安倍晋三首相は今月15-18日にイタリア・ミラノを訪問し、アジア欧州会議(ASEM)首脳会合に出席する。安倍首相は会期中に、ロシアのプーチン大統領と非公式接触を行い、11月の北京APEC首脳会議での首脳会談実現に向け機運を高めようとしている。
安倍首相とプーチン大統領の前回の接触は、今年2月のソチ五輪の首脳会談だ。半年以上の期間があき、安倍首相は待ちきれない様子だ。プーチン大統領と北京で正式な首脳会談を実現する前に、安倍首相はミランでの「立ち話」に積極的な姿勢を見せている。これほど急いでプーチン大統領と会談しようとする安倍首相は、どのような計算をしているのだろうか?
外交学院国際関係研究所教授の周永生氏は、「安倍政権は北東アジア全体で、外交の孤立に陥っており、中国・韓国・ロシアなどの周辺諸国との関係も膠着している。ゆえに安倍首相はプーチン大統領との会談を早期実現し、この外交の孤立を打破しようとしている。安倍首相にとって、プーチン大統領との会談は外交の進展であり、北東アジアにおける外交の失敗に対する国内の不満をやわらげることができる」と分析した。
当然ながら、安倍首相の計画はこれのみに留まらない。未解決の懸案となっている北方四島(ロシア名・南クリル諸島)問題は、常に安倍首相の心に重くのしかかっている。また国内経済の発展の圧力により、安倍首相は周辺諸国との関係の再構築を検討せざるを得ない。
周氏は、「関係悪化により、日本と周辺諸国の経済協力が低迷を続けている。アベノミクスは現在、転換点に突入した。周辺諸国の市場という支えがなければ、日本経済の成長維持は困難だ。ロシアの極東市場は、安倍首相の経済協力の発展にとって、重要な突破口になる」と語った。
「非公式会談」にせよ「正式な会談」にせよ、安倍首相がプーチン大統領と会談できたとしても、二人の話は噛み合わないだろう。
専門家は、「プーチン大統領も安倍首相との接触により、西側諸国の制裁を受ける外交情勢を打破することを願っている。両氏の会談は日ロの最近の緊張した雰囲気をやわらげるが、北方四島問題の進展が不可能であることから、両国関係に実質的な進展は訪れない」と指摘した。
周氏は、「プーチン大統領の安倍首相に対する最も重要な要求は、対ロ制裁を停止し、米国に追随するのではなく、独立した外交政策を進めることだ。安倍首相はプーチン大統領と会談を実現しても、米国をはじめとする西側諸国の側に立ち、米国の統一的な計画を支持し、対ロ制裁を継続するだろう」と分析した。
中国社会科学院日本研究所日本外交研究室主任の呂耀東氏は、「安倍首相にとって、ASEM首脳会合や北京APEC首脳会議などの国際的な舞台におけるロシアとの首脳会談は、一つの外交の進展だ。安倍首相はこれにより、日本が独立した自主的な外交を展開しており、米国に完全に追随していないというイメージを示し、周辺諸国に外交政策を認めさせようとしている。ロシアなどの周辺諸国との外交関係に関する問題の解決に向け、安倍首相は真の誠意を示していない」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年10月16日
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