだけでなく、以前のように、米国の投資や市場が継続してアジア経済にとって強力な原動力となることを期待しているからである。

シンガポールの戦略コンサルティング会社に在籍する専門家のバスカラン氏は、次のように語る。「アジアの小国は、中国の影響力に対抗するため、米国が続けてアジア情勢に介入することを必要としている。制約を受けた協調的な中国は、更に積極的な役割を果たせるようになるだろう。」ここから、東南アジアの中国台頭及び米国介入に対する複雑な心境を理解することができる。一見、中国に対して警戒心を持っているようにも見えるが、もう少し深く見ていくと、二重の意味を持っていることに気付く。一つは、米国の力と市場によって中国の影響力を制約することだが、それは中国の発展を抑制するためではなく、バランスを取るためのものである。なぜなら、もう一つの意味が、より効果的に中国の発展を利用することが必要だということを明確に示しているからである。

アジアの問題は、アジア内部において新しいバランス関係、またはアジア経済体を強く一つに結びつける紐帯が存在しない点にある。そのため、アジア諸国はいつも不安な気持ちで隣国の変化を観察し、いつも区域以外の力を借りて自分に有利なバランスを保つことを望んでいる。しかし、アジアの現在の協力態勢から見て、最終的に大きな発展を遂げることは間違いない。その中で、中国は必ずアジア経済の牽引役となり、米国もアジア太平洋地域の主導地位を手放さないだろう。しかし、米国は十分な投入によってこの地域の共同的豊かさを導いて行く必要がある。マレーシアの海事分析師Khalid氏は「人民日報」の取材で、こう述べている。「ASEANの国々にとっては、米国も中国も重要だ。我々は米中両国の友人で、そのうちの一人だけを選ぶなんてできない。」

米国復帰の持久性及びそれがどれだけ歓迎されるかは、それが、この地区の発展を促進するか、それとも制約或いは破壊するかによって決まってくる。経済発展において絶対的優勢を保ち、アジア太平洋の国々により多くの原動力を提供できない限り、米国は二戦後のアジア太平洋地区における栄光を継続させることはできないだろう。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年12月24日