中日首脳会談は実現するか 中国の問題の1つに

japanese.china.org.cn, October 15, 2014
 

間もなく北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会談で、中日首脳会談が3年ぶりに実現されるか否かは、オバマ米大統領の招待に次ぐ大きな見所になっている。

日本の首相官邸は北京での中日首脳会談の実現を促進するため、外務省を通さず中国と直接接触を試み、中日関係改善の積極的な姿勢を示している。日本側は「特使の外交」、「経済代表団の外交」、「劇の外交」、「幼馴染の外交」といった手を使い尽くし、安倍首相も秋季例大祭の靖国参拝を見送っている。しかしこれらの効果は限定的だ。

安倍首相が設定した目標は、前提条件なしの中日首脳会談の実現であるが、これは中国側の原則的な立場から大きくかけ離れている。中国側の圧力に対して、安倍首相は中日の間に釣魚島(日本名・尖閣諸島)の領有権に関する係争が存在することを認めがたく、任期内の靖国参拝停止を明言することも難しい。ゆえに首脳会談実現の障壁を取り払うことはできない。

安倍政権の中日首脳会談実現に向けた取り組みが、一方的なものとは言えない。中国もまた、必要な軟化の姿勢を示している。中国の外交部長は8月と9月の多国間協議の場を利用して2回の会見を実現し、両国政府も10月下旬に「防衛当局の海上連絡メカニズム」の再開に向け協議している。

安倍首相が7月に派遣した「特使」の福田康夫元首相は、習近平国家主席と会談することができた。日本側の情報によると、中国はその密会で、日本の戦略的動向、中国に対する意図について、率直に疑問を呈したという。これは中日のズレが主権・海洋・歴史を巡る係争のみに留まらず、戦略的な問題であることを反映している。

かつて中日関係に問題が生じた場合、常に「政冷経熱」という傾向があったが、今回はこの傾向が見られていない。日本を訪れる中国人観光客数は記録を更新し続けているが、中日の貿易・投資・技術協力の急激な縮小の流れを覆い隠してはいない。これは東アジア経済の回復、改革・調整、地域内の協力に大きな悪影響を及ぼしており、アベノミクスの効果を必死に守ろうとする日本にとっては痛手になっている。

中日両国の経済界と民間の懸念が深まる中、中日関係の改善を願う人が少数派ではなくなっている。9月下旬に開催された第10回「北京―東京フォーラム」は空前の盛況となり、日本は「史上最大規模」の訪中団を派遣した。汪洋副総理は会談の中で、中日の経済界のハイレベル協議を早期再開したいという日本側の要請に積極的に応じ、日本は歴史・領土問題で誠意を見せなければならないと指摘した。

対外戦略、内政、外交のいずれの角度から見ても、中国が求める「誠意」は日本のいわゆる「核心的な利益」と安倍政権の方針に関わってくる。中日首脳会談の実現は、開かずの扉に直面しているかのようだ。

安倍政権は「火消し」に追われており、国民の中日首脳会談に向けた期待を弱める輿論を意図的に形成している。また会談が実現できない責任を中国に押し付けながら、米国、インド、韓国、ASEANとの外交成果を強調することで、中国の不足を補おうとしている。

高村正彦自民党副総裁は10月12日、NHKの番組に出演した際に、APEC首脳会議での中日首脳会談実現の「機は熟した」と述べたが、「片方が条件を出し、もう片方にこれを受け入れさせるような首脳会談実現はありえない」とも発言した。

安倍首相は、APEC北京会議を成功させたいという主催国の心理を利用し、中日関係の問題にかかった圧力を中国に向けようとしている。自国を中日関係および東アジアの地政学のトラブルメーカーから、中日の係争の弱者・被害者に偽装し、国際社会から同情を集め、中国を受動的な立場にさせ、輿論の圧力をかけようとしている。

これが現在の大体の情勢だ。安倍首相が念入りに計画した国内外の喧伝により、中日の首脳が北京で会談を実現するか否かという問題は、劇的な外交の懸案に発展している。その象徴的な意義は人為的に過大評価されており、焦点が極度に絞られている。これは物事の発展の法則とリズムに合致しない。

長期化している中日のズレの本質は、領土・歴史問題を表象とする戦略的なズレだ。この判断が事実であるならば、北京での中日首脳会談実現は、両国関係がそれにより直ちに改善され軌道に乗ることを意味するとは限らない。また首脳会談が実現されなかったからといって、両国関係が取り返しの付かない局面に陥り、東アジア情勢が制御不能になるとは限らない。

安倍首相が出席のため北京を訪問するならば、中日の首脳が完全に顔を合わせないことはありえない。APECの慣例に基づき、中国の国家元首が署名した招待状がすでに送られている。各国の首脳を迎え、握手し挨拶することは、開催国として最低限のマナーである。中日の首脳が会議でまったく交流しないことはありえない。

重要なのは、中日の首脳がどのような形式で交流するかだ。短い立ち話か、それとも着席しての会談か。前者については、2013年9月6日のG20サンクトペテルブルグサミットに先例がある。習主席と安倍首相は当時、会議の合間に英語の通訳を介し短い話をした。習主席は日本に対して、歴史を正視し未来を見据える精神により釣魚島や歴史などの敏感な問題を正確に処理し、対立を適切にコントロールし問題を解決する方法を求めるべきと促した。

残された時間は1ヶ月もない。中国にとって、会談を実現するか否かは確かに一つの問題であり、国内外の角度から検討し、戦略的な積極性の維持にとって有利か否かを判断基準とする必要がある。

これはなぞなぞや占いのゲームではない。中国は中日関係の発展の流れそのものと、中国の体外戦略と地域内の情勢におよぼしうる影響に注目しなければならない。

中日のズレには歴史性・長期性・戦略性・地域性の特徴がある。関係者と各界は、両国関係の冷ややかだがコントロールを失わない「常態」に適応する必要があるようだ。長期的に見ると、王緝思教授が最近発表した文章「中米・中日関係の悪化、有利な局面にあらず」の中で指摘した通り、中日関係が今日のような状態になっていることは痛ましいが、だからこそこれを正常に戻すよう努力しなければならないのだ。(筆者:暁岸)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年10月15日

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