日本を戦後体制から脱却させ、戦争を発動できる「普通の国」にするため、安倍晋三首相は、国際情勢の変化と日本の周辺の「威脅」の拡大を必死で訴え、集団的自衛権の容認と憲法解釈の変更をはかっている。
自民党の石破茂幹事長と公明党の井上義久幹事長は18日、東京で会談し、憲法解釈の変更で集団的自衛権を容認する閣議決定を今国会会期中に完了するのは難しいとの認識で一致した。だが安倍政権は7月の集団的自衛権容認に向けて野心を捨てておらず、一人よがりな武力抑制論に固執しており、極めて危険と言わざるを得ない。
日本の立憲主義と国民に対する侮辱
安倍首相は、憲法解釈を変更して集団的自衛権を容認するため、専門家による会議なるものを開き、もっともらしい理由で日本の民衆を欺こうとしている。安倍首相は就任後、憲法解釈の修正のために2007年に設けられていた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を再開した。昨年9月の安保法制懇の会合後には、「今日の議論が憲法制定以来の変化を直視し、新たな時代に合った憲法解釈を議論する土台となることを期待する」と、自衛隊による集団的自衛権の行使を可能とする意図を再びにじませた。今年5月15日、安保法制懇は安倍首相に、現行の憲法解釈を修正して集団的自衛権を容認することを提案する報告書を提出した。
同志社大学の浅野健一教授は取材に対し、「安保法制懇のメンバーは安倍首相が選んだ『仲間』であり、安倍首相と息が合うのは当たり前」と指摘する。「日本の首相にあるまじき自作自演、自画自賛の粗悪な手段だ」
東京大学の小森陽一教授は、集団的自衛権の容認に向けて安倍政権が取っている手法は、「連立相手の公明党を侮辱し欺くだけでなく、日本が戦後に形成してきた立憲主義と日本国民も侮辱するもの」と指摘する。
「村山談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長は取材に対し、「安倍首相は国民に対し、事実を曲げ、国民感情をあおる説明をしている。こうした手法は近代民主国家では許されない」と語る。多くの学者が指摘するように、憲法9条をごまかしによって変更しようとする安倍首相のやり方は、武装クーデターとも言えるものだ。
日本外交の2つの核心原則を放棄
安倍首相の行動に対し、国際社会からは、日本外交がこれまで取ってきた2つの核心原則が放棄されようとしているとの声が上がっている。米国の隔月誌『ナショナル・インタレスト』は5月27日付でウェブサイトに掲載した記事で、「安倍首相の集団的自衛権容認の努力が実を結ばなかったとしても、日本政府がこれを議論しているということ自体が、日本が平和憲法で交戦権を放棄して以来、日本の軍事活動が受けてきた制限がある程度緩和されていくことを示している。広義の戦略的角度から見ると、安倍氏の行動は、日本外交が取ってきた2つの核心原則、『吉田ドクトリン』と『福田ドクトリン』に背くものだ」としている。
藤田理事長は、「安倍首相は日本を、武力を土台とした戦前の大日本帝国のような強権国家にしようとしている」と指摘する。集団的自衛権が容認されれば、戦前と同じく海外で戦争のできる国となり、平和な国として日本が戦後69年でアジアと世界から得てきた信頼を喪失することになる。安倍政権が集団的自衛権容認のために取っている愚かな動きには、国内でも反対の声が根強い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年6月19日