日本暴力団の「闇金帝国」山口組米経済を妨害

japanese.china.org.cn, March 31, 2012
 

日本の「黒社会(ギャング)」と言えば、「暴力団」という固有名詞が存在する。暴力団の「業務」は幅広く、恐喝・詐欺、殺人・放火、売春の斡旋、高利貸し・マネーロンダリング、闇金融などどんなことでもする。山口組は日本最大の暴力団で、国際的にもその名が轟いており、イタリアのマフィアにも劣らない。

暴力団は現代の日本の地下経済の主役である。西洋諸国の経済が低迷し、日本の震災後の出費もかさみ、暴力団が持っている「うまみ」を、政府はもはや見て見ぬ振りはできなくなった。

2011年3月、日本で公布された『暴力団排除条例』は、1960年代から続いていた「暴力団撲滅」の動きに火をつけた。米財政部も近日、山口組組長の篠田建市氏と若頭高山清司氏のアメリカ国内の資産を凍結することを発表した。

「日本の国内消費は落ち込み続けており、従来の電気機器産業も振興経済体の台頭に直面している。アメリカ政府が山口組を攻撃したのは、日本政府との連携があるからだろう」と中日財政経済問題専門家で『洗銭内幕(マネーロンダリングの裏側)』の著者姚耀氏は『中国経済週刊』で指摘した。

指定暴力団の由来

暴力団の起源は江戸時代であり、当時、町から町へと渡り歩きながら祭礼の周辺で商業活動をする旅芸人「的屋」や「香具師」、博打を生業とする「博徒」などの二種類の人々が暴力団の中心勢力になったと言われている。

組織化された暴力団が形成されたのは第2次世界大戦以降である。「第2次世界大戦以降、天皇は名目上の象徴的存在となり、アメリカが実質上のボスとなって日本政府は無力だった。身分の低い者たちは窃盗や略奪行為に走り、良い地盤や商売を独占するようになった。政治家が権力を持ちたいと考えるなら、地盤も必要、お金も支持者も必要である。そうなれば、もう暴力団に頼るしかないのだ」と姚耀氏は説明する。

従来の「黒社会」とは違い、日本の暴力団は非合法的な方法で利益を得る以外に、合法的な商売も行なっている。

今、世界の先進国の中で、日本は唯一組織的な暴力団を認めている国である。日本の『暴力団対策法』によると、一定条件を満たした極めて悪質な暴力団は「指定暴力団」に指定されおり、様々な方面での制約を受ける。現時点で山口組を含め、日本国内で22の暴力団が「指定暴力団」に登録されており、合法的な名称を持っている。日本の警視庁の資料によると、22の暴力団の最盛期の合計人数は20万人を越えていた。

1915年に設立された山口組の勢力は最も巨大で、組員は暴力団全体の44.4%(2010年時点)を占め、日本47都道府県中45箇所に事務所を構えている。山口組と緊密な関係を持っているのは稲川組、松葉会、双愛会、共政会、会津小鉄会などで、敵対関係にあるのは住吉会、極東会などだ。これら暴力団の間には往々にして明確な勢力範囲の区分が存在する。

実際、日本の暴力団は一般の人には手出しをしたりせず、謙虚で礼儀正しく、相手を尊重する。日本の人々が暴力団をただ「敬遠」しているだけなのもそこに理由があり、政府に頑なに取締を求めたりしない。「日本は大和民族で、『和』を一番に考える。既に存在しているものに対して、人々の安全を極端に脅かさないのであれば、ましてや街中で堂堂と略奪・殺人・放火などの違法行為をしないのであれば、わざわざ余計な口出しはしない」と日本の企業家である秋葉和良氏は『中国経済週刊』で語った。

暴力団はマネーロンダリング集団に

現代の暴力団はギャング映画のようなものとは違って、ただドンパチ騒ぎを起こして、人を殺したりはしない。彼らの経済活動は多面性があり、詐欺的な要素を色濃く含んでいる。影響を及ぼす範囲も広く、政治の裏側の立役者になることもしばしばで、日本の地下金融を支配している。また高利貸し産業全体を掌握しており、日本の金融やビジネスシステムの裏には暴力団が存在している。

昨年3月11日の東日本大震災発生後、東京で覇権を握っている住吉会は、震災後直ぐにインターネットを通じて、本部事務所を開放し、復興センターとして被災者に無料で衣食住を提供することを発表した。

暴力団の震災後の強気な姿勢は、実際のところ、売名行為であると言える。「売名」とは即ち、一般市民にプラスのイメージを持ってもらうためであり、今後の大規模な再建プロジェクトで主導権を握るためでもある。暴力団の傘下には必ず建設産業がある。「復興と再建によって、そのすきに多額の資金を獲得し、財政を再建することを目論んでいる」と姚耀氏は言う。

山口組は兵庫県神戸市の税収を担当しており、神戸空港、関西国際空港、中部国際空港の建設にも関わっており、日本社会に深く根付いている。

2月23日、米財務省が山口組の重要人物2人の資産を凍結した理由は「山口組が円高を利用し、ニセ会社を設立してアメリカ西海岸の不動産や金融商品に違法な投資を行い、そのお金で『マネーロンダリング』を行なっていた」からだった。

米財務省の指摘によると、山口組の犯罪行為は日本及び他国での違法薬物の売買、武器の窃盗及び闇売買、人身売買、売春斡旋、マネーロンダリングなどであり、毎年の収益は数十億米ドルに上る。組織は既にアメリカの金融・ビジネスシステムに浸透しており、アメリカ金融市場の運営秩序に損害を与えている。

山口組が海外で資産凍結されたのは、これが初めてではない。2003年12月、スイスチューリッヒ金融当局は山口組の幹部が持っていた、スイスの銀行・証券・投信グループ企業クレディ・スイスの口座を凍結した。マネーロンダリングによって、「闇金帝王」の異名を持つ山口組の闇金融事件での収益は6100スイスフラン、日本円にして実に52億円もの大金であった。この事件は、日本暴力団のマネーロンダリングが初めて海外で暴かれた事件でもある。

近年、暴力団は現代金融システムの利便性を利用して、更に多くの違法収益を手に入れており、国際ネットワークを通じて違法に資金洗浄を行なっている。姚耀氏によると、日本の国土は狭く、暴力団が「大々的に勢力を握る」ことを支えきれないため、暴力団の「グローバル化」は必然的な動きである。「アメリカは日本の暴力団が従来から親しんできたマネーロンダリングの拠点である。特にハワイやラスベガスのカジノはそうだ」。

一部の海外投資を行なっている日本企業は、実際は暴力団が抱える企業であり、企業の海外投資を通して、資金洗浄を行なっているのである。「日本の暴力団はとっくの昔に低レベルな窃盗をやめている。彼らは様々な経済の場面で多様な役割を担っている」と姚耀氏は指摘する。

日本政府 暴力団撲滅難しく

暴力団は強大な大木に似ている。日本の経済や日本の社会に非常に深く根を張っている。暴力団の撲滅は極めて困難なことである。

山口組を含め、多くの暴力団が表と裏の両方で商売をしており、ビジネス界での力も日増しに強まっている。警視庁の報告書によると、日本22の指定暴力団が担っている経済生産高は20億円以上で、証券取引も掌握しており、数百社もの上場企業に影響力を持っている。暴力団と政界にも複雑な関係が根付いている。日本で大きな権力を誇っている政治家の汚職事件の多くが、裏金問題や闇金洗浄のスキャンダルと関連している。

秋葉和良氏は『中国経済週刊』に対し、経済を促進するために、日本政府は賭博を合法化することを計画している。国を挙げてカジノを開設するのだから、暴力団を取り締まる名目も不十分のように感じる。

暴力団撲滅の具体的な活動も困難が尽きない。なぜなら、暴力団のトップは自ら犯罪に手を染めたりせず、秘密裏に行うため、証拠を掴むのも困難で、「根こそぎ」撲滅することは不可能に近い。

山口組組長篠田健市氏は2005年12月5日に逮捕され、その罪状は暴力団とは直接関係がなく、ボディーガードが違法に銃を所持していたことで、篠田氏は「砲刀剣類所持等取締法違反容疑」での逮捕となった。2011年4月9日に、刑期を終えて出所した際には、組員が集まり、大名行列のような威勢を誇っていた。日本政府に比べると、国際的な圧力の方が遥かに効果的である。1995年6月、山口組五代目若頭竹内臣氏はアメリカラスベガスを訪れていた。山口組の重大な計画、「カジノ買収」を実行するために。米連邦捜査局(FBI)は直接行動に出る事はなかった。竹内氏が当時、ラスベガスで権力を持っていたイタリア系マフィアに計画を漏らした事によって、マフィアは夜中に竹内氏が住むホテルを襲い、アメリカから追い出し、竹内氏が事前に買収したホテル二軒と温泉浴場を没収した。

その後、FBIは竹内氏がアメリカの銀行に持っていた30億ドルあまりの資金を凍結・没収した。竹内氏はアメリカを離れ、ヨーロッパに逃げたが、フランスで違法な取引を行なったことで逮捕された。山口組のラスベガスカジノ買収計画は徹底的に失敗に終わり、その損失額は80億ドル以上に上る。

今、日本では暴力団撲滅が新たに騒がれている。2011年から実施されている『暴力団排除条例』によると、どんな企業も個人も暴力団組織及び関係者に対し、いかなる名義での資金援助も行なってはならない。また、暴力団関連企業との取引も行なってはいけない。様々な圧力の中、日本の暴力団は下り坂を歩いている状態だ。データによると、暴力団組員の数は既に1963年末の18万4100人から2010年には7万8600人まで減少している。

日本暴力団 マネーローダリング18の手口

旅行小切手(トラベラーズチェック)

税関は所持している現金の申請を要求しているが、旅行小切手の金額に関する制限は行なっていない。

カジノでの換金

カジノでまず金券に変えた後、金券を資金洗浄の受益者に直接渡して、その受益者が現金に換金する。カジノを出ても、カジノで勝ったのだと思われ、怪しまれない。

無記名債権

無記名の債権或いは個人の商品先物は「一部の限られたユーザーの市場」であり、顧客がそれらの商品を購入することはつまり、堂堂とマネーロンダリングを行なったこと宣言するのと同じである。

骨董品・宝飾品などのコレクション

安く買って高く売るというニセ売買を利用して、合法的な取引を行い、資金洗浄の目的を達成する。

ペーパーカンパニーのニセ売買

ペーパーカンパニーを通して、「タックスヘブン」でマネーロンダリングを行なう。

保険の購入

保険に一回投資すれば、その後は保険金をどんどん上げる事ができ、保険のプランも少しずつ修正する事ができる。一定期間を過ぎれば、投資金が戻ってくる。その頃には闇金の疑いも薄れている。

基金会

自身が支配している基金会にニセの寄付を行なう。

多国間で為替両替を行い、古い口座を洗浄

為替を利用し、関連する保管期限のある証券の盲点を利用してマネーロンダリングを行なう。

直接国外へ輸送

専門機関や税関での検査が免除される関係者に資金を海外に運んでもらう。

他人の口座

預金銀行で内部事情を知らない「他人」を対象に、安い手数料を支払い、彼らの名義で口座を開設してもらい、定期的に闇金をこれらの口座で洗浄する。

外貨普通預金

何度にも分けて口座に預金し、海外に行き外貨で引き出す。

クロスボーダー取引

高い価格で商品を購入し、巨額の資金を海外の口座に移し、逆に高価格で商品を売り出し、国外にいるマネーロンダリングの共謀者が大金を国内の口座に振り込む。

デパートの商品券

流通性が高いが、換金が難しいため、人脈を持っている事が重要となる。

不動産売買

他人を利用して不動産購入を行なう。市場価格の5~7割引で購入し、現金で支払う。その後、短期間内に手放すことで、50~100%の利益を手にする。

ニセの貸借関係

収賄や汚職行為に使用される。収賄を受けたものは賄賂を贈った者が発行した約束手形や現金小切手を持っており、貸借関係であると言う事ができる。

偽札

偽札は幾度にも渡って、少額の消費や自動販売機などで使用され、また両替機になどによって、少しずつ本物のお金に換えられる。

(『洗銭内幕(マネーロンダリングの裏側):日本の地下金融は誰が掌握しているか』より)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月31日