天下一を誇る蜀(四川省)南部に広がる“竹の海”。長寧県と江安県の県境にある竹林は、あたかも緑の真珠をはめ込んだように青一色で、500以上の山や丘を覆い尽くしている。まさに壮観そのもの。その景色の特異さは世界でも類を見ない。林のなかを流れ落ちる数多くの瀑布。“翡翠の長廊”と呼ばれる数十キロも続く遊歩道を歩くと、すべてが静寂に包まれていてホッとする。
江西省・廬山の竹林。仙人洞の北側にあり、一本の道がひっそりと青々とした竹林のなかを延びている。葉は一年中落ちることなく、実に魅惑的な景色だ。生い茂る林のなかに泉や渓流が見える。水は静かに流れていく。蛙が唄い、鳥たちがさえずる。伝説では、仙人がここで修行したという。竹林の路を漫歩すると、まるで不可思議な仙人境にでもいるような錯覚にとらわれる。
福建省の景勝地・武夷山。夏に行けば、最も目を楽しませてくれるのが竹林だ。山すべてが竹で覆われている。薄暗い竹やぶは海の如し、青々とした竹林は雲の如し。竹は40種を超える。風にたなびく真竹、あでやかな姿を見せる方竹、そして曲がりくねる小路。麓にあるリゾート地の山荘は多くが竹で造られている。川には竹の筏が悠然と浮かぶ。郭沫若はここに遊んだとき、「幽蘭生谷香生径、方竹満山緑満坡(幽蘭 谷に生えて 香り 道に生え、方竹 山に満ちて 緑 坡を満つ)」の名句を詠い残した。
広西チワン族自治区・桂林。陽朔との間を流れる山紫水明の漓江の両側に鳳凰竹が密生している。とくに興坪が際立つ。船に乗って川を下ると、竹林の間に竹製の人家が見え隠れする。光景まさに絵画の如しだ。
“竹の王国”と呼ばれる雲南省のシーサンバンナ。竹林は数え切れない。幽玄とした海を彷彿させる林、青色に満ち溢れた林……。工芸品に適した金竹、お米を入れて蒸すことのできる青竹、観賞用の雲竹に鳳凰竹と、種類は非常に多い。ダイ族の人々は竹製の2階または3階建ての家に住んでいる。テーブルや椅子、ベッド、籠、カーテン、食器棚、いずれも竹で作られている。食するのは竹の子ご飯、引くのは竹の琴。シーサンバンナはまさに竹の世界だ。
「チャイナネット」2002年6月14日