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「三江源」の源流を保護して子孫に幸福を
陶宝祥 董鎖成

 一、中国は長江、黄河、瀾滄江(ラオス境内に入るとメコン川と称する)を「三江」と称し、その源流地区を「三江源」と略称する。「三江源」はこの地区を水源地とする河川の中流と下流地域生態の持続可能な開発の障壁であり、「三江源自然保護区」の建設は西部大開発における生態環境建設の一つの戦略的任務で子孫に幸福をもたらす事業でもある。

 西部地は四川省、重慶市、雲南省、貴州省、チベット自治区、陝西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区と新疆ウイグル自治区など10の省、市、自治区を含み、面積545.1万平方㌔で、全国総面積の56.8%を占め、1998の統計による人口は2億8510万人、全国総人口の22.84%を占める。ユーラシア大陸の中部に位置する西部地区は中国西部の国境地帯で少数民族の集まり住んでいる地区である。「世界の屋根」青海・チベット高原は地球の第三「極」とも称され、その生態環境は世界の自然環境に巨大な影響をもたらし、ひいては人類の生存と発展に広い影響を与えている。

 青海・チベット高原は黄河、長江と六カ国を流れる瀾滄江・メコン川、ガンジス川、インダンス川などユーラシア大陸有名な大河の源、中国とアジア数10億の生命の源であるこれらの大河は、人類のさんらんたる古代文明の揺りかごで、現代文明の持続可能な開発を支える根本的保障でもある。青海・チベット高原生態環境の変化は西部地区社会経済の発展と人民の生活水準を影響するだけでなく大気層環流や川の水蒸気の循環を通して中流・下流地区の生産と生活、中国の中部と東部河川の中流・下流の生態と全国の永続的発展ひいては中国周辺各国の生態環境にも影響を与える。

 近年来、長江、黄河の下流地区の生態環境はひどく破壊され、長江中流・下流地区は絶えず水害が発生する反面、黄河の年間水が涸れる時間は200余日間を超える。水土の流失、砂漠化及びかんばつは、中流・下流地区の社会、経済の発展をきびしく阻害している。河川流域の生態環境悪化はすでに21世紀の中国の持続可能な開発を妨げる最も心配されることになり、上流地区と源流区生態・植被の破壊と密切な関係を持っている。

 この世紀の変り目に際して、党中央と国務院が西部の大開発を行なう戦略を決定した。生態環境の建設は21世紀の中華民族の生存と発展にかかわる重要な問題で、西部大開発の主な任務でもある。最近国務院主催の西部地区開発会議において水資源の合理的開発利用、生態環境の保護と建設の強化などは最も重要な問題として提出された。河川源区と上流地区の生態環境保護と建設は生態環境建設で極めて重要な地位を占めている。西部地区は長江、黄河、瀾滄江など大河流域の生態環境の整備と密切な関係があり、その自然条件が厳しく生態環境が破壊されやすく、貧困人口と少数民族が集中している地区で、地方財政が非常に困難なところで、その開発は複雑で難しい。党中央の決定を実現させ、国の持続可能な開発の方策を実現させるために、「大西北開発」と「三江源保護」を最も重要な地位に置くべきである。「三江源自然保護区」の設立は「三江源」を保護する重要な措置であり、現世代と後世に幸福をもたらす偉大な事業でもある。

 二、一刻も猶予せず、「三江源」地区の生態環境保護に取り組むべきである

 長江、黄河と瀾滄江・メコン川は青海省玉樹チベット族自治州に発源、自治州総面積は29万9000平方㌔、人口は約25万、そのうちチベット族は96%を占める。自治州の北は昆崙山脈で南は唐古拉山(TANG GULA SHAN)脈が横たわる。二つの山脈の一部は玉樹地区の数千㌔を縦横に交錯している。多くの川がここに発源するため、この地域に野生ヤク、ロバ、チベットガゼル、オグロヅルなど珍しい野生動物が生息している。中国で一番長い川、長江はチベット自治州の治多 (ZHI DOI)県の各拉丹冬(GELADOINDONG)雪山の姜根迪如(JIANGGENDIRU)氷河に発源、二番目の黄河は自治州の曲麻莱 (QUMARLEB)県麻多郷の雪山に発源し、扎陵 (GYARING)湖と鄂陵 (NGORING) 湖に注ぐ。瀾滄江(メコン川)は自治州の雑多 (ZADOI) 県扎青郷の果宗木査雪山を源とする。玉樹地区の雑多県、治多県、曲麻莱県、称多(CHINDU)県、玉樹県と果洛(GOLOG)州の瑪多(MADOI)県は三つの川の主な水源涵養区である。

 長い間、青海、チベット高原の生態はずっと“処女地”のままだったが自然の変化と人的活動の影響で高原地区特に「三江源」地区の生態環境は著しい悪化を見せている。1990〜1999年の間で筆者は三回も探険隊について「三江源」地区の六県の生態現状を実地調査し、その生態環境の悪化をしみじみと感じた。一部の地区では草原は破壊されて砂漠化しつつあり、鼠の害がひどく、珍しい野生動物は無造作に捕獲され、勝手に金砿石を採ったり冬虫夏草(貴重な漢方薬)を採取したりした結果、生態環境問題はますます重大となってきた。適当な措置をとらなければ水源と水質は破壊されるに違いない。

 水は人類生存の基本的保障であれば経済発展の主要な源動力でもある。「三江源」地区の生態環境の如何によって中国下流地区及び東南アジア諸国の生存と発展に大きな影響を与える。

 生態環境と生物の多様化を保護するために自然保護区の設置は最もよい措置である。ここ百年来、自然保護区の設置はますます世界的な注目を受けている。保護区の数量、類型、面積と管理水準はその国の自然保護と経済文化発展の程度を評価する基準の一つとなっている。中国の自然保護区の設置は遅れていたが改革開放後、著しい発展を見せ、特に西部地区の自然保護区の数量と面積は重要な地位を占めるようになった。「三江源自然保護区」の生態環境は最も復雑で、多種多様な生物が一番多く集中し、保護面積の最も大きい地区である。その設置によって国際的な重要な影響をおよぼすであろう。

 三、「三江源自然保護区」を設置する時機が到来した

 江沢民総書記と朱鎔基総理が西部地区の開発に対し何回も生態環境保護の重要性を強調した。朱総理は陝西省を視察した時「耕作を止めて、農地を林地にもどし、伐採を禁じて造林し、救済金品の代わりに食糧を与え 、個人請負を実施するよう」と指示した。国は河川の源流地区生態環境の保護も非常に重視し、すでに巨額な資金を出して生態保護林と生態環境県の建設プロジェクトを実施している。最近、中国科学院は西北地区水資源の開発利用の研究を強め、国家環境保護局の長江、黄河流域での特殊生態機能区建設の構想も計画し始めた。また、国家林業局は大河川の源流地区で自然保護区設置計画を出し青海省も開発・建設のなかで環境保護を強める決定を出した。国家林業局は今後の10年間で西部地区の生態環境建設に1000億元の資金を提供して、長江の上流と黄河の中流下流生態の整備、西部地区の防砂と砂漠改造、東北地方と内蒙古天然林の保護及び他省の防護林の造林に用いられることにしている。「三江源自然生態保護区」を設置する時機がすでに到来した。

 四「三江源自然保護区」設置の指導方針

 「三江源自然保護区」は青海省玉樹地区の雑多県、治多県、曲麻莱県、称多県、玉樹県及び果洛州地区の瑪多県を含むが、その地方の人口密度は少なく、1平方㌔に0.8人にも達していない。また、広い無人地区もあるため自然保護区の設置に恵まれた条件を有している。

 「三江源」地区の自然生態環境と野生動物の保護によってその生態の良性循環を回復維持すると同時に中流、下流地区の水源と水質が保障できる。自然保護区の設置を通じて「三江源」の自然環境の移り変る規律を認識、把握して自然資源の合理的開発利用と持続可能な発展の目標を達成する。

 「三江源自然保護区」は主につぎの特徴を持っている。①、世界で河川の一番多い保護区 ②、世界で地勢の最も高く面積が最も広い高山草原湿地地区 ③海抜が高く多種多様な生物が一番集中する地区。「三江源」の特徴によって、違った地区と保護対象に対し具体的な管理内容と方法を制定すると同時に三つの区に画する。

一、中心区(封鎖区)

 「三江源」の重要な区域、水源涵養区と一部の珍しい野生動物が生息する地区で、若干の中心区を設ける。例えば瀾滄江源の果宗木査地区で百平方㌔の範囲内に30余人しかいない。中心区の天然生態を維持するためその人たちを転出させる必要がある。滅亡に頻するオグロヅル、野生ロバ、ヤクなど珍しい動物を保護するため、すでに国家クラス自然保護区に指定された隆宝灘自然保護区や瀾滄江流域の扎西気娃地区も封鎖すべきである。

二、緩衝区(半封鎖区)

 中心区のまわりは緩衝区とされる。衝区内で中心区の保護措置に一致する活動しかゆるさない。「三江源」地区はすべて牧畜地区であるため、牧草の負荷能力が許す条件のもとで同地区内における放牧を許可することによって経済的負担を軽減する

三、過渡区(開放区)

 緩衝区を囲む地区は過渡区とされる。過渡区は自然保護区全体の発展に特別な意義を持っている。過渡区で特に観光業を主として発展させるべきである。この地区の観光資源が非常に豊富で文物古跡は文成公主のチベットに入った古道に沿って多く残されている。

五、上・中・下流地区の利益補償のメカニズムを確立し、河川源流地区生態の保護事業を保進する

 財産所有権経済学と制度経済学理論によれば河川資源は上・中・下流地区住民全体の共有財産で皆はそれを利用する権利を有すると同時に河川を保護する義務もつけられている。この理論に基づいて上・中・下流の資源を共に享受して共に保護する責任を負う補償メカニズムを確立することによって、流域全体の統一利用、保護と管理を実施すべきである。

 21世紀の西部大開発は西部の生態保護にも物質的基礎を提供している。未来の何十年間にわたる西部大開発と生態環境建設によって、西部地区は環境優美、風光明媚、人と自然が高度に調和のとれた裕福なところになると固く信じている。

(陶宝祥:中国科学院地理科学と資源研究所高級技師

董鎖成:中国科学院地理科学と資源研究所首席研究員)

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