4つの合意事項、外務省と国家安全保障局の間に不協和音

japanese.china.org.cn, November 18, 2014
 

APEC首脳会議中に首脳会談が実現された後、中日関係は平静になるはずだった。なぜなら今回の会談前、楊潔チ(竹かんむり+褫のつくり)国務委員と谷内正太郎国家安全保障局長が今月7日に北京で、中日関係の処理と改善に関する4つの合意事項を取りまとめたからだ。この4つの合意事項は、中日関係改善の基礎とされている。

しかし岸田文雄外相は、これを不服としているようだ。岸田外相は12日、日本はこの4つの合意事項の中で、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の領土問題が存在することを認めていないと称した。岸田外相は13日さらに、日本と中国が取りまとめた4つの合意事項は、両国が「現状に基づき意見を一致させまとめあげたもの」に過ぎず、国際的な拘束力はないと述べた。岸田外相のこれらの言い分は、当然ながら中国駐日大使館から批判を浴びた。

岸田外相の発言は、日本政府の中日関係に対する手のひら返しなのだろうか、個人的な中日関係に対する意思表示なのだろうか?ここには重視すべき多くの細かい点が存在する。中国の国務委員と対等に交渉のテーブルについたのは日本の国家安全保障局長であり、外相ではなかった。

中日関係の改善という重大事項を協議したのが、なぜ国家安全保障局であり外務省ではなかったのか?これは細かく分析する必要がある。国家安全保障局は今年内閣に創設された部門であり、主な職責は「国家安全保障会議」の補助、外交防衛の基本方針「国家安全保障戦略」および防衛装備の基本方針「防衛計画の大綱」の制定、安全保障および危機管理となっている。国家安全保障局の職責には外交の内容が含まれるが、よりマクロで戦略性が高いことが分かる。

谷内局長が顔を出し、中国と取りまとめた4つの合意事項は、安倍内閣の外交の意図を貫いている。谷内局長は外務省の長い勤務歴を持ち、2005年に外務省事務次官に就任した。2012年以降は内閣特別顧問になり、その後国家安全保障局長に就任した。谷内局長がこのポストについたことは、首相の厚い信頼を意味する。谷内局長の就任後、日本には外交を担当する二つの部門ができたことになる。中日関係が極めて重要な時期に差し掛かる中、外務省は積極的に行動せず、対中関係の積極性を失い、67人編制の国家安全保障局に先んじられた。これは実際には、外務省に対して鳴らされた警鐘だ。中日関係において、疎んじられることは良いことではない。それなのに他人が取りまとめた合意事項を押し付けられれば、岸田外相も良い思いをするはずがない。

当然ながらこの分析は、中日関係のほんの小さな点に関することにすぎない。中日関係には解決が必要な問題が山積しており、今後これが繰り返されたとしても正常なことだ。4つの合意事項は、スタートラインで枝葉末節に問題が生じたに過ぎない。しかし日本の政界で長年世渡りしてきた岸田外相にとって、これは大した問題ではない。年末の衆院選、来年の自民党総裁選を間近に控え、岸田派のリーダーである彼が単なる外相のポストに満足できるだろうか?

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年11月18日

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