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鳥インフルエンザによる経済的影響は

北京市朝陽区の昇和青果市場。これまで鶏やアヒルの鳴き声で賑やかだった家禽売場は既に“もぬけの殻”。隣接する店の経営者によると、市場管理部門から通達があり、屋台は一時営業停止になったという。ここと同様、北京の多くの青果市場にある家禽販売屋台は営業を停止しており、スーパーの冷凍禽肉類の販売量も以前より減少している。

だが、業界関係者は鳥インフルエンザによる消費への影響は小さいと見ている。家禽消費のピークは最も重要な民族伝統の祭日である旧正月で、市民の多くは祭日前に十分用意しており、多くの経営者も旧正月期間には帰省する。旧正月は過ぎたばかりで、2月はもともと消費が少ないからだと説明している。

同時にタマゴも値上がりした。北京では多くの店で値段は1キロ5.4元まで上がり、昨年の最高値を上回っている。

それでもケンタッキーフライドチキンやマクドナルド、吉野家などファーストフード店を利用する消費者は少なくない。子供を連れでハンバーグを食べていた中年の女性は「加熱処理された鶏肉なら安全だとテレビで知った」。吉野家の店員は「鶏丼の販売量は以前と変わらない」。北京ダックの元祖である全聚徳は依然人気が強く、全く影響は受けていない。

昨年のSARS(新型肺炎・重症急性呼吸器症候群)の影響と違い、現在のところ、一部の省で発生した鳥インフルエンザが市民生活に与える影響はそれほど際立っていない。

内陸部では、鶏肉は都市住民にとって主要な副食品の一つであるため、鳥インフルエンザは日常生活に相当の影響を及ぼすだろうが、農村に比べれば影響は小さい。農村とくに貧困地区では、農民は主に家禽を飼育している。鳥インフルエンザが発生した地区の農民にとっては、大きな衝撃だ。国は損失を一定程度補償することにしているが、鳥インフルエンザ発生前に期待していた利益の100%実現は結局、不可能となった。

疫病がいつ終息するのかはまだ予測できないが、人々とくに疫病発生地区の農民は今後に大きな期待を抱いている。多くの農民にとって、家禽の飼育は豊かになる重要な手段だからだ。安徽省馬鞍山市農業委員会の統計によると、飼育業の年間生産高は農業総生産高の60%以上を占める。同市で畜産業が急速に発展したのは、2003年以降。30頭以上を飼育する養豚家は246世帯で、全頭数は4万頭余り。1000羽以上の家禽を飼育する農民は303世帯で、飼育総数は147万羽余りと、いずれも前年に比べ倍以上となった。試算では、農民1人平均1頭の豚を飼育した場合、利益は約150元(1元は約13円)、同1羽の雌鶏を飼育すれば10~15元の儲けとなる。同市向山鎮の張宏鎮長は「疫病が終息すれば、飼育業は急速に回復して発展していくだろう。都市住民の生活には家禽が必要だ。農民の生活にも同様、飼育業が必要だ」と話している。

既に日本や韓国、シンガポール、ルーマニア、スイスなどが中国産の禽肉類の輸入を禁止または一時停止している。国内でも鳥インフルエンザ発生地区の鶏肉の輸出が停止された。国家品質監督検査検疫総局は先ごろ、発生地区の家禽製品加工企業は直ちに生産を停止し、鳥インフルエンザが発生した広西チワン族自治区は家禽や製品の輸出を即刻停止し、疑い例の出た湖南省と湖北省も輸出を一時停止するよう緊急通達を出した。

だが加工・販売業界によると、リスクに強い大企業は製品を国内に振り向ける、次の周期の飼育量を減らす、一時冷凍保存するなどで損失を低減できるという。

北京華都鶏肉営業販売企画部の陳元峰部長は「広西で鳥インフルエンザが発生して以来、弊社も輸出を停止した」と話している。華都と同様、国内の鶏肉企業では輸出はほぼ停止状態にある。だが北京の鶏肉輸出企業大手である大発と華都は「輸出を一時停止しても、経済的損失はまだ生じていない」と説明する。

北京の大手2社を例に見ると、大発の昨年の生産量は約9万トン、うち2万トンを北京市場で販売。華都では同約5万トンで、1.5万トンを北京で販売した。統計によると、北京市場の年間需要量は約10万トン。大手2社の3.5万トンを除く6.5万トンは、地方企業や小規模加工企業が放出しており、その意味で、2社には市場を開拓する余地があると言える。

国内市場での販売量は急減しても、大企業は冷凍保存することで損失を減らすことができる。鶏肉の場合、マイナス18℃で保存すれば賞味期限は1年に達する。鳥インフルエンザが大企業にもたらした最も顕著な影響は在庫量の増大、と言っていいだろう。旧正月後の3カ月間は鶏肉の消費量は少ない。大企業の生産周期に基づけば、養鶏期間は1カ月半で、旧正月前の1カ月半の間に飼育量は既に減っていたため、損失は相対的に大きくない。インフルエンザが短期間に抑えられなければ、次の周期に飼育量を減らせばよく、飼育そのものの損失も最低限に抑えることができる。

だが、小規模飼育場や加工工場は厳しい試練にさらされることになる。国内市場の消費量が一時的に減少する一方で、輸出企業大手が製品を国内市場に振り向ければ、小規模企業の市場シェアは急低下する。生きた鶏を例にすれば、自由市場で殺すことは既に禁止されており、こうした状況が長引けば、一部の小規模養鶏場は閉鎖せざるを得なくなる。専門家は「鳥インフルエンザが発生して間もないため、小規模な加工工場や養鶏場はいかに対応すべきか、今のところ予測はできない」指摘している。

鳥インフルエンザの飼育業への影響はまた、穀物の消費にも影響をもたらす。

養鶏場の鶏は全体の60%以上を占めている。飼料の主要な原料はトウモロコシや豆かすなど。鳥インフルエンザの発生で家禽類の飼育数が減少すれば、収益は低下し、需要は低迷し、飼料の生産と販売にも影響が出て、結果的に穀物、とくにトウモロコシや豆かす、大豆、油脂などの消費需要は減少することになる。

だが業界関係者は、鳥インフルエンザが終息すれば、短期的に需要は盛り返し、価格も大幅に上昇して、穀物需要も急増すると見ている。

疫病の発生に左右されやすい観光業界では今のところ、大きな影響は出ていない。長く低迷を続けた株式市場にも影響はなく、利益好調で全面的高となっている。

専門家は「マクロ経済全体から見て、工業が経済をけん引する新たな成長期に入っているが、鳥インフルエンザによる工業への影響は小さい」と分析する。

総体的に言えば現在、鳥インフルエンザは国内の小範囲内での感染に過ぎず、人への感染もまだ発見されていないことから、国内経済への影響は非常に限定的だ。

著名な企業評価会社のスタンダード&プアーズ、アジア開発銀行やチャータード・バンク、ドイツ銀行のトップも「鳥インフルエンザウィルスが変異して人に感染するようなことがなければ、中国を含むアジア経済への影響は限られる」との考えを示している。

危機にある経済の安定にとって非常に重要なのは、市場の自信である。昨年のSARS発生の経験から、政府と住民は突発的な疫病に対して冷静に対処し、処理方法にもかなり熟達しており、消費自信にも大きな影響はない。エコノミストは「政府が疫病を速やかに発見し、病原を抹殺すると共に、拡散を抑制し、予防と事後の保障作業を有効に実施すれば、2004年の経済にも明るい見通しが持てる」と指摘している。

『北京週報』2004-02-18

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