日本政府は3日、470億円を投入して凍土壁と新型浄化設備を設置し、福島第1原発の汚染水漏えいに対処すると発表した。
◇4.7億ドルで地下に「氷の壁」設置
日本の安倍晋三首相は3日、原子力災害対策本部の会議を開き、放射能汚染水に対処するための対策と基本方針を決定した。日本政府は320億円を投入して福島第1原発の4つの原子炉建屋の周囲約1.4キロを囲む凍土壁を設置する方針。完成は2015年3月。
この技術は、地中30メートルに垂直パイプを埋め、冷却剤を注入。温度は最低でマイナス40度になり、パイプの周囲に凍土のバリアが形成される。凍土壁は原子炉建屋の地下の汚染水が周辺の土壌に浸透するのを防ぐとともに、地下水と汚染水が混ざって周辺の土壌や海水に流入するのを防ぐ。
日本政府と東京電力は今年5月にこの計画を決め、現在実現可能性を検証している。
日本政府はこのほか150億円を投入して2基目の汚染水浄化設備を増設する。東京電力は昨年、汚染水に含まれる62種類の放射性物質(トリチウムを除く)を除去できる最新型の液体処理システムを設置したばかり。
しかし国際原子力機関(IAEA)は今年4月、このシステムが予想どおりの効果で放射性物質を除去できていないと認定した。漏えいや腐食がみられたため、このシステムは8月初めに停止し、検査・補修中だった。
◇効果に疑問の声 安全性が懸念
原子力災害対策本部が先月7日発表した最新データによると、約1000トンの地下水が毎日、4基の原発周辺を 流れており、そのうち400トン前後が原子炉建屋の地下に流入していると試算。残りの600トンのうち約300トンは地下の作業通路内にたまった高濃度の汚染水と混ざり、汚染されて海に流出している。
これまでに東電は約1000基の貯蔵タンクを製造し、33万5000トンの汚染水を保管している。これらのタンクは慌しく製造されたため、安全性が懸念される。東電は8月20日、1つのタンクから300トンの高濃度の汚染水が漏えいしたと発表。今月1日にもタンクをつなぐ配管にも漏えいが見つかった。
ロイター通信は、凍土壁設置の計画は大きな課題に直面していると指摘。一部の専門家は、技術とコスト面からこの計画の実現性に疑問を抱く。産業技術総合研究所で地下水研究グループ長を務める丸井敦尚氏によると、凍土壁には水密性があるが、通常は工事中に数年使うだけで、長期的な効果はまだ検証されていない。福島原発事故の収集にはおそらく40年はかかる。米オークリッジ国立研究所が過去に同じような技術で放射性廃棄物を処理したが、使ったのは6年だけだったという。「それが効果を失ったときのために他にも安全措置が必要」と丸井氏。「凍土壁は1年や2年ではできない。ということは汚染水がこのまま漏れ続ける可能性があるということだ」と指摘する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月5日