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中国の砂漠化対策についての新たな構想
ここ数年、中国では砂漠化面積が日増しに広がっており、国連開発計画(UNDP)の援助による「中国における国連砂漠化防止・整備公約執行能力建設」プロジェクト(以下このプロジェクトと略す)は、科学研究による普及、砂漠化対策と豊かになることとを結び付けるやり方で3年間実行されていらい、喜ばしい成果をあげ、中国の砂漠化対策のため新しい道を切り開いた。

このプロジェクトはUNDPによる中国の砂漠化防止・整備のための援助プロジェクトで、援助額は110万ドルである。その目的は中国における面積262.2平方キロメートルの砂漠のためにモデルとノウハウを提供することにある。

同プロジェクト主任の慈竜馬研究員の話では、科学研究、成果の応用、砂漠地域を豊かにすることという3者の間の最適結合点を探りあて、農民・牧畜民に実際の利益を得させることは、砂漠化防止・整備プロジェクトの効果的な実施のカギとなっている。

最適結合点はどこにあるのか。慈竜馬研究員は末端の代表的な試行基地にあり、これらの基地は科学研究・試行の場所であり、成果の転化と技術の波及の源でもあると語っている。

このような構想によって、同プロジェクトは独特な「下から上へ」という仕事のすすめ方をとり、砂漠地区の実情によって、末端で研究課題を選び、最も代表的な寧夏の中衛県、内蒙古の磴口県とイチンホロ旗という三つの試行区を選んで、試験区における技術普及と育成トレーニングを通じて、成果を普及させ、定期的に現地の農民・牧畜民から技術情報をフィード・バックする。上にはプロジェクト管理機構を設置し、砂漠化防止・整備研究発展センター、国家砂漠化防止・整備育成センターを通してコーディネート、科学研究の普及と技術育成を強化して、砂漠化防止・整備の研究・開発、技術育成、成果転換をうまく結びつける良好な循環のシステムが形成されるようになった。

新しい構想には、突破的な進展が見られる。農業と牧畜業を兼ねる内蒙古イチンホロ旗で、科学者、技術者は砂漠化の成因をはっきりさせ、「高効率の農業・畜産業、水の流れる果樹、樹林、砂地の灌木による防護」を主な内容とするパターンを創出し、高原における良質の作物、牧草、果樹などの新品種を導入し、高効率・節水灌漑技術などを導入し、一連の高投入、高収量の高効率農業のテストを行った。農業・林業を兼ねる栽培地で栽培された多穂型トウモロコシのムー(1ムーは6.667アール)当たり収穫量は9000キロに達し、甘味コウリャンのムー当たり収穫量は6000キロに達した。寧夏の中衛県沙坂頭は昔から干ばつと流砂の地域であった。科学者、技術者は鉄道による砂漠化防止という新しい方法を採用し、交通の中枢である蘭新線(蘭州=ウルムチ)が長期にわたる安定を確保することができるようになった。ウランプホ砂漠区はずっと手なずけることのできない「赤いオス牛」といわれてきた。内蒙古磴口砂漠研究ステーションの科学者、技術者は地元特有の水土、温度差、日照、用水路による灌漑などの有利な条件を利用して、砂地を総合的に整備し、それを利用、開発することを目指した。風砂防止のオアシス地帯保護システムを作り上げただけでなく、かなりの収益も手にすることができた。

同プロジェクトは積極的に砂漠化防止・整備の教育を展開している。毎年の世界砂漠化、旱ばつ防止・整備デーにはさまざまなPRをくりひろげている。数年来、同プロジェクトはセミナーを14期も開設し、PR資料6部を編集し、テレビ教育番組を制作し、さまざまなメディアを利用して広報教育を行っている。これらの活動を通じて、砂漠化防止・整備に対する国民意識の向上を促した。

試行基地と各クラスの育成センターを主として開設したさまざまな技術養成トレーニングクラスによって、砂漠地区の農民・牧畜民に科学技術知識を普及した。農民・牧畜民は身につけた技術を利用して砂漠化整備を展開するようになっている。寧夏の沙坂頭の農民董希君さんは、身につけた技術を利用して、自ら請け負った土地で流砂の浸食を効果的に防ぎ止めた。それと同時に、プロジェクト実施部門は農民と常に連係を保ち、農民たちの要請によって、新技術や新情報を定期的に伝え、新技術の普及と新知識の応用を促進し、農民が貧困から脱却して豊かになるように助けた。沙坂頭実験ステーションは農民にブドウ栽培新技術を普及させ、技術要請に基づいて栽培をおこなった農民は、1ムーで4000元の収益があるという。沙坂頭の農民たちは新しい技術で利益を得たため、さらに科学者、技術者が普及したフランス産搾油用ヒマワリ、スーダン草などを栽培するようになった。UNDP担当官が中国に視察しに来た際、「中国は砂漠防止・整備の面で望ましいスタートを切った」と語った。

同プロジェクトは3年間実施して以来、高・中級技術者および農民向けの技術養成トレーニングクラス26期を開設し、2000余人の農民・牧畜民が養成トレーニングを受けた。農民のために実用技術10件を普及し、技術モデル農家85戸を育成した。

同プロジェクトは内外の多くの専門家を集め、イチンホロ旗の砂漠化問題についてかなり系統的な研究を行い、同旗の砂漠化の現状、形成原因、発展の傾向がほぼ分かるようになり、対策を打ち出し、県レベルの砂漠化情報とデータ交換モデル、土地利用分類システムを確立し、同旗の砂漠化防止・整備活動を促進し、全国の整備活動に対して普及と模範的な役割を果たしている。

研究者はまた「中国砂漠化情報ネット」のホームページを開設し、24時間情報を送信し、砂漠化防止・整備のための技術サポートを提供している。同時にイチンホロ旗を試行地域として、県クラス砂漠化監督・測定・評価ネットワークと情報システムを構築した。同システムはイチンホロ旗の50年間の関連データを収集し、砂漠化防止・整備のために技術サポートを提供した。

また、UNDP能力建設プロジェクト成果普及・応用シンポジウムがこのほど中国林業科学研究院で開催された。全国11の省・直轄市・自治区の林業関係責任者、砂漠化防止・整備専門家は、同プロジェクトを高く評価している。国家林業局造林司局長、砂漠化防止・整備管理センターの雷加富主任は、同プロジェクトはさまざまな面で成果をあげ、これらの成果は砂漠化防止・整備、西部大開発実施の戦略に対して積極的かつ深遠な影響をもたらすだろうと語った。

  「チャイナネット」2001年1月15日

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