共同通信社の報道によると、菅義偉官房長官は14日の記者会見で、中ロ両国の海軍が東中国海で実施を予定している合同演習について、「大きな関心事として注視していく」と述べた。日本自衛隊は中ロ合同演習の開始前に、最先端の電子偵察機やイージス艦といった先進的な武器を派遣し、全天候で中ロ軍の一挙手一投足を監視している。それでは、日本はなぜ中ロ海上合同演習「海上連合―2014」に注目しているのだろうか?
周知の通り、日本は同演習の主役である中国とロシアとの間に、領土問題を抱えている。離島奪還の内容が含まれる可能性のある中ロ海上軍事演習に際して、日本は中ロ海軍の実力を覗き見る絶好の機会を逃そうとしていない。自衛隊はさらに、形なき電磁空間において、中ロ海軍に全次元の情報戦を仕掛け、偵察・監視・妨害などの行動に出ることで、中ロ海軍の演習の実施を阻み、自国の情報戦能力を調べることもできる。
中国海軍はかつて、多くの場合において、日本列島の南部から西太平洋に入り訓練を実施していた。今回の8日間に渡る中ロ海上合同演習の場所は、日本海北東部、ロシアの辺境海域に位置するピョートル大帝湾沖となった。軍事演習の海域は日本の領海を侵犯しないが、日本海を自国の海としてきた日本人にとって、自宅の軒先で中ロ海軍の「完全武装訓練」を許すことで、自尊心が損なわれる。安倍政権がこれを大きな関心事としなければ、一部の日本人は不満を抱き、米国人も面子を潰されたと感じるだろう。さらには、間もなく始まる選挙で、自民党に不利な影響が生じる可能性がある。自民党は中ロ軍事演習で大いに騒ぎたて、中ロの脅威を誇張すれば、これを選挙の駒とすることができ、平和憲法の改正に向け国内外で有利なムードを形成できる。
日本は、中ロの日本海での演習に稀に見るほどの関心を示しているが、これは島国根性によるものだ。彼らは付近の海域に見知らぬ巨船が出現することに対して、昔から奇妙な「恐怖感」を抱いていた。
160年前の7月8日、米国の4隻の新型戦艦(うち2隻が蒸気船)、60門を超える大砲が、鎖国で閉ざされていた日本の門を開き、大きな恐慌を引き起こした。これは日本史で「黒船来航」と呼ばれる出来事で、アヘン戦争の中国への影響と同じく、日本の近代史のページを開いた。
中ロの今回の日本海での軍事演習は、日本人によって「黒船来航」の再来とされている。国民の心中に長く存在していた「艦隊恐怖症」が再び発作を起こすことは避けられず、人々は国家の運命に再び転換が生じることを恐れながら期待しているほどだ。
軍事的な角度から見ると、演習は演習であり、通常ならば仮想敵国が設定されるが、これは実際の作戦対象と同じとは限らない。日本はいわれなく、他国の軍事演習に多くの政治的な意味を読み取ろうとしているが、敵意ある発言をし敵対的な行動に出れば、世界の笑い者になるだけだ。
(筆者:陳黎平 武装警察河南総隊鄭州市支隊政治部)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年5月15日