アベノミクスの弊害、すでにプラス効果を上回る 

japanese.china.org.cn, October 27, 2014
 

日本政府はこのほど、10月の月例経済報告を発表し、景気の基調判断を2ヶ月連続で引き下げた。4月の消費税引き上げによって、個人消費と生産活動の低迷が続いていることを反映している。基調判断の2ヶ月連続の引き下げは、2012年以来。あるアナリストは「アベノミクスによる刺激策が効果を失いつつある。日本経済は岐路に立たされている」との見方を示した。

統計によると、日本の第2四半期(4~6月)のGDPは年率7.1%のマイナスと、2009年の国際金融危機以来の大幅な落ち込みとなった。第3四半期(7~9月)に入っても、日本経済の回復のピッチは遅く、4~9月までの輸出数量は前年同期比0.3%減、8月の個人消費も同4.7%減と減少した。円レートは米国の量的緩和政策の終了とともに、8月から急速に円安が進行。

  

しかし、製造業の海外生産が進んでいることで円安でも輸出が増加していない。むしろ輸入燃料価格の上昇で貿易赤字が急速に膨らんでいるのが現状だ。9月の貿易赤字は9583億円(1ドル108円で計算)とこれまでの四半期の中で過去最高、27ヶ月連続の赤字となっている。円安による輸入インフレは個人消費を落ち込ませるだけでなく、海外の日本企業の経営にも影響を与える。

これらの企業は円安と海外労働力のコスト上昇というダブルのマイナスによって、収益機会が大幅に落ち込んでいる。このほか政治資金問題による就任後わずか1ヶ月の小渕経済産業相の辞任も、政府の今後の経済運営をより難しいものにしている。政府は経済全体は回復に向かっているとの見方を示しているものの、実態は低迷が続いている。

  

年末に予定されている2015年10月の消費税の再増税(8→10%)に対する決定も難しい選択を迫られている。消費税を引き上げればGDPの2倍といわれる財政赤字を縮小できるが、時期を間違えれば、日本経済そのものが「元も子もなくなる」可能性がある。安倍内閣の顧問で、静岡県立大学の教授でもある本田悦朗氏は「消費税の再引き上げは1年半遅らせるべきだ」と表明。このほか42名の国会議員も増税延期の議案を準備している。

政府関係者の日本経済に対する自信のなさがうかがわれる。金融政策も難しい局面となっている。現在のインフレ率は1.25%前後と、日銀が目標とする2%の達成時期まであと半年しかなく、給与所得者の実質賃金が目減りする中、物価の引き上げも困難になってきている。

 

最近市場では「2%のインフレ目標の達成時期を2年から3年に延ばすのでは」との見方も広がっている。バリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「2013年に始まったアベノミクスは、すでに弊害がプラス効果を上回った。

世間には追加の金融緩和策や財政出動による景気刺激を求める声があるが、これらはかえって民間の設備投資を落ち込ませる。日本がやるべきはアベノミクスの2本の矢(大胆な金融緩和と機動的な財政政策)を終了させ、3本目の矢、すなわち経済構造改革を急ぐことである」と述べている。

 

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年10月27日

Facebook:China.org.cn JP

Twitter:@ChinaorgcnJP