一、 外国人の入国についてどのような規定があるか。
答
「中華人民共和国外国人出入国管理法」によれば、外国人は中国の国境に入る場合、入国手続きをしなければならない。まず有効な旅券と関係証明書類を持参し、中国の主管機関で入国査証を申請してから、あるいは中国が外国と結んだ二国間協定に規定されている手続きにしたがって、中国主管機関の発給する入国査証を取得してから、はじめて中国に入ることができる。外国人はその具体的な状況に基づいて、中国の外国駐在大使館、領事館あるいは中国外交部から権限を授けられたその他の外国駐在機構に査証を申請することができる。特定の状況のもとでは、中国の指定した開港場の査証発給機関に査証を申請することもできる。外国人は中国国内の権限を授けられた機構の書簡と電報および中国と外交関係または政府間貿易往来のある国の通常旅券を持参し、下記の事由で確かに至急中国に来る必要はあるが、上記の中国の外国駐在機構に査証を申請するのに間に合わない場合、中国公安部から権限を授けられた開港場の査証発給機関に査証を申請することもできる。①中国側が臨時に中国に来て交易会に参加するよう招請することを決定した。②招きに応じて中国に来て応札するかまたは経済貿易契約に本調印する。③契約にしたがって中国に来て輸出商品の船積み監督、輸入商品の検査あるいは合同検収に参加する。④招きに応じて設備の据え付けあるいは工事の応急修理に参加する。⑤中国側の要請に応じ、中国に来て賠償請求問題を解決する。⑥招きに応じ中国に来て科学技術コンサルティングを提供する。⑦招きに応じて中国を訪問する代表団が査証を取得してから、中国側の同意を得て臨時に人員を増加するか入れ替える。⑧危篤の病人を見舞うかあるいは葬儀をとりおこなう。⑨直接国境を通過する者が不可抗力の原因で24時間以内にもとの飛行機に乗って中国を離れることができないかあるいはその他の交通手段に乗り換えて中国を離れる必要がある。⑩その他の状況。
中国政府と査証協定を締結した国の関係要員の入国は、協定の規定に基づいて査証を免除することができる。中国と隣接する国の国民で、両国の国境通過地区に住み、臨時に中国に出入りする場合は、当該国と中国が締結した協定あるいは中国政府の関係規定にしたがって処理すべきである。
中国に来る外国人の身分と所持する旅券の種類に基づいて、中国の査証機関はそれぞれ彼らに外交査証、礼遇査証、公務査証、普通査証を発給する。普通査証の取得には下記のような状況が含まれる――中国に定住に来るものはD査証を取得する。中国に就任または就職に来るものとその随行家族はZ査証を取得する。中国に6カ月以上留学、研修、実習するものはX査証を取得する。招きに応じ中国に来て訪問、考察、講義、ビジネス、科学技術・文化交流および短期研究・学習などの活動を行い、期間が6カ月を超えないものはF査証を取得する。観光、親族訪問あるいはその他の個人のことで入国するものはL査証を取得し、そのうち、9人以上のものが団体で中国を観光する場合は団体査証を取得することができる。中国を通過するものはG査証を取得する。乗務、航空、海運任務を執行する国際列車の乗務員、国際航空機の乗務員および国際航行船舶の会員とその随行家族はC査証を取得する。中国に常駐する外国人記者はJ-1査証を取得し、取材で臨時に訪中する外国人記者はJ-2査証を取得することができる。
各種の査証を申請する外国人は、聞かれた関係状況を回答しなければならないとともに、有効旅券または旅券に代わる証明書類を提供し、査証申請表に記入し、最近に撮った2寸の半身、正面、無冠写真および関係証明書類を提出すべきである。有効旅券または旅券に代わる証明書類とは、外国人が所持する、期限が切れておらず、かつ手続きの完備した旅券あるいは旅券に代わる証明書類を指す。関係証明書類とは、外国人の入国、国境通過の事由についての証明書類を指し、それには下記のようなものが含まれる。
①
D査証を申請する場合は、定住身分確認表を持っていなければならない。この表は申請人あるいは委託された中国国内在住の親族が定住申請地の市・県公安局出入国管理部門に申請し、発給を受ける。②Z査証を申請する場合は、中国の招聘・雇用部門の招請あるいは雇用証明書、あるいは権限を授けられた部門の書簡や電報がなければならない。③X査証を申請する場合は、受け入れ部門または主管部門の証明書類がなければならない。④F査証を申請する場合は、権限を授けられた部門の書簡や電報がなければならない。⑤中国観光のためL査証を申請する観光客は、中国観光部門の受け入れ証明書がなければならず、必要な時は中国を離れて次の国(地域)に行く航空券、乗車券あるいは乗船券を提示しなければならない。⑥G査証を申請する場合は、これから行く国(地域)の有効査証を持っていなければならない。もし申請人がこれから行く国(地域)の有効査証を免除されるなら、通し航空券(あるいは乗車券、乗船券)を持っていなければならない。⑦J-1とJ-2査証を申請する場合は、主管部門の証明書がなければならない。
外国人が中国に来て定住するかあるいは1年以上居留する場合は、入国査証を申請する際、検査のため、所在国政府の指定した衛生・医療部門の発給するかあるいは衛生・医療部門が発給し、公証機関の公証を経た健康証明書をも提示しなければならない。健康証明書は発給した日から6カ月以内有効である。
二、外国人の中国居留についてどのような規定があるか。
答
政治的理由で中国に来て避難する外国人を含めて、入国を認められた外国人は、中国に滞在し、短期または長期に居住する必要がある場合、中国の主管当局で手続きをし、当該主管当局の発給する身分証明書あるいは居留証明書を取得しなければならない。しかし、F、L、G、C査証を持っている外国人は、査証の明記した期間内に中国に滞在することができ、居留証明書の発給を申請する必要がない。
およそD、Z、X、J-1査証を持っている外国人は、入国の日から30日以内に居住地の市・県公安局で外国人居留証あるいは臨時居留証の発給を申請しなければならず、これら証明書類の有効期限はつまり証明書類所持者の中国居留を認められた期限である。居留証を申請する外国人は、聞かれた関係状況を回答するとともに、検査のため旅券、査証、および居留事由に関する証明書類を提示し、居留申請表に記入し、検査のため健康証明書を提示し、最近に撮った2寸の半身、正面、無冠写真を渡さなければならない。中国の公安機関は審査したあと、中国に1年以上居留する外国人に居留証を発給し、居留期間が1年未満の外国人に臨時居留証を発給する。外国人居留証の有効期限は1年ないし5年であり、市・県公安局が外国人の居留事由に基づいて決定する。
中国政府が外国政府と締結した協定に基づいて査証申請を免除される外国人は、中国に30日以上滞在する必要がある場合も、入国後前述の手続きにしたがって居留証の発給を申請すべきである。ただし、外国の中国常駐外交代表機関、領事機関のメンバーおよび特権や免除を享有するその他の外国人は、前述の規定を適用しない。
三、外国人の出国についてどのような規定があるか。
答
外国人は出国する時、その旅券、中国滞在あるいは居留を認められた査証、居留証およびその他の有効証明書類を提出し、検査を受けてから出国することができる。査証機関から通行開港場を指定された外国人と外国の交通手段は、指定された開港場から出国しなければならない。外国人居留証を所持するものは、その居留証の有効期以内に出国するとともに中国に帰還する必要のある場合、地元の公安機関で査証申請の手続きにしたがって中国に帰還する査証を申請すべきである。出国した後中国に帰還しない場合は、出国する時に国境警備検査所にその居留証を返上しては廃棄しなければならない。
「中華人民共和国外国人出入国管理法」の規定によれば、およそ下記の状況の一つがある外国人は出国してはならない。
(1)刑事事件の被告人あるいは中国の公安機関、人民検察院、人民法院の認定した犯罪容疑者。しかし、彼らが犯罪容疑を解除されるか、あるいは追訴機関から彼らに対する訴訟を停止されたか、あるいは無罪を宣告された時は、中国を離れることができる。(2)人民法院から未解決の民事案件(案件の中の原告、被告あるいは第三者を含む)があると通告されたものは出国できない。彼らが巻き込まれた案件が解決され、彼らの法定義務を完成してから出国することができる。(3)中国の法律に違反したその他の行為がまだ処理されず、関係主管機関が追及する必要があると認定したもの、つまり中国の司法機関が前述の二つの状況以外の違法行為を犯したと認定したもの、例えば交通法規に違反した当事者は、彼らの違法行為が処理されてから、出国できる。(4)有効の旅券、証明書類あるいは査証を持っていないか、あるいは中国公安部や国家安全部が出国を許さないと通知したものに対し、中国国境警備検査所はその出国を阻止する権限がある。国境警備検査所が状況に基づき法によって彼らを処罰したあと、あるいは関係機関が出国できると通知した後、彼らははじめて出国することができる。
四、外国人はどのように中国の国籍に加入し、回復するか。
答 外国人が中華人民共和国国籍を取得する状況は下記の三種ある。
1、
出生地に基づく。「中華人民共和国国籍法」(以下、「国籍法」と略称)第6条は中国国籍取得の条件は、父母が無国籍者かあるいは国籍不明者で、しかも中国に定住し、本人が中国で生まれたことであり、本人は出生後、その父母の居住地の公安機関で戸籍登記をして、中国国籍を取得すべきであると規定している。
2、
条件に基づいて加入を申請する。「国籍法」第7条の規定によれば、外国人と無国籍者は、中国主管当局に中国国籍加入の申請を提出し、認可を得てから中国国籍を取得することができる。中国国籍の加入を申請する人は自由意思でなければならず、しかも中国憲法とその他の法律を順守することを願い、同時に下記の条件の一つを備えているべきである。
(1)
中国人の近親である。近親と称される者は、配偶者、父母(実の父母と養父母を含む)、子女(実の子女と養子女を含む)、兄弟姉妹(同じ父母あるいは父か母が同じの、あるいは父か母が違う兄弟姉妹を含む)、祖父母(母方の祖父母と養祖父母を含む)である。
(2)
中国に定住する。外国人あるいは無国籍者は、中国人の近親ではないが、中国に定住し、長期にわたって中国の属領地の管轄下にあり、中国の法律を順守し、中国公民の民事権利と法的保護を享有し、中国人となる主観的、客観的条件を備えている。それゆえ、申請し、認可を得て中国国籍に加入することができる。
(3)
その他の正当な理由がある。これは前述の条件の一つを備えていないものを指すが、その他の適当な理由があれば、申請し、認可を得て中国国籍を取得することもできる。例えば、中国を愛する人士、あるいは中国の革命と建設に貢献した人、あるいは中国人民の友人など。
3、条件に基づいて回復を申請する。
「国籍法」第13条の規定に基づいて、中国の国籍に加入したことのある外国人は、中国人の近親であるとか、あるいは中国に定住しているか、あるいはその他の正当な理由があれば、申請し、認可を得て中国の国籍を回復することができる。
中国国籍の加入あるいは回復を申請する外国人は、中国の受理機関に(国内にいるものは地元の市・県公安局に、国外にいるものは中国の大使館、領事館に、中国が大使館、領事館を設けていないところでは、直接中国公安部に)申請しなければならない。申請する時は、申請書及び関係ある証明書類と資料、例えば申請人が中国人の近親であることを証明する証明書、中国定住証明書、あるいはかつて中国の国籍に加入したことを証明する証明書とその他の証明資料などを提出すべきである。18歳未満のものは未成年者に属し、一般には政治上、思想上、経済上ではいずれも成熟せず、あるいは独立することができず、その父母あるいはその他の法定代理人の扶養、教育、援助を必要とする。満18歳になったが、行為能力を喪失したものの申請手続きは、他人に代行してもらうことができる。
中国では国籍の加入あるいは回復を主管する審査・認可機関は公安部である。中国国籍の加入あるいは回復を受理する機関は、その受理した申請に対し調査を行ってから、処理意見を具申し、公安部に送付して審査・認可を受ける。公安部は中国国籍の加入あるいは回復の申請を認可したものに、中国国籍の加入証書あるいは回復証書を発給し、認可の日から法的効力が発生する。
五、外国人は中国でどのように結婚するか。
答 「中国人民共和国婚姻法」及び関係規定によれば、外国人と外国人、外国人と中国公民が中国で結婚する場合、その居住地の県クラス以上の政府の指定した婚姻登記機関で登記を申請しなければならない。登記する時、当事者は下記の証明書類を提出すべきである。
中国の公民は、本人の戸籍証明書、本人の戸籍所在地の県クラス人民政府あるいは勤務先の県クラス以上の機関、学校、事業体、企業の出した本人の氏名、性別、生年月、民族、婚姻状況(未婚、離別、配偶者喪失)、職業、仕事の性質、結婚相手の証明書類を提出しなければならない。
外国人は、本人の旅券あるいはその他の身分・国籍証明書、公安機関の発給した「外国人居留証」、あるいは外事部門の発給した身分証明書、あるいは中国短期訪問の入国・居留証明書、自国外務省(あるいは外務省から権限を授けられた機関)と同国に駐在する中国大使館、領事館が認証した自国公証機関の発給した婚姻状況証明書あるいは当該国の中国駐在大使館、領事館の発給した婚姻状況証明書を提出しなければならない。中国在住の外国居留民は、本人の旅券あるいは旅券に代わる身分・国籍証明書(無国籍者はその提出を免除される)、公安機関の発給した「外国人居留証」、本人の戸籍所在地の県クラス人民政府あるいは勤務先の県クラス以上の機関、学校、事業体、企業の出した本人の氏名、性別、生年月、職業、結婚相手の証明書類を提出しなければならない。
結婚を申請する男女双方は、婚姻登記機関の指定した病院の発給した結婚前健康診断証明書を提出しなければならない。
およそ証明書類がそろい、上述の規定に合致する当事者は、証明書類と双方の写真を持参し、自ら婚姻登記機関へ行って申請することができる。婚姻登記機関の審査を経て、中国の法律規定に合致する場合、登記を認められる。1カ月以内に登記手続きをし、結婚証明書を発給する。
中国と外交関係のない国の公民が、中国公民との結婚を要求する場合、その婚姻状況証明書は中国と当事者所属国のいずれとも外交関係のある第三国の外務省あるいは当該国の中国駐在大使館、領事館の認証を経なければならない。香港・澳門(マカオ)に長期にわたって居住する外国籍中国人が大陸部の公民との結婚を申請する場合、国籍所属国の証明書を持っている人に対し、上述の手続きにしたがって処理する。香港と澳門の関係当局の出した婚姻状況証明書を持っている人に対し、香港・澳門同胞が大陸部公民と結婚する関係規定を参照して処理することができる。
ただし、中国公民のうち、現役軍人、外交要員、公安要員、機密要員とその他重大な機密を握る要員、労働教養と服役中の者は、外国人と結婚してはならない。
六、外国人が中国で離婚する場合、どんな問題にかかわるか。
答 外国人の中国での離婚問題は、外国人の間の離婚、外国人と中国公民との離婚を含んでいる。これは離婚の管轄権と法律適用原則、離婚の形式要件と実質的要件、および離婚の法律結果などの方面の問題に及んでいる。
1、離婚の法律管轄権と法律適用原則 中国は渉外婚姻案件への管轄権と法律適用原則について、具体的な規定を行っており、しかも司法実践の中で当事者の異なる状況に基づいて、異なる方法をとっている。
(1)
夫婦双方がともに外国人で、中国で離婚を要求する場合、中国の法院に離婚訴訟を提起することができ、中国の法院はこれを受理し、中国の法律規定に基づいて判決すべきである。
(2)
中国公民と外国人が中国で離婚を要求する場合、「中華人民共和国民事訴訟法」の関係規定に基づいて、人民法院が判決すべきである。夫婦がともに離婚を望むか、それとも夫婦の一方が離婚を要求するかをとわず、すべて人民法院で処理されるべきである。
2、離婚の形式要件
「中華人民共和国離婚法」は、協議式と訴訟式の二種類の離婚方式を規定している。
(1)
協議式は、登録式とも称される。このような方式は夫婦双方が離婚を望むことを指す。婚姻登記機関の認可を得て離婚登記を行えば、婚姻関係は解消される。外国人夫婦、外国人と中国公民の夫婦が中国で離婚する場合、一般にはこの方式をとらない。
(2)
訴訟式は、判決式とも称される。この方式は、夫婦の一方が離婚を要求するかあるいは夫婦とも離婚を要求するが、子女の扶養あるいは財産の分配で意見が一致しない場合、夫婦の一方が裁判所に訴訟を提起する必要がある。裁判所は審理を経て、中国婚姻法の規定した離婚の実質要件に合致すると認めれば、離婚を判決する。外国人夫婦、あるいは外国人と中国人の夫婦の離婚は、このような方式をとらなければならない。
3、離婚の実質的要件
離婚の実質的要件は、つまり離婚訴訟の中で、どのような条件に合致すれば、あるいはどのような理由があれば、裁判所が離婚を判決することができるかである。「中華人民共和国離婚法」の第二十五条第二項は、「人民法院は離婚案件を審理する場合、調停を行うべきである。感情が確かに破裂し、調停をしても効果がない場合、離婚を認めるべきである」と規定している。つまり、中国の裁判所が離婚を判決する根拠は、夫婦の感情が確かに破裂し、一緒に生活することができなくなった場合、はじめて離婚を判決するのである。
4、離婚の法律結果
離婚で夫婦関係が解消する。これは主に法律結果である。そのほか、離婚にはまた下記のような従属的な法律結果もある。
(1) 夫婦の共同財産の分配および債務の償還。
(2) 生活が困難な一方に対する経済援助。
(3) 子女の扶養と教育。
七、外国人は中国でどのように特許権を取得するか。
答 中国に特許を出願する外国人、外国企業あるいは外国のその他の組織に対し、「中華人民共和国特許法」(以下、「特許法」と略称)は、それを二種類に分けている。つまり、中国に経常的住居と営業所を設けている外国人、外国企業あるいは外国のその他の組織と中国に経常的住居と営業所のない外国人、外国企業あるいは外国のその他の組織の二種類に分け、異なる状況に基づいて別々に処理している。
中国に経常的住居と営業所のない外国人、外国企業あるいは外国のその他の組織に対し、「特許法」第十八条の規定によれば、下記の三種の異なる状況に基づいて処理することができる。(1)外国人の所属国が中国と二国間協定を締結している場合は、協定の規定に基づいて処理する。(2)外国人の所属国が中国と共に国際条約に加入している場合は、国際条約の規定に基づいて処理する。(3)互恵原則に基づいて処理するものは二つの類型がある。一は、某外国の特許法が無条件に外国人が当該国に特許を出願するのを認めるならば、中国も当該国の公民と法人が中国の公民と法人の待遇を享有するのを認める。二は、某外国の特許法が、他国が当該外国の国民に内国民待遇を与えることを条件として、その他の国の国民が当該国に特許を出願することを認めると規定しているならば、中国の特許法は当該外国の国民に内国民待遇を与えることができる。上述の三つの状況に合わず、中国で経常的住居と営業所のない外国人、外国企業あるいは外国のその他の組織は、中国に特許を出願することができない。
「特許法」に基づき、中国に経常的住居と営業所を設けている外国人、外国企業あるいは外国のその他の組織は特許を出願するとき、中国人と同じように、国家特許局にその発明と創造の保護を要求する法律文書を提出しなければならない。これらの文書は国家知的所有権局が特許権を授与するかどうかを審査、決定する根拠であり、同時に出願人が特許権を取得したあと特許法の保護を受ける権利の範囲の根拠でもある。「特許法」とその実施細則は特許出願書類の形式について統一的な規定を行っている。出願人の提出する各種出願書類は一律に国家知的所有権局の制定した統一的な表を使用し、文字は統一的に中国語を使用する。もし外国の人名、地名あるいは科学技術用語に統一的な中国語の訳語がなければ、中国語の訳語の後ろに括弧をつけて原文を記入しなければならない。外国の出願人が規定通りに提出した各種の証明書類が外国語で書いてある場合、国家知的所有権局は必要と認めれば、出願人に指定した期限内に中国語の訳文を送付するよう要求することができる。
発明と実用新案の特許を出願する外国人出願人は、出願書、説明書、設計図、権利要求、摘要などの書類を提出しなければならない。外見設計特許出願人は出願書、当該外見設計の図や写真などの書類を提出すべきであり、同時に当該外見設計の製品名称および当該製品の属する類別を説明すべきである。
出願してから、国家知的所有権局は特許権出願を審査、認可する。
八、中国の法律は外国人の著作権をどのように保護しているのか。
答 中国の法律は外国人の著作権を保護することに対し、「内国民待遇原則、条約優先適用原則、自動保護原則、独立保護原則」にしたがうが、外国人の著作権に対する中国法律保護は下記のような一定の条件を備えていなければならない。
(1)「中華人民共和国著作権法」(以下、「著作権法」と略称)が規定する保護条件。「著作権法」は、外国作品は最初に中国国内で発表されてのみはじめて中国法律の保護を受けられると規定している。これを見ても、外国人の作品が「著作権法」に保護されるには二つの条件を同時に備えていなければならないことがわかる。一は、外国人がまだ発表していない作品を最初に発表する。二は、合法的な方式をとって中国国内で発表する。「中華人民共和国著作権法実施条例」によれば、外国人の作品が中国以外で最初に出版されてから30日以内に中国で出版される場合は、同作品が最初に中国で出版されることと見なされる。外国人がまだ発表したいない作品は、権限を授けられて改編、翻訳した後、最初に中国国内で出版される場合、当該作品が最初に中国で発表されると見なされる。
(2)関係国際条約の規定した保護条件。およそ「著作権法」の規定した条件に合わない外国人の作品に対し、中国は「ベルヌ条約」と「世界版権条約」の規定に基づいて保護する。「ベルヌ条約」のその他のいかなる加入国の作者の作品も、出版されたかどうかをとわず、中国で保護される。いかなる非条約加入国の国民の作品が最初にその他の加入国で発表されたかあるいは非加入国と加入国で同時に発表された場合も、中国で保護を受けることができる。その他の加入国に経常的住居がある非条約加入国の国民の作品に対し、中国はその他の加入国の国民の作品に与えるのと同じような保護を与える。上述の条件に合わない外国人の作品は、その所属国が中国と二国間著作権協定を締結した状況の下で、中国で保護を受けることができる。二国間協定を締結していない場合は、保護を与えない。そのほか、外国の出演者が中国国内で行う公演、外国の録音録画作品製作者が中国国内で製作、発行した録音録画製品は、「著作権法」に保護される。
「著作権法」の規定に基づいて、外国著作権者は中国で人身権、財産権、訴訟権などの権利を享受する。外国著作権者の権利が侵害された場合は、中国国内で起訴するとともに、法によってさまざまな訴訟権を享受することができる。外国著作権者は、中国の裁判所に原状回復、侵害停止、陳謝あるいは損害賠償を判決するよう請求する権利がある。
九、中国にある外資企業の形式はいくつあるか。
答 外国人は中国に投資する場合、下記の三種の形式をとることができる。(1)中国の企業あるいはその他の経済組織と中外合資経営企業を設立する。(2)中国の協力者と中外合作経営企業を設立する。(3)外国投資者が全額投資する企業を設立する。この三種の企業は一般には外資企業と称されている。
(1) 中外合資経営企業
中外合資経営企業は、外国の企業、その他の経済組織あるいは個人が中国の法律に基づき、中国政府の認可を得て、中国国内で中国の企業あるいはその他の経済組織と設立し、双方が共同で投資し、経営し、リスクを担い、損益を負担する企業を指す。中国政府の認可を経て登録した合資経営企業は中国の法人で、中国法律を遵守すべきであり、中国法律の管轄と保護を受ける。中外合資経営企業は中国法人として、中国国内の公司、企業あるいはその他の経済組織との関係およびその他の外資企業との関係は、国内法律関係に属し、渉外法律関係ではない。
(2)中外合作経営企業
中外合作経営企業は、外国企業、経済組織あるいは個人が中国の企業あるいはその他の経済組織と、平等互恵の原則にのっとり、「中華人民共和国中外合作経営企業法」とその他の関係法律に基づき、書面契約で協力の条件を約定するとともに、中国政府の認可を得て、中国国内で共同で設立した経済実体を指す。「中華人民共和国中外合作経営企業法」によれば、中外協力の双方は協議を通じて、企業を法人実体あるいは非法人実体につくることができる。法人実体に属する合作企業は「中華人民共和国民法通則」に定められた法人の条件に合致しなければならず、非法人実体に属する合作企業は「中華人民共和国民法通則」に定められた合営式企業の規定に基づいて設立される。
(3)外国独資企業
外国独資企業は、中国の関係法律に基づき、中国国内で設立された全資金が外国投資者によって投下される企業を指し、外資企業とも称される。ここで言う外国投資者には、外国の企業とその他の経済組織、個人が含まれる。国の対香港・澳門・台湾同胞と海外華僑の特殊政策に基づき、香港・澳門・台湾地区の同胞と海外華僑は、中国の国籍をもっていても、彼らが海外から国内に投資して設立した企業も外資企業と称される。外資企業は独立した経済実体であり、つまり独立採算を行い、損益を自己負担し、独自に法的責任を担う法人実体である。
十、外国人の対中投資は納税面でどのような優遇を受けるか。
答 1、所得税減免の優遇
「中華人民共和国外資企業法」と「中華人民共和国外国企業所得税法」(以下、「税法」と略称)に基づき、異なる業種と異なる類型の外資企業は所得税徴収の面で下記のような優遇を受ける。
(1)
経営期間10年以上の生産的外資企業に対しては、利潤を獲得し始めた年度から、1年目と2年目は企業所得税を免除し、3年目から5年目までは所得税を半減して徴収する。(2)農業、林業、牧畜業にたずさわる外資企業および経済の発達していない僻地に設立された外資企業に対しては、上記の第一条の規定に基づいて、税減免の待遇を享受する期間が満了した後、認可を得て、さらに10年間納入すべき所得税を15ないし30%を差し引いて徴収することができる。(3)経済特別区に設立された外資企業、経済特別区に機構、場所を設置して、生産、経営にたずさわる外資企業および沿海港湾都市の経済技術開発区に設立された生産的外資企業に対しては、15%の税率で企業所得税を徴収する。(4)沿海港湾都市の旧市街区と沿海経済開発区に設立された生産的企業に対しては24%の税率で所得税を徴収する。(5)外国投資者と中国企業が共同出資して設立した港湾埠頭建設にたずさわる合営企業に対しては、15%の税率で所得税を徴収する。経営期間15年以上の企業に対しては、最初の5年間は所得税を免除し、6年目から10年目までは所得税を半減して徴収する。(6)製品輸出企業に対しては、「税法」の規定に基づいて、所得税減免期間の満了後、当年の輸出製品生産額が同年の企業生産額の70%以上に達する場合、さらに「税法」の規定に基づいて、所得税を半減して徴収することができる。経済特別区と経済技術開発区にある製品輸出企業に対しては、10%の税率で所得税を徴収することができる。(7)外国業者が投資して設立した技術先進企業に対しては、「税法」の規定した所得税減免期間の満了後も、所得税を半減して徴収する期間をさらに3年延長することができる。
2、再投資する場合の税還付
(1)
外国投資者が合営企業から配当された利益を中国国内に再投資し、経営期間が5年を下回らない場合は、再投資部分の納付済み所得税の40%を還付することができる。
(2)外国投資者が再投資して製品輸出企業あるいは技術先進企業を設立するか拡張し、経営期間が5年を下回らない場合は、再投資部分の納付済み所得税を全額還付する。
3、関税の優遇
「中華人民共和国税関法」「中華人民共和国輸出入関税条例」及び国務院の関係規定によれば、外資企業が投資総額以内に輸入した機械・設備、原材料は、輸入関税と輸入段階の増値税を免除する。外資企業が輸入した、輸出製品を生産するのに輸入する必要のある部品、原材料は輸入関税と増値税を免除する。外資企業がその製品を輸出する場合、輸出制限に属する商品あるいは国が別に規定したものを除き、輸出関税を免除する。この優遇政策の第1項の内容は1996年4月1日から調整を始め、当該優遇が取り消され、新たに設立を認可された外資企業が投資総額以内に輸入した機械・設備と原材料が一律法定税率に基づいて関税と輸入段階の増値税を徴収することに改められた。
4、製品輸出企業と技術先進企業に対する優遇
この両種類の企業は下記の優遇を享受する。(一)労務費支払いの優遇。この両種類の企業が従業員の住宅、食糧、交通などに支給する財政手当を免除する。(二)土地使用料の優遇。大都市の繁華街を除き、下記の基準で計算、徴収する。(1)開発費用、使用料を総合的に計算、徴収する地区は、1平米当たり毎年5元〜20元である。(2)開発費用を一度に計算、徴収するかあるいは上述の企業が自ら用地を開発する地区では、使用料は最高1平米当たり毎年3元である。地方政府はまた情状を酌量して一定の期間内に徴収を免除することができる。(3)給水、給電、運輸、通信などインフラ建設に関する優遇。(4)信用貸付の優遇。上記の二種類の企業が生産と流通の過程で借りる必要のある短期回転企業とその他の必要な信用貸付金は、中国銀行の審査、照合を経て、優先的に供与する。
十一、外資企業は外国為替管制の面でどのような優遇を享受するか。
答 「中華人民共和国外国為替管理暫定条例」及び中国人民銀行が1994年3月24日国務院の認可を得て公布した「為替決済・外貨売却・外貨支払い管理暫定規定」第6条の規定によれば、外資企業は為替を決済せず、その外貨収入を全額留保し、為替決済面で国内企業に優れる待遇を享受することができる。
「中華人民共和国中外合資経営企業法実施条例」「中華人民共和国中外合作経営企業法」「中華人民共和国外資企業法」とその「実施細則」及び「中外合資経営企業の外貨収支均衡問題に関する中華人民共和国国務院の規定」などによれば、外資企業は自らその外貨収支の均衡を保たなければならない。およそ外資企業設立申請書の中に外貨収支均衡を自ら解決することが明記されている場合、政府のいかなる部門もその外貨収支均衡に対し責任を負わない。しかし、自ら均衡を保てない場合は、政府に援助を申請することができる。中国は外資企業の外貨収支のアンバランスに対し、下記の措置をとって援助する。
(1)
輸入代替を実行する。合資企業は国内では長期にわたって輸入する必要があるかあるいは差し迫って輸入する必要のある製品を生産する場合、当該製品の品質規格と輸入状況に基づき、国務院あるいは地方の主管部門の認可を得て、国内市場で販売し、代金は外貨で受け取ることができる。(2)国内製品を輸出する場合、総合的補償を実行する。つまり国内製品を買い付けて国際市場で販売し、外貨を受け取ることである。(3)人民元の利潤を再投資する。外貨収支がアンバランスの合資企業の外国側合営者は、その企業から配当された人民元の利益を、新たに外貨を獲得できる国内企業に投資することができる。法によってすでに納付済み所得税の一部還付の優遇を享受するほか、当該投資を受け入れた企業が新たに増加した外貨収入の中から外貨を獲得することができる。(4)外貨を抵当とする人民元貸付。外資企業は生産と経営の過程で外貨が余り、人民元資金が不足する場合、外貨を抵当として人民元貸付を申請することができ、それを流動資金あるいは固定資産投資に用いることができる。(5)外貨調節市場への参加を通じて外貨収支のアンバランス問題を解決する。
十二、外国の弁護士事務所は中国で事務所をどう設置するか。
答 「外国弁護士事務所の中国国内における事務所設置に関する中華人民共和国の暫定規定」によれば、外国の弁護士事務所が中国での事務所設置を申請し、香港・澳門地区の弁護士事務所が大陸部に事務所を設置する場合、司法部が直接審査、認可する。司法部弁護士司は外国と香港・澳門地区の弁護士事務所が中国に設置した事務所を管理する職能部門である。外国と香港・澳門地区の弁護士事務所は中国に事務所を設置する場合、下記の三つの方式に基づいて行うことができる。(1)中国司法部に申請報告書を直接提出するかあるいは司法部の指定した時間と場所にしたがい、面と向かって申請資料を渡す。(2)中華人民共和国の外国駐在大使館・領事館あるいは当該弁護士事務所所在国の外国駐在大使館・領事館あるいは当該弁護士事務所所在国の中華人民共和国駐在大使館・領事館を通じて又渡しする。(3)香港・澳門地区は中国法律サービス(香港)有限公司を通じて又渡しすることができる。中国の弁護士事務所あるいはその他の組織及び個人に委託して又渡しするなどその他の申請を渡す方式をとる場合、司法部は受理しない。
外国と香港・澳門地区の弁護士事務所は司法部弁護士司の設立認可通知書を受け取った後、60日以内にこの事務所の首席代表が認可通知書を携えて司法部弁護士司の指定した時間、場所で正式に認可手続きをとり、認可手続き料を納め、「中華人民共和国外国弁護士事務所の事務所設立認可証書」の発給を受けるべきである。
外国弁護士事務所は諮問公司、商務公司あるいはその他の名義で中国国内で法律サービス活動を行ってはならず、すでに諮問公司、商務公司の名義で中国国内に進出した外国弁護士事務所は、その事務所設立認可通知書が発送された後、その諮問公司、商務公司を解散しなければならず、こうしてのみはじめて認可証書を受け取ることができる。状況が特殊な場合は、司法部長の認可を求めなければならない。